第37話 20階ボス戦
翌日、堺DWAに8時集合と言われたが、二人は絶対に早く来ていると思って30分前に行った。やっぱり僕が最後だった。
「おはようございます。2人とも、いつも早いですよね。何時頃から来ているんですか?」
「「おはよう! 東山君。」」
「ああ、俺達はここの上にJDAが泊まれる施設があるんだよ」
何と! 各DWA支部の上の階にD省関係者が宿泊出来る施設があって、空いていればいつでも利用出来るそうだ。7時に起きても10分で下りて来られるとか、それでいつも早いのか。
「急いで、着替えて来ますね」
20階にワープしてボス部屋に向かう。草原の中をどんどん進んで行き、部屋前で簡単な作戦会議をする。
「東山君、ボス戦はジェネラルオークとオークがランダムで1~2体出て来る。開幕に東山君が、ジェネラルオークに魔法を撃ってくれ。その後は、俺と2人で倒そうか」
やった! 戦闘に参加できる!
「そうね。雑魚は私が狩るから、折角のボス戦だし、東山君も楽しんだら良いよ。危なくなったら、フォローするからね」
うん、ボス戦で何もしないのは楽しくない。僕もジェネラルオークと戦いたい!
「はい! よろしくお願いします」
話が終わりボス部屋前に立ち、僕がボス部屋の扉に手で触れた。すると、音を立てて扉が開いて行く……。
ゴォ、ゴォ、ゴゴオ――
扉が開くと、一気に緊張してきた……部屋の中は、10階のボス部屋と同じで、一本道の洞窟になっていた。進んで行くと、ジェネラルオーク達の叫び声が聞こえて来た。
『ブオオォォ~! ガアァオオオォォ!!』
『ブガアァッ! グウオオォォ~!!』
「どうやら、ジェネラルオークと雑魚は1体みたいだな」
部屋の奥に見えるジェネラルオークは、オークよりも二回り大きく、立派な片手剣を持っていた。
「そうね、ゆっくり狩れるわ。東山君、準備は良いかしら?」
「はい!」
部屋の前で深呼吸をして剣を抜く。そして、自分がするべきことを頭の中で確認する。大丈夫、失敗しても2人がいる。あぁ……いつも振り回されているけど、僕は2人を信頼しているんだな。
一斉に3人でボス部屋に入り、神田さんはオークへ『挑発』を入れて突っ込んで行った。僕は急いでジェネラルオークに魔法を撃ち、そして、『挑発』を入れた後藤さんに続いて、突っ込んで行った。
『ブガオォォ~! ガアァ!!』
後藤さんが袈裟切りをして、僕も続いて剣を振り下ろす。そして、後藤さんがジェネラルオークに止めを刺した。あっという間だ。
後藤さんが、ニッカと笑って、
「東山君、お疲れ!」
「ハァ、ハァ、後藤さん、お疲れ様でした。ハァ、ハァ、神田さんも、お疲れ様でした」
ほんの数分戦っただけなのに、僕は肩で息をしている……ハァ、緊張して力が入り過ぎていたのか……。
「ふふ。東山君、宝箱が出たよ。開けて見て~!」
神田さんに言われて部屋の中央を見ると、宝箱が現れていた。
「おぉ! 宝箱だ」
「東山君、良いのが出ると良いな!」
「はい!」
2人に見守られながら宝箱に近寄る。ふぅ~、この宝箱を開ける瞬間が、ドキドキするな、よし!
パカッ!
宝箱を開けて、戦利品を取り出した。ジェネラルオークの魔石・オークの魔石・『スキル書・身体強化』。そして、ただの布のショルダーバッグにしか見えないアイテムバッグ!!
「「おおー! 凄い!」さすが、東山君!」
「やったー! アイテムバッグだ! 後藤さん、このバッグ僕が買い取りたいです!」
「うん? 東山君のボス戦だから、使ったら良いよ。バッグに手を入れたら、使用者が固定されるからね」
そう、公式サイトにも、アイテムバッグは使用者を固定出来て、容量は軽トラくらい入り、重さも感じないと書いてあった。
「えっ! 良いんですか?」
「ああ、アイテムバッグは、俺も神田も持っているよ。JDAの攻略メンバーは皆持っている」
そう言って、後藤さんは、腰の後ろ側に隠れているアイテムバッグを見せてくれた。
えっ! アイテムバッグは割と出るんだ。そう言えば、前に飲んだ時に神田さんが言っていたな……アイテムバッグが出たから『おおー! 凄い!』じゃなかったんだ。『スキル書』の方か。
「さっきも言ったが、ボス戦の戦利品は全て東山君のだよ。『スキル書』もね。俺と神田は、ここのボス戦をクリアーしているからね」
「えっ、それは何だか悪いですよ……」
「この後、私のジェネラルオーク狩りを手伝って貰うんだから良いのよ。さぁ、行きましょう~!」
『身体強化』は、後で覚えますと言ってバッグに入れた。後藤さんは、もう覚えているから要らないけど、出なかった時に神田さんに使ってもらおう。僕は、アイテムバッグだけで大満足だよ! ふふ。
アイテムバッグは、早速、使うことにした。手を入れてみると、バッグが少し輝いたように見えた。ふふ、自然と顔が緩んでしまう。
後藤さんと神田さんについて、部屋の奥に出来た洞窟から階段を下りて行く。21階からは、草原と林のエリアになる。草原の所々に雑木林のような所がある。
「東山君、まだ時間が早いから、25階のワープを目指そうか」
「良いわね。ここからは、東山君も狩りに参加する?」
「はい。ステータスを上げたいから参加します」
ここから出て来る魔物は、ランクCのオーク・ロックリザード・ガルム(犬)とランクBのジャイアントスパイダー・ジェネラルオークだ。オークとガルムは2~3体で出て来る。
僕はロックリザードとガルム1体を担当。後は、ジェネラルオークに魔法を撃って、適当に狩ることになった。もちろん、二人がフォローしてくれる。
「東山君、ガルムは素早いから、慣れるまでは先に魔法を撃った方が狩りやすいと思うよ」
「後藤さん、了解です!」
ロックリザードは、低階層に出て来るリザードより一回り大きくて、グレーの斑模様。二振りで倒せる。真っ黒なガルムは、1m程の大きさで素早い。今は、魔法と二振りしないと倒せない。
「東山君、ガンバレ~! 次、これに魔法を撃って~!」
僕がガルムと戦っている間に、神田さんは、どこからかジェネラルオークを連れて来た。
「は、はい!」
ボワッ、ヒュ――バァ――ン!!
そして、神田さんと後藤さんで瞬殺する。これは、なかなかにハードだよ……1フロアー移動するのに、たっぷり1時間半はかかる。
「「「おお! 出た!」」」
昼前に、お目当ての『スキル書』が出た! 良かった~。これで、ゆっくり狩りが出来るかな。
「やった~! 東山君、ありがとう~!」
「神田さん、良かったですね」
階段に移動して、昼食を兼ねて休憩を取ることにした。そこで、神田さんと僕は『身体強化』を覚えることにした。覚えた瞬間、身体がカッと熱くなった。
「どうだい? 2人ともステータスが上がっただろう?」
「うわ~! 『挑発』の時みたいに、力が湧いてくる感じね!」
「本当だ。なんだか、熱くなりますね。ステータスを見ないと」
『ステータス・オープン』
名前 東山 智明
年齢 21歳
HP 207/221
MP 68/173
攻撃力 92
防御力 94(+5)
速度 88
知力 113
幸運 67
スキル
・片手剣C→B ・盾C ・火魔法C→B ・挑発 ・水魔法C
・風魔法C ・回復魔法E→D ・土魔法F→E ・身体強化F
おお! 防御が+5、片手剣と魔法も色々上がっている。身体強化はランクがあるのか。う~ん、MPが残り少ないな。
「後藤さん、『身体強化』のランクって、どれぐらい効果が変わるんですか?」
「そうだね~、Fだとほとんど分からないかな。個人差があるけど、『身体強化』Cで5分程、防御力10%上がる感じだよ」
防御10%アップは大きいな。Cまで上げないと宝の持ち腐れか……地道にスキルを上げるしかないな。
「ふふ。頑張って、スキルAまで上げるわ!」
「はい、僕はCを目指して頑張ります」
「神田は、『回復魔法』も上げてくれよ~」
「ふふ。後藤、もう3回使えるわよ!」
神田さん、頑張って下さい……。
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