第42話 ちょっと待って!!

 さぁ、遂に『副将戦』かぁ……


 野々花さんは『馬場野々花ばばののか』っていうんだな?


 そしてその相手が二年生の『直江カノンさん』かぁ……


 さっきから凄い自信満々に見えるけど見た目だけで言えば馬場さんの方が身長もあるし肉付きもいい……


 それに比べて直江さんは身体も小さいし、華奢きゃしゃに見えるんだけどなぁ……


 正確はきつそうだけどそれだけで腕相撲に勝てたら苦労はしないんだが……


「それでは二人共、腕を机の上に置いてくれるかな~? さぁ、始めるわよ~? レディ~ゴ~ッ!!」


 グッ!!


 おーっ!! 二人共凄い力が入っているぞ。


 それに直江さんは思った以上に力あるんだな?


「くっ!! この子、意外と力があるわ!!」


「フフフ……馬場先輩? 人は見かけによらないんですよ……」


 ググッ!!


「くっ!! ほ、ほんとね……でも、私は静香にまで回さずに勝ちたいのよ!!」


 グググッ!!


「えー? 何でですか~? 『大将戦』までやる方が盛り上がるじゃないですかぁ?」


 ググググッ!!


「べ、別にあなたに理由を言う必要なんて無いわ!! とりあえず私が勝てばいいのよ!!」


 ググググーーーッ!!



 おーっ!! 馬場さんの方が有利になったぞ。


 これはこのまま馬場さんが直江さんの腕を押し倒す可能性大だな!!


「馬場先輩? 私、去年一年ずっと学年一位だったんですよぉお」


「しっ、知ってるわよ!! だから何なのよ!?」


「私の『座右の銘』を教えてあげますね?」


「はーっ!? こんな時に何よ!?」


「私の『座右の銘』は……『文武両道』なんですよぉぉおおお!!」


 ブワンッ バシンッ!!


「キャッ、痛い!!」


 な、何だとーッ!?


 あの位置から直江さんが大逆転して勝ってしまったぞ!!


 な、なんていう力なんだ……


「イタタタタ……あ、あなた去年までそんなに腕相撲強くなかったのに何で? もしかして今まで本気を出していなかったとでもいうの?」


「そうですねぇ……今までの争いの内容は私にとってどうでもいいことばかりだったので本気を出す気になれなかったんですよぉぉ。でも今回はケイト先輩に初めて彼氏ができるかどうかという大事な戦いですからねぇ……ここで本気を出さなければいつ出すんだって感じじゃないですかぁ……」


 お、恐るべし、直江カノン……


 さっきの内藤さんにも匹敵するくらいの腕力だぞ、アレは……


「カノン、よくやったわっ!! 『今までの争いの内容は私にとってどうでもいい』って言葉にはカチンと来たけど、この大事な戦いで勝ってくれたから許すわ!!」




「し、静香ゴメン……私で決めたかったのに……」


「いいのよ、野々花……。あんたはよくやってくれたわ。私の為にありがとね……」


「でも静香!! あんたは今、右手を……」


「大丈夫よ。私は大丈夫だから……今ある全ての力を私の右腕に集中させるから……」



 何か、武田チームは『クサいセリフ』を言い合っているな?


 みんな、俺の気持ちは考えてくれているのだろうか?


 いや、それは無いよな。有ればこんな『茶番』やる訳無いしな。



「さぁ、いよいよ~両チーム『大将』の登場で~す!!」



「 「 「うわぁぁああああああ!!!!」 」 」


「 「 「二人共頑張って~っ!!!!」 」 」



「会場が盛り上がってきましたよ~!! 解説の山本カンナさん、いかがですか~?」


「わ、私いつから解説者になったのよ!? 私は副審でしょ!?」


「えーっ? カンナちゃんノリ悪いな~私寂しいわ~……それではここでゲストの竹中颯さんにお聞きしたいと思いま~す!! さぁ、本日メインイベントの『大将戦』はどう思われますか~!?」


「えーっ!? お、俺ですか!?」


 あっ!! 山本さんが面倒だから何か答えろ的な表情をしているぞ!!

 

 うーん……何て答えるべきか……


「はい、それでは本日の最終戦、『大将戦』を行いま~す!!」


 お、俺に対する質問はどこに行ったんだ、毛利茂香!?


 ん? 山本さんが茂香の事は気にせず『大将戦』をしっかり見ておけ的な表情をしているぞ!!


 ってか、何で俺は山本さんの心の声が分かるんだ!?


 も、もしかして俺がエスパーだったのか!?


 そして遂に武田静香対上杉ケイトの『大将戦』が始まる。


 両者、力強く手を握り合い、微妙な動きで調整をしている様だ。


 さすがは『大将戦』だ。見ているこちらも緊張して来たぞ。


 ってか、俺はこの後の結果に対してどう対処すればいいんだ!?


 それを考えると更に緊張して来たぞ……



「それでは~レディ~ゴ~!!!!」



 ググググッ!!


 おーっ!! 両者、最初から本気モードだぞ!!



「そ、そこの二人!! 直ちに腕相撲を止めてください!!!!」


 えっ、誰の声だ?


「 「えっ!? 誰よ、私達を止めるのは!?」 」



 そして俺は声の主の方を見て驚いた。


 そこには肩で息をしながら羽柴副会長と平手書記に挟まれて怖い顔で立っている織田乃恵瑠会長がいたのだった。





―――――――――――――――――――

お読みいただきありがとうございました。


以外にも直江カノンは強かった。

どうも今までは本気を出していなかったらしい。


そして二勝二敗となり決着は大将戦へ!!


静香とケイトが気合いを入れながら戦いが始まった最中、突然、腕相撲を止めろという声が鳴り響く。


なんとその声の主は織田乃恵瑠会長だった……


ということで次回もお楽しみに(^_-)-☆


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る