呼び方変更
「なぁ、ティールさん。呼び方を変えても良いか?」
「ん? 突然だな。別に良いけど……さん付けは嫌だったか?」
「嫌というより、俺には合ってない気がしてな」
あまり仰々しい呼び方はティールも嫌なので、呼び方はマスターに変更。
そんなやり取りをしながらも、二人が最初に戦ったポイズンスネーク以外に、ウィンドバットやクロウスパイダーとの戦闘を終えていた。
群れで襲い掛かって来たウィンドバットだが、攻撃力が弱くて二人には殆どダメージを与えることができず、ボコボコにやられて終了。
クロウスパイダーは捉えた獲物を巣に持ち帰り、糸でぐるぐる巻きにして毒を再度注入する。
人を相手にするなら、同じ人が盾になるという知識を身に着けており、かなり悪知恵が働くCランクのモンスター。
クロウスパイダーが丁度捉えた獲物を持ち帰る途中に二人が見つけ、速さで翻弄しながらラストが頭部を粉砕。
糸にくるまれていた三人はまだ息があり、スキル毒を使用して解毒を行うと三人は無事回復。
二人に礼を告げて三人と別れた。
(そろそろキラータイガーと遭遇したいな)
ウィンドバットの群れとクロウスパイダーと遭遇できたのはティール的においしかった。
更には糸生産や糸操作、毒のスキルを強化できたので、また一段と手札が強くなった。
しかし今回の獲物は奇襲に特化した虎のモンスター、キラータイガー。
なるべく今日中には見つけたいと思いながら探索を続けるが、中々見つからない。
探索中にマッピングをしているので帰り道に困ることはないが、このままだと遺跡の中で一泊過ごすことになる。
ティールとしては、やはりふかふかのベッドで寝たい。
そう思いながら気配感知に集中しながら探索を続けるが……ついに夜まで探索してもキラータイガーは見つからなかった。
「……ラスト、腹減ったな」
「そうだな。今日はここで泊まるか? それとも今からダッシュで街に戻るか? まだ大丈夫だとは思うが」
「そうだなぁ……決めた。今日はここで野営だ。明日も探索して、見つからなかったら一旦街に帰る」
柔らかいベッドで寝たいという気持ちはあるが、用意している野営の寝具は決して質の低い物ではないので、寝るのに支障はない。
空間魔法の中に入っている肉を取り出し、調味料で味付けしながら夕食を堪能。
(やっぱり肉は最強だな。ただ、肉ばかり食べているとバランスが悪いよな……街に戻ったら野菜を多めに食べるか)
特定の野菜が食べられない、野菜そのものが苦手といった子供舌ではないので、野菜メインの料理であっても平気。
寧ろ、何故多くの子供が野菜をあまり食べたくないと思うのかが不思議だった。
(そういえばリースが子供は、肉の味を知ったら野菜があまり好きじゃなくなるってぼやいてたな……ちゃんとした料理なら野菜も美味いのに)
あっという間に夕食を食べ終わり、風呂の用意をして今日の疲れを癒す。
「……あの、マスター」
「どうした?」
「遺跡の中でこんなにのんびりしていても良いのか?」
二人と裸になって湯に浸かっている。
街の外で……モンスターがうろうろしている遺跡の中でのんびり風呂に入るなど、自殺行為でしかない。
だが、夜になれば夜行性のモンスターは動き始めるが、日中動いていたモンスターは睡眠を取る。
そしてティールが張った結界に風の魔力を付与しているので、モンスターが二人を見つけて襲ってきても直ぐに攻撃されることはない。
寧ろ、付与されている風の魔力によってダメージを受けて退散する場合もある。
「後で結界の数を増やすから、ラストもしっかり寝とけよ」
「いや、さすがに俺は起きとかないと不味くないか?」
「しっかり睡眠を取らないと、明日の探索に響くだろ。それに結界が割れた音だけは聞こえるように調整する。だから一枚割れたら直ぐ二人とも起きれるって」
「……そうか、それなら寝ても問題はなさそうだな」
とはいえ、油断はできない。
風呂から上がって就寝の時間になっても、ラストの意識は半分だけ起きていた、
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