第91話 ライブカメラ
7月2日午前10時になった。
晴南達は封木神社へとやって来ていた。
封木神社の第一社務所の大広間に晴南達が集まっていた。
美咲が麻衣子に言った。
「はあ、良かった。やっとこれで家に帰れるわ。」
麻衣子が美咲に言った。
「旅館暮らしも快適だと思うんだけど?やっぱり自分の家の方がいいものなの?」
美咲が麻衣子に言った。
「快適ではあるんだけど、九木礼温泉は町の西側にあるからベリエからとっても遠いのよ。ベリエに行くだけでヘトヘトになっちゃうんだもん。」
麻衣子が美咲に言った。
「九木礼温泉からベリエまでだと確かに遠いわね。」
麻衣子が晴南に尋ねた。
「それで晴南??もう美咲の家のお祓いは終わったの??」
美咲が麻衣子に言った。
「晴南がここにいるって事はもう終わったって事でしょう?」
すると晴南が美咲に言った。
「あっ!!そうだ!!すっかり忘れてた??」
美咲が大きな声で晴南に言った。
「はあ??だったら昨日1日なにやってた訳??」
晴南が美咲に言った。
「いろいろとあって大変だったのよ。」
美咲が晴南に言った。
「そのいろいろってどうせまた晴南がトラブル起こしたからでしょ?」
晴南が美咲に言った。
「私は関係ないの!!」
すると晃太がみんなに言った。
「実は明井田が大変な事になってたんだ。」
晃太が事情を知らない麻衣子達に昨日明井田であった事を詳しく説明した。
亜美が晃太に言った。
「えっ??そんな事があったんですか??」
冬湖が晃太に不安な様子で尋ねた。
「どういう事なんですか??集団で首吊りなんて??」
晃太が冬湖に言った。
「俺も訳が分からない。」
晃太がみんなに言った。
「俺は少なくとも昨日の明井田で1125人が玄関前やベランダで首を吊ってるのを目撃してる。」
麻衣子が晃太に言った。
「なにそれ?めちゃくちゃ怖いんだけど??」
美咲が晃太に言った。
「ねえ晃太君、そんな話怖いから止めてよ。」
晃太が美咲に言った。
「いや大事な事だからみんなにも知っておいてほしいんだ。」
美咲がみんなに言った。
「なら私はその間、西の間にいってるわ。その話が終わったら呼びに来て??」
二実が美咲に言った。
「それなら美咲ちゃん、西の間の冷蔵庫にベリエのガトーショコラが入ってるから食べちゃっていいよ。」
美咲が二実に言った。
「いいんですか?ありがとうございます。」
すると美咲が亜美に言った。
「亜美も一緒に来て??ガトーショコラを一緒に食べましょう??」
亜美が美咲に言った。
「分かりました。」
そして亜美と美咲は大広間から出ていった。
麻衣子が言った。
「まあ美咲は怖い話は苦手だから仕方ないか。」
麻衣子がみんなに言った。
「それにしても明井田で集団で首吊りとか怖すぎるわね。」
晃太がみんなに言った。
「その事で一つ気になる事がある。」
冬湖が晃太に尋ねた。
「黒宮君なにが気になるんですか?」
晃太が冬湖に言った。
「実は今日の朝ニュースでは何も言ってなかったんだ。」
すると優斗が二実に尋ねた。
「二実さん、事務室のパソコンを使いたいんですがいいですか?」
二実が優斗に言った。
「別にいいよ。」
優斗がみんなに言った。
「みんな事務室に来てくれないかな?」
晴南達は優斗に促されて事務室へと移動した。
事務室の中はその名の通り事務所のようになっており、机や椅子やパソコンなど事務所に置いてありそうな物が並んでいた。
晴南達はまずパソコンを立ち上げた。
すると優斗が話を始めた。
「今日の朝にグールルのニュースサイトを見てみたんだけど全然昨日の首吊りがニュースになってないんだよね。」
優斗がみんなに言った。
「この24時間以内で新しく発信されたニュースに絞って明井田で検索をかけてみたんだ。すると劇団ビリーの明井田での公演が始まったってニュースと熊の安全パトロールが実施されたっていうニュースの二つだけだったんだ。」
冬湖が優斗に尋ねた。
「どういう事なんですか??」
麻衣子が優斗に言った。
「まさか千人以上が首吊り自殺をしてるっていうのに誰も気にしてないなんて事はないよね?」
晃太が麻衣子に言った。
「いやどうもそのまさかみたいだ。」
すると晃太はパソコンを操作して動画サイトのmetubeのサイトへと移動した。
metubeの画面がスクリーンに表示されていた。
晃太はとある商店街の映像を表示した。
「これを見てくれ。明井田商店街のライブカメラの映像なんだが。」
晴南が晃太に尋ねた。
「ライブカメラの映像って?」
晃太が晴南に言った。
「明井田商店街に設置されているカメラの映像を動画サイトを通じてリアルタイムで配信してるんだ。」
優斗が晃太に言った。
「要するに現在の明井田商店街の様子が見れるって事だよ。」
するとこの映像におかしな所がある事に麻衣子が気づいた。
麻衣子が言った。
「何これ??店の前で首を吊ってる人がいるのに、誰も気にせずに通り過ぎていく??」
明井田商店街の店の前で首吊りをして死んでいる人がいるのに、通行人はそれを全く気にする様子がなく通り過ぎていっているのだ。
何百人という人々が首吊りを吊っている人を放置してそのまま通り過ぎていった。
三緒が言った。
「この通り過ぎていく人達は首吊り死体が見えてないの?」
二実が動画を見ながら三緒に言った。
「いやかなりの人が首吊り死体の方を見てから通り過ぎてるから、たぶん気づいてはいるんじゃないかな。」
三緒が二実に言った。
「気づいているのに無視してるって言うの??そんな事ありえないでしょ。」
二実が三緒に言った。
「みんな気にしなくていい事って思ってるのかもしれないわね。ベルガで首吊りを発見した時もそういう反応をされたしね。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます