~20~ 不安と期待
久し振りにサラやナタリーの手作りではなく、二人で作った夕食をエクトルと食べた後「片付けはしておきます」と言うエクトルに甘えて、羽琉は先にお風呂に入った。
昨日と今日の二日間はとても濃厚で感慨深い二日間となった。まだ余韻を残す胸の疼きは、戸惑いを混ぜつつも羽琉の心の芯に熱いものをもたらす。
就職に関しては、確かにエクトルの言うように焦りもあるし不安もある。社会人としてのエクトルの話に正直、尻込みしそうにもなった。
だがどちらかというとこれから起こることにワクワクしている方が強かった。羽琉にとっては未知の世界だからこそ、最初は出来ないことは当たり前で、でも出来るようになるための努力をする。それは羽琉の好きな語学を習得するのと似ていて、そう考えると全てのことに通ずることなんだと実感した。
仕事をするということは給料が支給されるということだ。そこには責任も生じる。その中で友莉が羽琉の画力を求めて期待しているのなら、もっと磨く必要があるかもしれない。
「イメージすることも必要かもしれない。会社のイメージとクライアントが希望しているイメージ……」
友莉が期待してくれていることには応えたいが、そのために何を頑張ればいいのか分からない。
「今度友莉さんが来た時に詳しく聞いてみようかな」
取り敢えずの結論を出した羽琉は、長湯になる前に浴槽から上がった。
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