テイムという方法
「なんで、そう思ったんだ?」
「なんというか……一人で活動することに拘っている気がしてさ。もしかしてあまり人には知られたくないギフトを持ってるんじゃないかって思ってさ」
その言葉はかなり的確な内容だった。
知性に関しては他人にバレても大した問題にはならない。
だが、奪取≪スナッチ≫に関してはああまり他人には知られたくないと思っている。
(なるべく一人活動したい……そういう考えがまさか知人にそういった形に思われてたとはなぁ……ちょっと注意不足だったか)
ただ、奪取≪スナッチ≫お陰で手に入れることが出来たスキルは多い。
拘束や毒液、爪撃に嗅覚感知と棍棒術。そして切り札の一つである酸も同じだ。
人前では中々使えないスキルが多い。
そういったスキルを有している……それだけで色々と不信感を持たれる。
それと……鑑定を他人に使われた時、ティールのスキルの多さに他人は当然驚く。
スキルの練度に関して驚くのも当たり前だが、何よりも数が多過ぎる。
ティールの努力によって習得したスキルもあるが、それよりも奪取≪スナッチ≫で得たスキル方が多いのは事実。
「……さぁ、どうだろうな。そこら辺はエリックの想像に任せるよ」
あまりに他人に知られたくないスキルがある。
そう伝えているのと同じ言葉かもしれないが、一応はぐらかしておく。
エリックは小さく笑いながらも、それ以上は追及しないと決めた。
「そうか……そういう事にしておくよ」
「とりあえず、この先直ぐに誰かとパーティーを組むことはないな。臨時で誰かと組むことはあるかもしれないけどな」
「それが君のスタイルに合っているのかもしれないね……でも、やはり一人では危険な場面が多いと思うんだよ。だから、適性があるなら戦闘職兼テイマーとして活動するのはありなんじゃないかな」
「テイマーってことは、モンスターを仲間にして従魔にするって事か」
その考えはありだなと思えた。
従魔なら自分の秘密を他人にバラす心配がない。
(ただ、仲間にするならそれ相応に強い奴が好ましいな……そうなると簡単に見つけるのは難しそうだな)
そして従魔にするならばなるべく無理矢理力で仲間にはしたくない。
ティールはそう考えているので、強いモンスターと遭遇しても仲間に出来るかどうかは分からない。
「一人の状況をどうにかするって考えとしてはありだな。でも、そう簡単にモンスターをテイムして従魔に出来るとは思えないしな」
「それはそうかもしれないね。けど、モンスターの中には例え人間であっても強い人に付いて行きたい強く思っている個体がいるかもしれない。それなら戦った後に服従のポーズを取るかもしれないよ」
「……可能性としてはあるかもしれないな。従魔、か……頭に入れておく」
街の外で野営する際には酸で生み出したモンスターを配置していれば問題無い。
酸のモンスターで対処出来なければ、ティールが起きる前に従魔が始末する。
(流れとしては完璧だよな。やっぱりモンスターとはいえ睡眠は必要だろうし、そうなってくるとやっぱり酸で生み出したモンスターが自動で動いてくれるのは有難いよな)
仲間が増える。やはりそれだけで冒険の幅が広がる。
それはティールも自覚しているのでモンスターをテイムするという考えは頭に置き続けようと思っている。
「そうしてくれると嬉しいよ。やっぱり友達が一人冒険し続けると思うと心配だからね。ティールより弱い僕が君を心配するのはおかしいかもしれないけどさ」
「……いや、その気持ちは素直に嬉しいよ。ありがとな、心配してくれて」
確かにティールは強い……だが、友人から心配されるのは悪い気分ではない。
寧ろ自分のこれからを心配してくれる人がいることに感謝する覚える。
「そういえばエリック、いつになったらリーシアに自分の気持ちを伝えるんだ?」
「ッ! と、唐突だね」
「かもしれないな。でも、友人としては気になるんだよ。お前ら二人がどうなるかをな」
ティールの言葉を聞いて既に自分の気持ちがバレているのを察し、エリックは少々頬を赤くする。
ただ、まだ今すぐどうこうしようという考えはエリックの中に無かった。
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