焼けばなんとななる?

「……今更だが、体から酸や毒を出せるなんて……基本的に人間技では無いよな」


普段から使っていない技を使用してモンスターを倒し続けているティールだが、酸や毒の弾丸に刃。

それらは非常にモンスターに有効であり、問題無くモンスターを倒し続けている。


(酸で倒したモンスターの肉は食えるだろうけど、毒で倒したモンスターの肉は食えないだろうな……いや、でも熱消毒、って出来るんだったか? ……分からないな。ギルドで調べれば問題無いか)


基本的に焼けば気にせず食べられる。

ティールが今使用している程度の毒を考えれば問題無いが、高練度の毒になってくるとそうもいかなくなる。


「さて……次は突進とか爪撃を使って戦うか」


昔から殆ど使った事が無い攻撃方法だが、倒したモンスターの多くはそのスキルを有しているので、自然とスキルレベルは上がっていた。


そして適当な敵を探していると、一対のホブゴブリンがティールの目の前に現れた。


(ホブゴブリンか……丁度良い相手かもな)


ホブゴブリンに軽い敵意を向けると、向こうも反応して敵意……を通り越してティールに殺意を向けてくる。


「敵意では無く、殺意を向けてくるのは当たり前か……そういう世界なんだしな」


そっちから来いよと手招きで挑発。

それにまんまんと乗ってしまうホブゴブリン。


体は一メートル後半程あり、オーク程肥満では無いがガリガリという訳でも無い体格。

そして片手に手斧を持ってティールをぶった斬り気満々。


(棍棒じゃ無いって事は……殺した冒険者から奪ったのか、それとも偶々落ちていた物を拾ったのかどちらか、か)


冒険に出れば全て自己責任の世界。

なので……常に弱肉強食の世界で生きているホブゴブリンが今日死ぬかもしれないのも……自己責任。


「遅い」


「グギャッ!?」


手斧がティールに当たる前に上段蹴りを食らい、手斧をは宙を舞う。

考えていなかった事態にホブゴブリンが戸惑う中、ティールは一歩下がって身体強化のスキルを使用して突進を繰り出す。


「ボギャッッッ!!??」


ティールの突進をモロに食らったホブゴブリンは後方に大きく吹き飛び、そのまま木に激突して揺らす。


「えっと……これで終わり、みたいだな」


たった一回の突進だが、それだけで勝負は完全に終わった。


「う~~~~ん、ホブゴブリンが相手だと単純に弱すぎてここまでの威力が出たのか、それとも突進のスキルを使用した結果、とんでもない威力が出たのかいまいち分からないな」


事実は、両方。ティールの実力でホブゴブリンを相手に身体強化のスキルを使って突進を行えば、それは明らかにオーバーキルだ。


そしてそもそも突進のスキル自体、使用者のスピードによって威力が作用する。

ティールはパラメーターで考えるとスピード寄りなので、突進を使えば必然的に威力が増す。

今はまだ体重が足りないが、体が大きくなれば体重という威力も加算されることになる。


「……とりあえず、次は爪撃を使うか、って・・・・・・もしかして狙っていたのか?」


ティールは木の上に乗っかていたフォレストモンキーに爪撃スキルによる斬撃を放つ。


「「ウキャッ!?」」


木の上にいたフォレストモンキーの数は四体。ティールの考え通り、漁夫の利を狙っていたが呆気なくホブゴブリンが殺されたので計画は台無しになった。


だが、片方の得物は残った訳なのでどう倒すか考えていたのだが、一瞬でティールはその存在に気が付いて殺しに掛かった。


「まずは二体か」


爪撃による遠距離攻撃で二体のフォレストモンキーが体をバラバラにされて死亡。

ちなみにティールの指は当然五本なので、五つの斬撃が放たれることになる。


自分達が見つかっていると思っていなかったフォレストモンキーの殆どが反応出来ておらず、不運にも二体は殺されてしまった。


しかし残りの三体は無傷で残っているので、木の上から飛び降りてティールに襲い掛かった。


「逃げれば良いものを……まっ、逃がしはしないけどさ」

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