第4章 長い長いエピローグ編
第128話 エピローグのプロローグ(リリア視点)
ある日気がついたら、前世で大好きだった乙女ゲーム「Royal LOVERS」の
でもわたし、前世のときから三次元の男の人が苦手なんです。ちゃんと乙女ゲームできるか自信ないよ~!
聖女の力をちゃんと使えるようになるには、攻略対象と「真実の愛」を見つけないといけないのに!
ゲームの始まる学園編入の日、推しキャラの王太子と出会うはずが、実際に私が出会ったのはゲームには登場していなかったイケメン公爵令息で……?
えぇっ!? この人モブなの!?
やだやだ! わたし、攻略するなら彼がいい!
だけど、わたしが彼を攻略しようとすると、ほかの攻略対象たちが次々に妨害をしてきて……?
ああもう、これからわたし、どうなっちゃうの~!?
これは、わたしがイケメンモブ令息を攻略して「真実の愛」を見つけるまでの、どたばた純愛ラブコメディ!
はい。というわけで。
嘘あらすじから始まりました。リリア・ダグラスです。
それほど嘘じゃないところが困っちゃいますね。
「彼」が「彼女」であることを除けば、ですけど。
大違いじゃないか、と思いきや、実際その立場になってみるとそんなことはたいした問題じゃないと思えてくるので、慣れって不思議ですね。
ちなみに「これからわたし、どうなっちゃうの~!?」に対する解としては、「どうにもなりませんでした!」です。
そんなことある?
閑話休題。
メタ的な視点で言えば、ここから先のお話は、エピローグです。
いえ、まだゲームは終わっていないんですけど。
乙女ゲームって攻略するまでが本番、みたいなところ、ありません?
なのでわたし的には、ルート分岐が終わったのであとはもうエンディングまで一直線、という気持ちなわけで。
ここから先は、おまけというかアフターストーリーと言うか。余韻と言うか。
恋愛ルートなら甘々な展開だったり、攻略対象の暗い過去に迫る核心的なお話があるのでしょうけど、友情ルートですし。
あってもなくても良いような、当たり障りのないお話です。
きっとエリ様もそのつもりでいるでしょう。もう終わったようなつもりでいるでしょう。
でも、正直言ってわたしは不完全燃焼です。
諦めていませんし、諦めるつもりもありません。
このまま終わるつもりもありません。
そしてそれは、わたしだけではないはずです。
そういう意味ではカーテンコールと言えるかもしれません。
わたしを含む、不完全燃焼のキャラクターにとっての、カーテンコール。
だからといって、物語が大きく動くような何かが起こるかと言えば、それも疑問です。だって、おまけで、エピローグですから。
だけど、かっこよくて強いだけの「エリザベス・バートン」はいないかもしれません。
元気で無邪気なロベルトも、余裕の微笑みのエドワードも、馬鹿真面目なアイザックも、天使のように可愛いクリストファーも、いないかもしれません。
清楚で可憐な聖女……は、元からいないですけど。
望む展開が待っているとも限りません。何しろ友情ルートです。
それこそ「何でも許せる人向け」なのかもしれません。
そういう意味では蛇足でしょう。何度も言うように、おまけです。余韻です。
ま、エピローグが終わったところで、おそらくわたしの人生は続くのでしょうけど。
なんせ前世のわたし、死んでますから。
乙女ゲームのクリアと同時に元の世界に戻る、なんてことは起きないのです。火葬文化ですので、戻る場所、ありません。
そういう意味では、やっぱりエピローグなんてものではないのかもしれません。
わたしたちはまだまだ、これから先長いこと続くわたしや彼らの人生の、プロローグの途中なのかもしれません。
そうであるなら、わたしはあえてこう言いましょう。
言うまでもなくブラフであって、あらすじでもなく願望ですけど。
これは、わたしがエリ様を攻略して「真実の愛」を知るまでの軌跡を描く、超王道ラブストーリーであると。
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