第36話 野党との戦い

 駆け付けた時には、防護柵が壊され、野党が村に押し入る寸前でした。


 チャメ達より、群を抜くスピードのサヨが、私を降ろし問答無用の抜刀、6尺の斬馬刀を振り抜いた時には、野党が6人胴から上下に真っ二つになり、転がって居ました。

「「「「「「ぎゃぁぁっ!!!」」」」」」

 断末摩の叫び声、暫く上半身だけでもがく6人でしたが、直ぐに力尽き動かなくなりました。


 一瞬の間に起こった、無惨な仲間の死に、怯んだ野党達は、突然降って涌いた強敵に対し虚勢を張った怒号が、虚しく響くだけでした。


 私も身体強化と共に抜刀し、野党どもを斬り倒して行きます。

 悲しいかな、身長が足らない為、相手の太股を切断する事しか出来ない!!

 脚を切断された野党は、大量出血しながら痛みに転げ回ってる。

 相手戦力削減には貢献してるよね?

 母ちゃんたちとの話で、魔法は控えた方が良さそうなので、あんまり私貢献出来て無い。


 やっと少女隊が追い付いて来ました。


 全員ピストル型クロスボウを構え一斉射撃、全ての矢が野党に当たってる。

 野党と乱戦して居るサヨと私を、まるで矢が避けてるような正確な射撃です。

 身体強化で弓の弦を引くのも素早い、即第2射、3射、4射と射つ内に野党は傷付き悲鳴と共に倒れて行き、見る間に立って居る野党が居なくなりました。


 チャメ達が見せた、クロスボウの連射って凄い!!弦を引く力もだが、どれ程練習したのやら、凄く努力をしたのでしょう。


「西の開拓村の人達!!もう大丈夫!!野党は全て退治しました!!!」

 サヨが村民に声を掛けています。

 私に出来る事、生き残って傷の痛みに呻いて居る野党を拘束し、「エリア·エクストラハイヒール!!」

 突き立った矢が抜けて、傷が癒えて行きます。

 私が脚を切断した野党、生き残りの脚が再生されて居ます。


「助けてくれるのか?」

 私の代わりにチャメが話します。

「助けるかは、お前達の今後の行動しだいだ!!」


「女達、可愛がって面倒見てやる、縄をほどけ!!」

「お前は処刑だな!!」

 短剣を引き抜き

「ひっ!!女!!正気か?止めろぉ!!!」

 首をはねます。


「次のクズ!お前だ!!」

「こ、殺さないでくれ!!相手が女ごときでも、言う事は聞いてやる」


「アネエサ様!何か変じゃないですか?」

 女性を侮ったって言うか、女性を人扱いしてない発言?

 近世より以前、女性に人権が無かった時代は長かった。

 ラノベで転生した世界は、圧倒的に中世っぽい世界に集中してた、って事は、ここは当然女性に人権が無い世界だよ!!


 村長らしき者とサヨが口論してる。

「大女!!男は居らんのか!!」

「我らはアネエサ領主様に仕えし者達です」

「アネエサ?名持ち?じゃが女の領主などおる訳が無い」

「アネエサ様が領主なのは間違い無いぞ!!!」


「女ごときに討伐される野党など、儂の村民が退治する!!女など村に入れる訳には行かん、野党を置いてとっとと立ち去れ!!!」


 サヨがついにキレた。

「盗賊の縄をほどけ!!」

「ちょっと待て!!女ども何をしておる!!」


「さて、それでは村民で退治して下さい!!我らは関知しません」


 自由になった野党の生き残り、治療済み25人はポカンとしてる。

 野党達は、村を襲って良いのか、さかんにこっちを見てる。


 サヨが頷いて「女子供、抵抗なき者は男でも殺すな!!!」

「へ?へい!!」

「村長!余計な手出しして、半数に減ったが野党退治、頑張ってくれ!!」


「ま、待て!女ども!!きさまら野党の手先か!!!」

「我らが野党どもを殺戮したのは、見て居ったであろう!問答無用!!!」

 偉そうにしていた村長と、私達を侮ってニタニタしていた村民達が絶望的な表情になってる。


 野党達は、元気に村を襲っています。



「皆で気楽に観戦しよう!!!」


 一方的蹂躙は、瞬く間に終わりました。


 村民の生き残りは予想外に多かった、村長始めニタニタ村民はサヨの命令を聞いていて、逸早く武器を捨て抵抗を止めていました。


 死傷者は老人と、勇敢に戦った子供達でした。

 私は即エリアエキストラハイヒールを発動、死んで居るかと思われた3人の老人も、微かに息があった様子、死者0の結果でした。


 サヨが恐くて、野党ども随分手加減したようです。

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