第150話 水着回➂

 上杉グループもプールにやって来て更に賑やかになってきたぞ。


「あれ、颯君は監視員なのね? 一緒に遊びたかったのに残念だわ」


「ケイトさん、上からすみません……そう言う事ですので皆さんで楽しんでくださいね?」


「みんな、遅いじゃないか!? 一体、何をしていたんだよ!?」


「うるさいわね、カイト!! 私達は直ぐに着替え終えたけどケイトがモタモタしていたから仕方がないじゃん!!」


 えっと、この身長が高い人はたしか三年の宇佐美沙耶うさみさやさんだったっけ?

 

 前にケイトさんから唯一、彼氏がいる人だって聞いた事があったな。


 しかし、この宇佐美さんもケイトさんに負けず劣らずのプロポーションだな。

 それにピンク系のワンピースの水着も良く似合っているなぁ……


「はぁ……こんな暑い日にプールって面倒くさいなぁ……」


「何、訳の分からない事を言っているのよ、加奈は? 暑いからプールに入るんじゃないの!!」


「だって水着に着替えるのも面倒だったし、ケイトの着替え終わりを待つのも面倒だったし、プール後は身体を拭いてまた着替えなきゃいけないのも面倒じゃん」


「ゴメン、加奈……」


 この面倒くさがりの人は三年の柿崎加奈かきざきかなさんだったかな?


 ほんと、この人は何に対しても面倒くさがりみたいだなぁ?


 結構、美人でスタイルも良いけどちょっと猫背で姿勢が悪いから勿体ない気がするけど、これも面倒くさがりの性格が出ているのかもしれないな。


 しかし、それにしてもさっき上杉カイトが言っていた通り、ケイトさんと直江さんの水着姿は眩し過ぎるくらい良いよなぁ……


「まぁまぁ、皆さん、そんなにブツブツ言わないで今日はプールを楽しみましょうよ?」


「おっ、カノンちゃん、やはり水着姿とても似合っているじゃん!!」


「な、何よ? カイトに褒められても別に嬉しくなんてないんだからね!!」


「フンッ、だったら竹中師匠に感想を聞いてみようか!! 竹中師匠、カノンちゃんの水着姿はどうですか!?」


「えっ!? きゅ、急に俺に振らないでくれないか!?」


「いいじゃないですかぁ? なっ、カノンちゃんも竹中師匠の感想を聞いてみたいだろ?」


 バカを言うな、上杉カイト!! 直江さんが俺の感想を聞きたがるはず無いじゃないか。


「う、うん……竹中君の感想なら聞きたい……かな……」


「えーっ!?」


「だそうですよ、竹中師匠!! カノンちゃんの水着姿はどうですかぁ!?」


「ど、どうですかと言われても……」


うわっ、直江さんが凄く赤い顔をしながら俺の方を見ているぞ……


「ちょっと待って、颯君? カノンの次は私の水着の感想も聞かせてね?」


「あ、はい……」


 直江さんの水着はグリーンのスカートタイプのワンピースでとても可愛らしい。


 ハーフ顔の色白で小柄な直江さんだけど、この雰囲気はどこかで見た事がるんだよなぁ……うーん、どこで見たんだろう……


 あっ、そうだ!!


『ピーターパン』に登場する妖精の『ティンカーベル』に似ているんだ!!


「な、直江さんは妖精みたいですね?」


「えーっ!! わ、私が妖精みたいですって!? ま、まさかそんな感想をもらえるなんて思ってもいなかったわ……竹中君、ありがとね……」(ポッ)


「あっ、カノンちゃん、顔が真っ赤だな!?」


「あ、赤くなんてなってないわよ!! それよりもカイトは向こうで男子達と遊んびなさいよね!!」


「カ、カノン……あなた、もしかして……」


「え? いや、ケイト先輩違いますよ!! 私は別に竹中君の事は何とも思っていませんから!! ただ妖精みたいって言ってもらえたのが嬉しいだけで……まぁ、先日、不良達に絡まれた時に助けてくれた竹中君は凄くカッコよくて思わずキュンってしちゃいましたけど……で、でも全然、違いますから!! ただ私もカノンって呼んでくれてもいいかなぁとは思っていますけど……でも違いますよ!!」


 直江さん、凄い早口だな。

 それに何が違うんだろう?


「フーン……なんか怪し過ぎるけど別にいいわ。それよりも颯君、私の水着はどうかしら? かなり悩んでこの水着にしたんだけど……」


「は、はい……」


 えーっ、ケイトさんの水着は片方の肩が出ているビキニだから、前に陽菜さんが試着していた『ワンショルダービキニ』ってやつだな?


 他の女子達よりも肩幅があるケイトさんにピッタリの水着かもしれないな。

 片方だけ出ている肩がやけにセクシーだ。


 っていうか、いつの間にか俺ってマジで水着評論家みたいになってきているぞ。


「ケ、ケイトさんのそのワンショルダービキニ、凄く似合っていますよ。片方の肩が出ているのがとてもセクシーですね」


「ありがとう颯君!! この水着にした甲斐があったわ。それにしても颯君がワンショルダービキニを知っているのに驚いちゃったなぁ。さすがは颯君、尊敬しちゃうわ」


 さすがって言われるのは凄く恥ずかしいけど、とりあえず喜んでもらえたみたいでホッとしたぞ。



「颯君、監視員ご苦労様」


「え? ああ、魔冬達か? 家の中の仕事は片付いたのかい?」


「うん、忍ちゃん達が凄く頑張ってくれたから思ったよりも早く終わる事ができたわ。だから春日メイド長が少しだけプールにいるみんなのところに行ってもいいって言ってくれたの」


「って事はTシャツの下は水着を着ているってことなのかい?」


「フフフ……着ていないわよ。私達はあくまでもお仕事だからねぇ……少し残念な気もするけど仕方が無いわ」


 なんか魔冬達の水着姿が見れなくて少し残念な気持ちになっている俺って……


「そう言えばまだ羽柴副会長のグループの人達と黒田先生が来ていないみたいだね?」


「そうだな……そんなに水着に着替えるのって時間がかかるのかい?」


「そんな事は無いと思うけど……」


 って事は絶対にワザと遅れている可能性もあるよな?


「今日のプールは羽柴副会長が一番、楽しみにしていたんだし、きっと凄い水着姿で現れて主役の座を奪うつもりじゃないかしら?」


 なんか、魔冬の言っている事が当たっている様な気がしてきたけど、それじゃぁ黒田先生は何をしているんだろう?



「ちょっと羽柴さん、何で先生の背中を押すのかなぁ?」


「黒田先生がなかなかプールサイドに行こうとしないからですよぉ!!」


「だって、ここは先生が最後に超セクシー水着姿で登場して、みんなの視線をくぎ付けにする場面じゃない?」


「な、何をおっしゃっているんですかぁ? その役は私がするって合宿前から決めていたんですよぉ!! だから黒田先生が私の為に先に出てお膳立てをしてくださーい!!」


「何でお膳立てなんてしなくちゃいけないのよぉ? その役は羽柴さんが適任よぉ」


「バカな事を言わないでください!!」


「バカな事を言っているのはあなたよぉ!!」


「 「どうでもいいから二人共、早く行ってよ!!」 」


 は!? 


 最後にどっちが登場するのかで揉めていたから遅かったのか!?


 オイオイ、勘弁してくれよぉ……


 全員が登場するまでにどれだけの文字数を使ったと思ってるんだ!?

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