12・Twiiterでほぼ毎日投稿、当サイトでの更新は不定期
・あさのとよるみ
仕事を終えて帰る頃、彼女はとっくに出勤しているから家には誰もいない。代わりに、冷蔵庫の中には彼女のお手製の朝兼お昼ご飯が入っているのだ。仕事の準備で朝は忙しいだろうに。つい、頬が緩む。
手を洗い部屋着に着替え、彼女の手料理をレンジへ。眠気なんて気にならないほどワクワクする時間。
・ありのまま
「だって君が言ったんじゃん。自立してて、人に甘えなくて、丁度いい距離感でいれる。そういうあんたが好きだって。だから私は言われた通りにしてるだけだ」
「言ったけど、そんなに怒るならわざわざ従わなくたって」
「君に嫌われたくなかったんだよ!」
彼女の大声を初めて聴いた。彼女は本気だった。
・祭りと酒と二人
祭りの喧騒から離れたところ。神社の境内には先客がいた。顔の上半分を隠すお面をつけた女が賽銭箱の前に座っている。
「あなたも騒がしいのが苦手なタチ?」
話しかけられたので彼女から少し離れたところに立った。お互いビール、彼女はたこ焼きを持っている。
「でも私祭りが好き。君もじゃない?」
・マシーナリー・マイフレンド
「何固まってんの」
「びっくりしたから」
「ハグされたらハグし返す!ほら!来い!」
妙なテンションで促され、だらりと下がっていた両腕を彼女の背中へ回す。「壊れものを扱うように」とロマン漂う仕草ではない。油をさしてない機械のようにぎこちない動き。
「これでいい?」
「今はいいよ。許す」
・いじっぱり
ベッドにぐったりと横たわる彼女の背中をなでた。苦しそうに息をしながら目を瞑る。見ていて居た堪れない。
「何か飲みたいものある?」
「ない」
「して欲しいことは?」
「ない……」
一人にしてもらいたいのだろう。言われた通り部屋を出る。高熱にうなされてる時ですら、彼女は甘えてくれない。
・かみさま
「誰もとりゃしないから、自分のペースで食べな」
生返事しながらひたすらに目の前の食べ物をかっこむ。熱くて舌を火傷しようがお構いなしだ。そのくらいお腹が空いて行き倒れていたのを彼女に拾われたのだ。
「鍋つくっててよかったなー」
彼女自身の食事だろうに、彼女は一口も食べようとしない。
・リズム
ドラムスティックでカウントを取る音が好きだ。彼女のリズムに乗ることでどこへだって行ける気がする。彼女と二人、ドラムとベースでこのバンドを支えてどこまでだって音楽をやっていたい。
「今日も息ぴったりだね」
リーダーに褒められピースサインをする。ドラムセットの彼女は無愛想に頷くだけ。
横書き表示推奨。2021.03.10から2021.03.16までにTwitterへ投稿した約140字の創作百合小説をまとめました。
最終更新日・2021.06.22
・あさのとよるみ(日中働いてる女と夜働いてる女)
・ありのまま(無意識に呪いをかけた女と昔好きな女に言われたことを律儀に守ってる女の話)
・祭りと酒と二人(祭りの夜にお面をつけた女と出会った女の話)
・マシーナリー・マイフレンド(不器用な女とそれをやたら構いたがる女の話)
・いじっぱり(甘え下手な女をどうにか甘やかしたい女の話)
・かみさま(帰る場所もなく行き倒れてた少女とその子を見つけた女の話)
・リズム(ベーシストの女とドラマーの女の話)
「pixiv」と「小説家になろう」にも投稿しています。
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