第7話 夢

高校の時の出来事であった。サッカー部の休日練習で学校の部室にいる時のことで、練習が終わり着替えている途中だった。

「なあ、マネージャーの中で〇〇が一番可愛くね?」

隣のロッカーの慎吾が話しかけてきた。俺は急な問いだったので少し考えていると

「いや、絶対〇〇が一番可愛いって!」

慎吾はかなりの勢いで言ってきたので

「お前、〇〇のこと好きなの?」

俺は少しいい加減に返してみたが、慎吾は少しにやつき

「俺、今度告白してみようかなって思ってるんだよね」

「マジか!」

俺は思わず大きな声をあげ驚愕した。それを聞いて他のサッカー部の連中が集まってきて、瞬く間に慎吾が〇〇のことが好きで、告白しようとしていることが広まった。部室の中ではお祭りが始まった。手でロッカーをリズムよく叩いて太鼓の変わりにしたり、中には石みたいに固まってる奴もいたり、「ファーーーーーー」と叫びながら飛び跳ねているおかしな奴もいたり、それぞれ反応が違う。俺はというと、誰かが誰かに告白するとなるとなんだか、半分遊び心が奮い立って楽しくなり茶化したくなったりするが、半分真剣に恋が成就してほしい気持ちになるという、不思議な気持ちに浸ってニヤニヤしていた。

それから周りの連中の促しによって今すぐ告白することになった。ふざけ半分で言っている奴もいたが慎吾は本気になって部室から飛びだし、女子マネージャーの部室に突っ走っていった。俺たちは慎吾の後をついていき事の顛末を見守ることにした。

「〇〇、体育館裏まで来てもらっていいか?」

慎吾は部室の扉をおもいっきり開けた。

「ちょっと、いきなり開けないでよ!」

慎吾はボコボコにされつまみ出され、ピシャリと扉を閉められた。

数分してから女子マネージャーの部室の扉が開き〇〇が出てきた。体育座りして待っていた慎吾はシャキリと立ち上がり

「〇〇、ちょっといいか?」

「うん、、、、いいよ、、、」

慎吾は〇〇を連れ出して体育館裏へとむかった。それをみていた他のマネージャーたちも興奮気味に2人の後をついていった。気がついたらサッカー部の大所帯がなぜか体育館裏へと連なっていた。

体育館裏は誰も近づかないこともあり静かであった。そんな静けさの中、慎吾の心臓の鼓動があたりに響き渡りそうであった。慎吾は気持ちを落ち着かせるため深呼吸をし、吐き切った後〇〇の目を見て

「〇〇、俺ずっとお前のことが気になってたんだ。だ、だからさ、その、俺と付き合ってください!」

そう言って目をつぶった。慎吾は緊張しながらも思いの丈をぶつけた。

数秒たち

「嬉しい、、、」

〇〇はつぶやいた。その言葉を聞いた慎吾は目を開いて彼女の顔を見た。彼女は続けて

「好きになってくれるなんて本当に嬉しい。でも、本当にごめんなさい。他に好きな人がいるの。」

彼女は深々と頭を下げてその場から去った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

狂人達の宿 モンモン @monmon12345

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る