7・Twiiterでほぼ毎日投稿、当サイトでの更新は不定期
・トリガーハッピーサッドネスガール
彼女はひどく狼狽した様子だった。いつも明るくて楽しそうで、周りの人まで幸せにしていくような彼女の面影はどこにもない。
「一人にしないで置いてかないで行っちゃやだ……」
彼女の中でふるい記憶に関するトリガーが引かれたようだった。まずは落ち着かせようと背中をさすり大丈夫と声をかける。
・鼠花火
レッスン室の大鏡で何度も振りとステップの確認をする。動きを止めれば当然鏡像も止まる。
「……本当、踊ってないお前はつまんない奴だな」
「ちょっと、私の推しパフォーマーになんてこと言うの」
いつのまにか部屋にいた彼女に肩を叩かれる。返事が面倒で、顔を覆うようにタオルで汗を拭った。
・うちの末っ子が可愛すぎる件
実家にいる20も離れた末の妹はもう妹というより娘に近い。「帰らないで」と懇願されてしまうと、折れそうになる。
「お姉ちゃん明日も仕事が」
「やだ!」
「仕事しないとお金なくなっていっちゃんに会いに来れなくなるよ」
子どもに論理は通用しない。末妹のヤダヤダ攻撃は厄介で、何より愛おしい。
・幸せリフィーディングシンドローム②
「甘えて全部委ねるの怖い。君のこと信頼してないわけじゃない、私が臆病なせいだ。こんな面倒な人間相手にしてないでもっと君は普通の子といなきゃ、私といたら幸せになれない」
「またそんなこと言って」
幸せ慣れしていない臆病な人を抱き寄せる。一体どうしたら彼女は自分に慣れてくれるだろうか。
・火傷とアクアリウム
水槽の中で泳ぐ生き物たちを彼女は食い入るように見ている。周りは家族連れやアベックが圧倒的に多い。
「せっかくの休みに会う相手が私でいいの?」
「いいに決まってる!久しぶりに会えるの楽しみにしてたんだから」
肩をすくめる。こうも真っ直ぐな好意を向けられると照れることすら馬鹿らしい。
・そこにいる
干渉されるのを何より嫌う彼女があの人を側に置いている。それだけでも大きな進歩だし、彼女にとっていかにあの人が大きな存在であることか。
「彼女は私の邪魔をしない。ただそこにいるだけだ。追い払う理由がない」
「気難しい君がずいぶんご執心だね」
「用がないなら切る」
電話は無情に切られた。
・むかしの話
「好きって言わなきゃよかったんだ」
「女が好きで好きな子に告白して、それだけであんなからかわれること」
「正しいのはみんなで私はいつだって間違ってる。それでいい。十年前の恋を引きずってる方が悪い」
「でも」
「優しいな。惚れちゃいそう」
彼女は悪ぶった笑み。いたたまれず、目を逸らす。
横書き表示推奨。2021.02.02から2021.02.08までにTwitterへ投稿した約140字の創作百合小説をまとめました。
最終更新日・2021.05.10
・トリガーハッピーサッドネスガール(トラウマ持ちの明るい女とそのバディ)
・鼠花火(アイドル百合・ステージ上の自分にしか存在価値を感じない女とその女を「推し」と呼ぶ同じユニットの女)
・うちの末っ子が可愛すぎる件(歳の差姉妹百合)
・幸せリフィーディングシンドローム②(幸せ慣れしてない人と甘やかしたい人)
・火傷とアクアリウム(友達同士の百合)
・そこにいる(最近お気に入りを見つけた気難しい女×そのことが不思議な彼女の友人)
・むかしの話(ビアンの女とヘテロの女)
「pixiv」と「小説家になろう」にも投稿しています。
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