大金を稼いだ方法とは……
「ちなみによ、ラストの値段はいくらぐらいだったんだ? あっ、答えられないなら別にそれでも良いんだが」
「喉の治療費を含めて、白金貨五枚ですね」
「「「ッ!!!???」」」
ラストとの話し合いで自身が店でティールに買われたという話は聞いていた。
そしてティールが自分の怪我を直すために、わざわざ高い金を教会に払ったという話も聞いた。
全くもって立派な男だと先輩冒険者たちは思った。
(普通に考えれば、適性値段、か……いや、でもティールはまだDランクだろ?)
(確か歳はまだ十二歳、だったか? 実力はランク以上なんだから、それなりに稼いでるとは思ってたが……少なくとも、治療費を除いて白金貨数枚を払ってラストを買ったんだよな)
(Dランクの少年冒険者が、一括で白金貨数枚を払う、か……イギルたちがティールに嫉妬する気持ちも分かるぜ)
三人の先輩冒険者は今一度ティールを見て怪物、傑物、天才、鬼才。
そのような言葉が頭に浮かんだ。
ただ、直ぐにその考えを払拭するように頭を横に振った。
(違うんだよな~。確かに冒険者として……戦う者としての才能はあるんだろうけど、それ以上にこう……十二歳らしからぬ厚みを感じるんだよな)
(イギルたちがティールの実力や持ってる道具、仲間であるラストの存在に嫉妬してる内は、どう足掻いても追いつけないな)
ある程度冒険者として経験を積んであり、人を視る目があるからこそ、三人は冷静にティールの中身について判断出来た。
ただ……他の冒険者と比べて稼げるルーキーなのは分かるが、どうやって短期間で白金貨五枚もの大金を稼いだのか……気にならないわけがなかった。
「はっはっは!! やっぱり稼いでる奴は違うな。でもよ、どうやってそんな大金を稼いだんだ? まだ冒険者になって数か月程度だろ」
「そうですね。とりあえず半年は経ってません」
「だ、だよな」
ギルドの職員とそれなりの仲が良い先輩冒険者たちは、チラッとティールとラストがもしかしたら近いうちに、Cランクの昇格試験を受けられるかもしれない……という話を耳にした。
「もしかして、割の良い依頼でも受けたのか?」
ティールの実力なら、ランクが低くとも金を持っている権力者から指名依頼を受けてもおかしくない。
事実、ティールが行えることを考えれば、権力者が指名依頼を出す可能性は十分にある。
しかしティールがまだソロで活動している時に大金を得た切っ掛けは、指名依頼ではなかった。
「えっと……村から出て初めて着いた街に滞在している時に、ブラッディ―タイガーと遭遇したんですよ」
「「「ぶっ!!??」」」
三人はティールの口から出てきたまさかのビッグネームに驚き、エールを吹き出してしまった。
幸いにもティールやラストがエールに濡れることはなく、三人が二人の怒りを買うことはなかった。
「ぶ、ブラッディ―タイガーって、あのブラッディ―タイガーか!?」
「あのブラッディ―タイガーで合ってると思います」
三人の先輩冒険者だけではなく、話声が聞こえていたギルド職員たちが啞然とした。
それほどまでに、ティールが一人で倒したモンスターの名は周囲の者たちに衝撃を与えた。
「すげぇな……よく一人で勝てたな」
「偶々というか……戦う前に街で購入した武器がなければ、多分負けてましたよ」
その頃のティールも例外的な強さを持っていたが、本気のブラッディ―タイガーと戦って生き残れるかは怪しいところ。
だが、バースから格安値段で売ってもらえた豹雷に宿る技、雷雲のお陰でなんとか無事に討伐することに成功。
「勝つことは出来ましたけど、ボロボロでしたかね」
「ボロボロでもBランクのモンスターをソロで倒すなんて、本当に大したもんだぜ……因みによ、ブラッディ―タイガーの素材とかって残ってたりしねぇか?」
「素材は残ってませんけど、素材を使った武器ならありますよ」
斬馬刀とバスターソードを置くにはテーブルが小さいので、ティールは比較的小さいソードブレイカーを取り出してテーブルの上に置いた。
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