第30話 盗賊団の襲撃前編

「何じゃこりゃぁ!!!何が起こった?」

 アネエサの予想より遥かに早く、盗賊達はアジトに帰って居ました。

「女達は何処に居る!!!」

「ここは本当にアジトか?」

「帰る場所を間違えたってぇ事はねぇな?」


 絶対的支配下に有った女達が、全員逃げたと言う事も信じられ無いが、財宝処かベッドに寝具、武器庫も空何も無い、洞窟内の何もかも綺麗に無くなって居る。

 何十何百人使っての仕業か、綺麗に痕跡残さず持ち去るには100人でも不可能に思われた、残って居るのは砂のみ。

(汚い盗賊が使っていた物、気持ちが悪いので全て浄化、砂粒に変わった汚れをはたき落とした物で、砂だけが大量に残って居ます)


「今日は既に暗い、明朝手分けして大人数の移動の痕跡を探る!!」

「お頭!拐って来た女で楽しんで良いか?30人程で休む暇なく犯し続ければ、従順な性奴隷になるぞ」

「バカ野郎!!逃げた女達をひっ捕まえて折檻、フザケた真似をした奴等を皆殺しにしてからだ!!とっとと寝てしまえ!!!」



 アネエサから盗賊の話を聞き、念の為と偵察を出した蜥蜴人の酋長ハジメの機転が無ければ、緑鬼豚人村に対し一方的な蹂躙が行われる所でした。


 偵察していた、蜥蜴人戦士3人の内1人が、領主アネエサに報告する為、闇に消えました。



 領主館の所在地領主様の寝室に至るまで、蜥蜴人総出の領主館建設で、木材運搬要員に駆り出されたこの男は知って居ました。

 偵察報告要員は闇の中を駆け抜け、僅か15分で領主館に駆け込みました。


「アネエサ様!!領主様!!!お休み中申し訳ありません!!」

 アネエサは何と言っても赤ちゃんです、爆睡していて優しく声を掛けた位では起きる訳がありません。

 代わりにサヨが目を覚まし「深夜に何事ですか!!静かになさい!!!」


「申し訳ありません!!緊急報告で参りました、盗賊団がアジトの洞窟に帰って居ります」

「アネエサ様は、2~3日後とおっしゃって居られましたが?」

「女性3人を拐かし、予定を早め帰って来た様子です、盗賊団は洞窟の様変わりに腹を立て、明日襲撃するとの事、対策をせねば緑鬼豚人村は全滅します」


「アネエサ様!起きて下さい!!!」

 サヨは、アネエサの頬を優しくツンツンしています。

 寝惚けて居るようで、アネエサはニッコリ笑顔でオッパイ飲む様に口をチュウチュウさせています。

「うふっ可愛い·····」

 可愛くて暫くツンツンして居ました。


「ん?サヨなに?」

 起きないと思って居たアネエサ様に、突然声を掛けられちょっと動揺するサヨでした。

「えっ、あのぅ、蜥蜴人戦士の偵察報告です、盗賊団は既に帰還して居り、洞窟内の物資を奪った者を捜して、明日襲撃を掛けるそうです」


 しばし思案していたアネエサは、考えが纏まったようです。


「偵察報告有り難う!!」

「いえ!お役に立てて光栄です!!」

「酋長ハジメに伝言お願い!明朝緑鬼豚人村に武器を届けて、決戦場所は、村の東湧き水の休憩所」


「明朝緑鬼豚人村に武器を届ける、決戦場所は村の東湧き水の休憩所!!酋長に伝えます!!!」

 礼をして、キビキビと気持ち良い伝令兵が駆けて行きました。


 夜明けまで2時間と言った所、行動を始めます。


「サヨ!全員起こして!!」

「はい!アネエサ様!!」

 身長2.5メートルのサヨは、力強くきびきびした動き、巨大にも係わらず鈍調な所が全くありません。


 23人全員が10分程で、少会議室に集合しました。

 皆は、何事かとガヤガヤ話して居ます。

「まだ就寝時間なのに、起こしてご免なさい」

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