~66~ 喜ばしい一歩

 エクトルはフランクに、羽琉は友莉にと、それぞれに自分たちの進展を報告すると二人はとても喜んでくれた。

 もっともフランクの方はエクトルの長時間の惚気話に、最後は勘弁してくれとばかりにげんなりとなってしまったのだが……。

 それでも再び二人の幸せそうな姿を見ることができてフランクも友莉もほっと安心したようだ。

「羽琉くんたちが良い方向に進んでるみたいで嬉しいわ」

 羽琉の話を聞いた友莉は自分のことのように喜んだ。

 友莉としては羽琉のことが心配で、尚且つ姉のような感覚で好きなようだ。

「友莉さんやフランクさんにも、いろいろとご心配をお掛けしました」

 頭を下げる羽琉に、友莉はポンポンと軽く頭を撫でる。

 上目遣いで友莉を見上げると、にっこりと微笑んでいた。

「ここ数日は確かに心配したけど、それは二人が乗り越えないといけないことだと思うから早かれ遅かれ辿る道だったと思うの。羽琉くんにとっては厳しい道のりで苦しかったと思うけど、二人で乗り越えてくれたことが何より嬉しいわ。今朝来たら二人とも全然違う顔をしてるんだもの。何だかすごく頼もしく見えたわよ」

 照れるように羽琉は頬を染める。

「これから困難な壁にぶち当たっても、二人で何でも乗り越えていけそうね。でも時々は私たちを頼ってね」

「はい。よろしくお願いします」

 羽琉がふわりと笑うと、友莉は安心したように頬を緩めると羽琉にハグをした。

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