第10話 雷魔法

「ここらでいいでしょう」


街には人がまだちらほらいた。外に出ようにも門番がいる。なのでソフィに隠密を使ってもらってそーっと壁を乗り越えた。子供の小さい体で良かった。しかしソフィがいなければもともと外には出れてなかった…そして林の近くまでやってきた。


「早く見せてください!」


「わかったわかった」


前世の死因である雷を使うとなると緊張する。


「ふぅ…轟け!サンダーボルト!」


魔法というのは魔法名の前に火だったら燃やせ、風だったら吹け、水だったら濡らせ、土だったら固まれといったふうに前に言葉をつけなきゃいけない。それが要らなくなる詠唱省略なんてスキルも一応ある。


バチンッ!


という音がして的としていた木に穴が空いた。そして穴の周りは焦げている。


バキバキ…ズドンッ!


そして穴の空いた木は倒れてしまった。よく見てみると後ろの木にも当たったようで穴が空いている。燃えてしまった時のために水魔法の準備をしていたが燃えなくてよかった。


「ゼロ兄様!すごいですっ!!」


ソフィがとても喜んでくれている。しかし他の魔法よりもMPが持ってかれている。


「雷エンチャント」


すると体から黄色のモヤのようなものがでてきた。これは他のエンチャントも同じで火なら赤、風なら緑、水なら青といった色になる。雷をエンチャントしたからと言って体から雷が出てくることは無い。そんなことになったら自分も雷を食らってしまう。


「うおっ!すごいっ!!」


雷エンチャントは火エンチャントよりも攻撃が上がっていて、さらに風エンチャントよりも敏捷が上がっている。


ガサッ…


「っ!!」


「はぁっ!」


「グェ…!」


木が倒れた音に反応したのかゴブリンがやってきた。しかし危機感知と高速反射が反応したおかげですぐに木刀で攻撃をしてゴブリンを倒せた。

ソフィの方を見てみると初めての魔物が怖かったのか少し青い顔をしていた。しかしすぐに顔は赤くなり始めた。どうしたのだろうか?

しかしいくら早熟と神童が働いているからといって1匹でレベルは上がらなかった。


「よし、帰ろう」


「も、もうですか?」


「解体なんてできないし、ゴブリンの死骸に魔物が寄ってきたら大変だから早く帰ろう」


「わかりました」


そしてそのまま来た時と同じように帰って行った。しかし帰りは行きよりなんだかソフィと俺の物理的距離が近かった気がする。





「門番の報告によると昨日天気がいいはずなのに雷のようなものが発生したらしい」


朝食の時に父からそう言われた時一瞬心臓が止まるかと思うほどびっくりした。


「雷魔法という強い魔法を使う魔物がいるかもしれないから注意しておくように」


「「わかりました」」


さすがに俺だとはバレてないが魔法の実験するには場所を選ばなければいけないな…

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