13・Twiiterでほぼ毎日投稿、当サイトでの更新は不定期

・アルティメットな彼女


「なんかぶつかった?」

彼女の側には男が転がっている。大方背の低い女だからとぶつかりに行ったのだろう。そんな性根の者を同情する気はないが、よりによって狙ったのが彼女なのは運の悪い奴だと思わなくもない。

「ただの粗大ゴミだよ。気にするな」

骨が砕けて悶絶する男を無視して再び歩き出す。






・ライバル


「うちの子にあまり変なこと教えないでくださる?」

「変なことなんか教えてないよ、一緒にゲームしてるだけだもん」

そう言ってべっと彼女は舌を出す。まだ幼い娘と並べても、時々どちらが子どもなんだかわからなくなる。

「私はこんなのに負けたのね」

かつてのライバルは今も変わらず眩しい人だ。






・野良犬


「いつまでもあの子とはいられないでしょ。私たち世間さまに顔向けできる仕事してないし」

「わかってる」

「辛いなら私がヤッてあげようか?特別に依頼料は無──」

言い終わるより先に彼女から拳銃をつきつけられていた。肩をすくめて両手を上げる。

「あの子をよっぽど気に入ってるんだ。妬けるね」






・くびったけ


「首を探してるの?なら私のあげよっか」

彼女は自分の首を指し、親指で掻っ切るような仕草をしてみせた。

「何を言っている」

「そこそこ美人だと思うし、どう?」

彼女は見たところこの国の女学生だろう。首無しのヒトガタを見て驚かないばかりか、自身にメリットのない提案までする理由が掴めない。






・知恵熱


「何してんだびしょ濡れじゃねーか」

「リンのこと考えてたらここに来てた」

「傘くらいさせよ……」

濡れ鼠なジェーンへタオルを投げた。風呂を沸かすための準備をして戻ると、彼女は頭にタオルをのせたままぼんやりとしている。

「風邪ひくぞ」

「もうひいてるよ」

ジェーンはリンを真っ直ぐ見た。






・しにたがりな彼女


「本当は今すぐぶっ殺してやりたいくらい自分が嫌いなんだ」

彼女は楽器を置いて肩を回した。額に浮かぶ汗をぬぐい、水を飲む。

「理想に届かない私は嫌い。死にたいけどそれじゃ永遠に理想には届かなくなる。生きて、ギターを弾く。死ねないよ、死にたいけどみんなでもっとすごいとこ行きたいから」






・腐れ縁フォーエバー


「いつか私たちの子孫が宇宙を救うヒーローになるかも」

「子孫て……結婚できんのあんた。モテないのに」

宇宙のことも子孫のこともよくわからない。だが彼女の言う未来には、なんだかワクワクしてしまう。

「てか末代まであんたの血筋に絡まれなきゃいけないの」

「末長くよろしく!」

「嫌だ……」






横書き表示推奨。2021.03.17から2021.03.23までにTwitterへ投稿した約140字の創作百合小説をまとめました。

最終更新日・2021.06.22

・アルティメットな彼女(物理的にめちゃ強な女と普通の女)

・ライバル(かつてライバルだった女と今はママ友関係な女の話)

・野良犬(初めて執着するものを見つけた、危ない仕事をしてる女の話)

・くびったけ(雌型のデュラハンが死にたがりの女子高生と出会う話)

・知恵熱(ぶっきらぼうな世話焼き女とふらふらしてて何考えてるかわからない女の話)

・しにたがりな彼女(めんどくさい性格をしたギターを弾く女の話)

・腐れ縁フォーエバー(なんやかんやあって遠い未来まで関わることになる血筋の始祖となる女二人の話)


「pixiv」と「小説家になろう」にも投稿しています。

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