第20話 部員

一方こちらは喫茶店ベリエの店内である。


喫茶店ベリエの中には美咲と冬湖と由香がテーブル席に座っておしゃべりをしていた。


美咲が冬湖に言った。


「ちょっと聞いてよ!冬湖!」


冬湖が美咲に尋ねた。


「美咲さん、どうしたんですか?」


美咲が冬湖に言った。


「ママにおこずかいを増やしてって頼んだの!」


冬湖が美咲に尋ねた。


「それでどうだったんですか?」


美咲が冬湖に言った。


「ダメって言われたの、ムダ使いしなければいいでしょって!もうママってばケチすぎるのよ!」


美咲が冬湖に言った。


「かわいい娘にはもっとおこずかいをあげるべきよ!欲しい物がいっぱいあるのに、おこずかいが足りなくて全然買えないじゃない!」


冬湖が美咲に言った。


「その気持ちはよく分かります。」


由香が美咲に言った。


「美咲さん、私も分かります。」


美咲が冬湖に言った。


「月の三分の一しかスイーツが食べられないのよ、こんなの納得できないわ。」


冬湖が美咲に言った。


「そうですよね。好きな物はいっぱい食べたいですよね?」


美咲が冬湖に言った。


「本当よ!」


すると年配の女性店主が美咲が注文したメニューを美咲達が座っているテーブル席に持って来た。


「はい、お待たせ。」


チョコレートパフェが美咲の前に置かれた。


そのチョコレートパフェは美咲が注文したものだった。


店主はチョコレートパフェを置くと店の奥に戻っていった。


すると美咲は銀色をスープンを手にとってチョコレートパフェをほおばり始めた。


美咲が満面の笑みを浮かべながら言った。


「はあ、幸せ!!この味を永遠に楽しみたいわ!!」


冬湖が美咲に言った。


「幸せそうですね。美咲さん?」


美咲が冬湖に言った。


「チョコレートパフェを食べてるのよ?幸せに決まってるわ。」


すると再び店主が美咲達のテーブル席までやって来て、レモンティーを二つテーブルに置いた。


それは冬湖と由香が注文したメニューだった。


店主が美咲達に尋ねた。


「注文はこれでいいかい?」


冬湖が店主に言った。


「はい、大丈夫です。」


由香も頷いた。


すると美咲が待ったをかけた。


「あっ、待ってください。」


冬湖が美咲に言った。


「美咲さん、追加の注文ですか?」


美咲が冬湖に言った。


「違うわ。」


美咲は冬湖と由香に言った。


「いつも思ってたんだけど冬湖?由香?一体どいうつもりなの?」


由香が困惑した様子で美咲に言った。


「えっ?あの?」


冬湖が困惑しつつ美咲に尋ねた。


「どういう事ですか?美咲さん?」


美咲が冬湖と由香に言った。


「二人ともベリエにはちょくちょく来てるのに、頼むのはいつも飲み物だけってどういう事?ベリエに来てるのにスイーツを食べないなんてもったいないと思わない?」


美咲が冬湖と由香に言った。


「ここは喫茶店だからスイーツの味なんて大したことないなんて思ってるんじゃない?そんな事ないのよ。店主のトキエさんはね。昔は人気の洋菓子専門店ボルガでパティシエをやってたんだよ?お菓子造りのプロなんだよ?ガートショコラとモンブランも絶品なんだよ?あとマドレーヌも侮れないわ。」


店主が美咲に言った。


「もう美咲ちゃんたら、嬉しい事を言ってくれるね。」


すると冬湖が美咲に言った。


「分かりました。それじゃあマドレーヌを頼んでみますね。」


由香も慌てて美咲に言った。


「わ、私もモンブランを頼みます。」


美咲が冬湖と由香に言った。


「そうそう、スイーツを食べれば幸せになれるのよ?味はこの私が保証するわ!」


冬湖が美咲に言った。


「それは楽しみですね。」


美咲が冬湖に言った。


「そうでしょ?」


店主のトキエさんは注文を聞くと店の奥へと戻っていた。


それから少し経ってベリエの出入口のドアが開いた。


店内にベルの音が響き渡る。


晴南がベリエの店内に入ってきたのだった。


晴南はすぐに店内を見渡して美咲達を見つけた。


「あっ、いたいた!!」


晴南は美咲達が座っている席までやって来た。


美咲達はキョトンとした顔で晴南を見ていた。


冬湖が晴南に尋ねた。


「あの、晴南さん?どうかされたんですか?」


美咲が晴南に尋ねた。


「晴南もスイーツを食べに来たの?」


晴南が美咲に言った。


「違うわ美咲、悪いんだけど今すぐに一緒に来て!!」


美咲が晴南に言った。


「えっ?なんで??」


晴南が美咲に言った。


「理由は後で話すわ!とにかく一緒に来てちょうだい!」


美咲が晴南に言った。


「いやよ!!まだ少ししかチョコレートパフェ食べてないのよ?」


晴南が美咲に言った。


「そんなの後で食べればいいでしょ?今はとにかく来てちょうだい?」


美咲が晴南に言った。


「絶対にやだ!!チョコレートパフェを残していくなんてできない!!」


晴南が美咲に大きな声で言った。


「いいから早く来て!!拓也に負けちゃうじゃないの!!」


美咲が晴南に大きな声で言った。


「知らないわよ!!そんな事言われても!!」


すると冬湖が晴南に尋ねた。


「あのう、晴南さん?美咲さんじゃないとダメなんですか?」


晴南が冬湖に言った。


「ううん、うちの部員なら誰でもいいけど?」


冬湖が晴南に言った。


「なら私が行きましょうか?」


晴南が冬湖に尋ねた。


「えっ?冬湖?一緒に来てくるの?」


冬湖が晴南に言った。


「はい、いいですよ。」


晴南が冬湖に言った。


「分かった、なら冬湖!一緒についてきて!」


冬湖が晴南に言った。


「はい!」


そう言うと晴南は冬湖を連れて喫茶店ベリエの外に出て行った。


美咲が呟いた。


「何だったの?一体?」


こうして晴南は冬湖を連れて学校前へと戻って行った。


走りながら晴南が冬湖に言った。


「だいぶ遅れちゃった!!冬湖!!全力で走るからついてきて!!」


冬湖は走りながら晴南に言った。


「はっ、はい!」


冬湖は詳しい理由を聞かされないまま晴南と全力疾走で中学校前に向かって走っていった。

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