第234話 皇帝の食客たち②

帝都の宮殿に帰還した少年勇者、柳太郎。


彼は、到着するや否や、仲間の勇者たちに声を掛け、緊急会議を提案した。幼いながらも非常に頭のキレる彼には、他の勇者たちも一目置いている。宰相ヒペリカムにも相談することになり、全員で彼のもとに向かった。


すると、侍女から柳太郎の帰りを聞きつけた女帝アイリスが、廊下の向こうから笑顔で走ってきた。


「リュウタロー!リュウタロー!!!2ヶ月以上も留守にしおって!朕はずっと待っておったのじゃぞ!!おかえりなのじゃ!!!」


そう叫びながら、勢いよく彼にダイビングして抱きつく女帝。これには、柳太郎も仰天した。ここまで堂々とスキンシップされるのは初めてだったのだ。


「ア、アイリス陛下!どうしたんですか!」


「何を言うのじゃ!朕とそちの仲ではないか!もう陛下などと呼ばんでくれ!アイリス、と呼び捨てにするのじゃ!」


柳太郎の動揺など全く意に介さず、アイリスは力いっぱい彼にしがみつき、頬ずりまでしてくる。


これは、アイリスがラクティフローラから受けたアドバイスが原因であった。かつて王女が白金蓮を勇者とみなして恋していた頃、権力を使って食事会に招いたり、強引に愛称で呼ばせたりしたことを自慢げに語られたのだ。


元来が天真爛漫で、恐れるものなど何もない女帝アイリスは、その助言を真に受け、人目を憚ることのない肉食女子に変貌してしまったのである。これに柳太郎は閉口し、顔を赤くしながら拒んだ。


「いやいやいや……ダメですよ。陛下。呼び捨てなんて。皆さんに怒られちゃいます」


「朕がよいと言うのじゃ!皆には何も言わせぬ!」


「そんなこと言ったって。無理なものは無理ですよ。陛下」


「朕は陛下ではない!アイリスなのじゃ!」


「いや、だからアイリス陛下……」


「朕を呼び捨てにするまで離れぬのじゃ!」


「……うぅ…………」


困惑した顔で周囲に視線を向け、助けを求める柳太郎。しかし、赤城松矢も黄河南天も、そして灰谷幹斗も黙って笑うだけだった。その笑顔は「言うとおりにしてやれ」ということを暗示していた。


観念した柳太郎は、ぶっきらぼうに呟いた。


「じゃあ……ア、アイリス……」


「なんじゃ!リュウタロー!!!」


呼び捨てにされた途端、アイリスは柳太郎から顔を離し、満面の笑みで頬を紅潮させ、彼の目を見つめる。


「アイリス、もう離れて……もらえますか」


「そんなに照れてしまいおって!ほんにかわいいのう!」


ご満悦のアイリスは、柳太郎から離れた後も彼と手を繋ぎ、一緒に歩いた。彼と共に自分の執務室、つまり宰相が使っている執務室へと向かう。


9歳の男女が仲睦まじく歩いているのを後ろから見つめながら、黄河南天、赤城松矢、そして灰谷幹斗は、クスクスと笑っている。


「さすがの柳太郎も陛下はんには頭ぁ上がらんようやな」


「ありゃあ、尻に敷かれるね」


「ハイハイ、小学生同士、仲良くしてりゃ、いいんじゃないノ!」


ところで、柳太郎のアイリスへの不満は、まだ残っているようで、この際、以前から思っていたことを打ち明けることにした。


「あ、あとアイリス……」


「なんじゃリュウタロー?」


「あんまり女の子が、朕とか言わない方がいいですよ」


「それは何ゆえじゃ?”朕”とは皇帝だけが許される、由緒正しい呼び方なのじゃぞ?」


「いや、あの……ぼくの国では、チンって言葉は連呼すると恥ずかしいので……」


「よくわからぬが、朕は朕なのじゃ!」


「だからそんなチンチン言わないで……」


その会話を聞いていた他の3人の日本人は、口を押さえ、必死に笑いを堪えていた。意味を理解できないのはオスマンサスだけであった。



宰相のいる皇帝の執務室に入ると、ヒペリカムは驚いて立ち上がった。


「おお!リュウタロー殿!お帰りになられたのですね。王国への遠征、お疲れ様でございました」


「ただいま戻りました、ヒペリカムさん。早速ですが、緊急の相談があるんです。できれば、勇者全員を入れて」


「なんと。それで勇者様4人がお揃いなのですね。しかし、残るツバキ殿に参加していただけるかどうか……」


「椿さんの力も是非とも借りたいんです」


「ですが……」


自室に引きこもったままの勇者、黒岩椿を呼び出したいという柳太郎の注文に、宰相すらも困惑してしまう。これに全員が沈黙したが、しばらくすると黄河南天が提案した。


「よっしゃ!ほんなら椿の部屋に乗り込んで、そこで会議しよか!」


「「え?」」


一瞬、意外な顔をする面々。しかし、なかなかに妙案であると全員が納得する。それでも宰相ヒペリカムは遠慮がちに確認した。


「ナンテン殿、よろしいのでしょうか?」


「かまへんかまへん!柳太郎がこんな真剣な顔しとるんやから、よっぽどのことなんやろ。あいつにも話だけは聞かせんとな」


勇者4人の同意が取れていることもあり、ヒペリカムも了解して出向くことになった。『聖浄騎士団』団長スターチスも同席させることにし、共に黒岩椿の部屋へ移動する。


女帝アイリスもしっかり付いて来た。柳太郎は、彼なりに彼女を気遣い、忠告するのだが、女帝は腕組みしながら笑顔で言い切るだけだった。


「アイリス、あなたは難しい話を聞いたら眠くなるんじゃないですか?」


「つれないことを言うでない!朕はリュウタローと一緒にいたいのじゃ!」


「はいはい……」


そうして、黒岩椿の部屋の前に来た。


赤城松矢がドアをノックし、呼び掛ける。しかし返事がない。再び声を掛けるが、やはり返事はなかった。


「椿のヤツ、この人数に気づいてるな。あいつの能力なら、ごまかすのは不可能か……」


残念そうに赤城松矢が呟くと、灰谷幹斗が不敵な笑みを浮かべて、人差し指を立てる。


「ハイハーーイ、それならオレちゃんの出番ネ!」


彼は、腰のベルトに付けた小袋にいつも砂を入れて持ち歩いていた。その砂を操作し、指先に鍵の形で固める。それを鍵穴に差し込んだ。見事に扉は解錠されてしまった。


勢いよくその扉を開く。


「!!!」


室内にいた黒岩椿は面食らった。慌てて立ち上がり、彼らを拒絶しようとするが、その前に勇者3人と皇帝がズカズカと入室してしまった。


「お邪魔するで、椿!」


「前よりは片付いてるな」


「オレちゃん、久しぶりに入ったナァ!」


「男臭い部屋じゃのう!」


「え……え、えぇーー、なに?何だよ!ここはおれの部屋だぞ!」


突然の来訪者たちに動揺した黒岩椿は、オドオドしながらも自分の住処を奪われまいと必死に凄んだ。そこに一足遅れて入室した柳太郎が、彼におじぎをしながら丁寧に説明した。


「椿さん、すみません。どうしても力を貸してほしいことがあるんです。短時間で終わらせますので、ここで会議をさせてください」


本来であれば、力ずくで全員を追い出したい黒岩椿であったが、小学生から礼儀正しく頼まれれば、さすがに断ることができなかった。


「……は……早く、終わらせろよ」


「はい。ありがとうございます!」


ニコッと笑顔で謝意を述べる柳太郎。そして、許可を得られて安心した宰相ヒペリカムと『聖浄騎士団』団長スターチスも入室した。


「ツバキ殿、申し訳ありません。勇者の皆様より、こちらを推薦いただきまして。恐縮ですが、失礼致します」


「せ、僭越ながら!騎士団長スターチス!勇者ツバキ殿の個室への入室許可をいただきましたこと!身に余る光栄でございます!」


黒岩椿は最古参の勇者である。その部屋は、約20年来、彼がずっと引きこもり続けてきたため、”開かずの間”のように解釈されており、中に入ることができた者は、城内でも伝説とされていた。それゆえ、騎士団長ですら緊張していたのだ。


全員が入るのを見守ってから、ハンターであるオスマンサスは、控えめに「失礼します」と一言告げて入室した。



黒岩椿はベッドの裏に隠れてしまい、姿を見せない。彼にはそこから話を聞いてもらうことにし、部屋の中央にテーブルを運んで、ソファに座っての会議となった。


「ホーリーさんは今、幹斗さんが連れて来た捕虜を尋問してくれています。オスマンさんは重要な証言者ですので、一緒に参加してもらいますね」


小学生の仕切りで、勇者たちの会議が始まった。ちなみに女帝アイリスは、ただ彼の横に座って、手を繋ぎながら、その顔を見つめているだけである。


「まず、ぼくがラージャグリハ王国で出会った勇者と魔王の話をさせてください」


柳太郎はそう切り出し、ラージャグリハの王都マガダで遭遇した白金一家のことを語った。白金牡丹が『重圧の魔王』であることも含めて。


魔王を娘として育てている勇者の存在。それは一同を驚愕させるに十分だったが、平然としている者が2名いた。そのうちの1人、黄河南天が話を聞き終わったところで発言した。


「その女の勇者と旦那っちゅうんは、百合華と蓮やろ。ほんで魔王の娘、言うんが牡丹って子のはずや。あの二人が話してくれたからな」


「えっ!!!あの人たち、ここに来たんですか!?」


驚く柳太郎にもう1人の証言者、赤城松矢も語る。


「うん。牡丹って子も日本人だから、助けてあげたって言ってた。タコ焼きをお土産にして帰ったよ」


「タコ焼きはうまいの!皆、ゲテモノじゃと思うとるが、朕は好きぞ!リュウタローに勧められてから食べられるようになったのじゃ!」


どうでもよいことに食いつき、好き放題にしゃべっているのはアイリスである。彼女の言葉は全員が華麗にスルーし、宰相ヒペリカムは別のことに関心を寄せた。


「ちょっとお待ちください。やはりあの二人の従者は、異世界からの勇者だったのですか?」


それは、彼にとって重大事であった。

これに黄河南天と赤城松矢が笑いながら回答した。


「これがまた傑作でな。相方はごっつ強いチカラを持っとんのに、もう片方は弱いままなんや。それもめっちゃ笑える理由で」


「まぁ、二人ともオレたちと同じとこから来たってのは本当だよ。宰相さん」


「で、では、魔王も同じというのは……」


「なんかそうらしいよ。柳太郎が聞いて来たのも一緒だから、間違いないんじゃないかな」


「そ……そうですか…………」


宰相ヒペリカムは平静を装いながら返答したが、その内心では激しく動揺した。彼が政権を牛耳って以来、これほど愕然とする事実には巡り会ったことがなかった。


(なんたることだ……魔王が異世界から召喚された、勇者と同郷の人間だと!?そのような史実、今まで聞いたことがあったか?これが本当なら、彼らを動かすことができなくなるではないか!くそっ!あの時、あの従者たちを彼らに会わせるのではなかった!とんでもない伏兵だった!)


彼は策を練るため、ポーカーフェイスで黙考した。

その間にも黄河南天が柳太郎に問いかける。


「ほんで?何をそないに警戒してん?」


「ゆ、百合華さんが……あの人はすごく綺麗なんですけど……」


柳太郎の一言に赤城松矢がクスッと笑った。


「なんだ、柳太郎も男の子なんだな」


「ち、違いますよ!なんだかお母さんを思い出しただけです!」


「あぁ、ごめん。それは悪いことした」


「今はそんなこと、どうでもいいんです!問題は、あの百合華という女性は、とんでもなく強いってことなんですよ!このぼくが、全く歯が立たなかったんですから!」


声を荒げて訴えた柳太郎の言葉に黄河南天、赤城松矢、そして灰谷幹斗が感嘆しつつ、それぞれの感想を漏らす。


「そらすごいな!こん中じゃ柳太郎の能力が一番チートやろ!」


「うーーん……でも相性もあるからねぇーー」


「ネ!ネ!オレちゃん、その百合華って子と戦ってみたいんだけど、いいよネ?柳太郎ちゃんが敵と見なしてるんだし!」


特に灰谷幹斗は挙手して勝負を願い出るが、皆、否定的だった。


「いやいや……確かに百合華はオレたちでも見切れないくらいのスピードを持ってたよ。でも、それで陛下を助けてくれたんだ。それにあんないい子、敵とは思えない。柳太郎は、百合華を倒すためにオレたちに協力してくれって言いたいんだろうけど、無理な相談だな」


「ようわからぬが、朕もユリカは好きじゃぞ!」


「俺も同感やな」


柳太郎の思いも空しく、黄河南天と赤城松矢を中心に、白金夫妻を危険視する動きは無くなりそうだった。


これに内心で歯ぎしりしているのは宰相ヒペリカムである。彼としては、なんとしても白金夫妻を悪役にしたい動機がある。勇者が魔王を討伐する正当性が失われれば、勇者に仕事をさせる理由が消失してしまうからだ。


(どうする……どうする……何か手はないか……)


彼の苦悶を知ってか知らずか、ここで灰谷幹斗が大声で笑った。


「ハハハハハ!マ、その百合華って子が強くて、いい子だってのはわかったけど、ぶっちゃけ問題ないっショ!魔王が召喚された人間だってこともサ!たとえ魔王が人間でも、そいつが悪いことしてたら倒さなくちゃいけない!当たり前のことだよネ!」


「まぁ……それはそうだけど……」


赤城松矢が納得いかない顔で返事をするが、柳太郎は喜んで立ち上がった。


「幹斗さんの言うとおりですよ!魔王を倒す以外に地球に帰る方法が無い以上、ぼくは魔王と戦います!それに、ぼくが相談したい用件は、もう一つあるんです!緊急会議にしてもらった本当の理由が!」


そこから柳太郎は、帝国の南の農村で発見したシャクヤのことを語った。彼はシャクヤを魔族だと誤解しているため、それもそのまま報告された。


「蓮の仲間が魔族で?領主の屋敷に帰っていった?」


信じがたい様子で赤城松矢が聞き返した。

それに頷きながら、柳太郎は情報を付け加える。


「さらにオスマンさんの実家に泊まって聞き込みをしたところ、ここ数年、あの屋敷には『魔王教団』と思わしき人たちが頻繁に出入りするようになったらしいんです」


「なんやようわからんくなってきたな……」


黄河南天も難しい顔で腕組みした。そして、それらの情報に希望を見出し、微笑を浮かべて呟いたのは宰相ヒペリカムである。


「南方の穀倉地帯……『カラコルム卿』の領地ですな」


これに『聖浄騎士団』団長スターチスが反応した。


「宰相閣下、それは4年前の……」


「うむ」


「なになに?何の話?」


互いに頷き合う宰相と騎士団長に灰谷幹斗が食いついた。そこから宰相は、4年前に『カラコルム卿』が謀反を企て、一蹴された件を語っていった。もちろん帝国側の圧政などに言及することもなく。


それらを聞き終わった後、黄河南天が天井を見上げて呟いた。


「4年前ぇ?俺もおったはずなんやけど……覚えとらんなぁ?」


赤城松矢がそれに回答する。


「南天さんは、確か遠征中だったんじゃないかな。オレと椿で、軍を追っ払ったんだよ。あん時はちょっとビックリしたなぁ。反乱軍なんてゲームでしか見たことないもん。でもほら、オレと椿が能力を掛け合わせると無敵でしょ。野営陣地から一歩も出ずに楽勝だったよ」


「なにヨなにヨ!帝国を滅ぼそうなんて、悪い人間がいたもんだネ!」


灰谷幹斗は相変わらず嬉しそうに感想を述べている。そして、柳太郎は満足そうに情報をまとめた。


「やっぱりそういうことでしたか!つまり、そのカラコルムって領主は、反乱を起こして負けたため、今度は『魔王教団』と結託して、帝国を倒そうとしてるんですよ!おそらく裏では魔王とも手を結んでいるはずです!だって蓮って人の仲間が一緒にいるんですから!」


その意見にまだ懐疑的なのが赤城松矢と黄河南天である。眉をしかめた黄河南天は沈黙している大剣のハンターに問いかけた。


「なぁ、オスマンサス、お前が蓮の仲間を見たっちゅうんはホンマなんやな?」


「はい。俺の視力に狂いはありません。それにあの子は、パッと見、お姫様って思えるくらいの美人なんです。一度見たら忘れるはずがないですよ」


彼の言葉に何かを想起した柳太郎がハッとしながら発言した。


「そういえば、今思い出したんですけど、王国には、王女様とそっくりの女性魔導師がいて、その人も”大賢者”の血筋だとか……確か、家出をした後、有名なハンターになって戻って来て、故郷に錦を飾ったとか……そんな噂が流れてたんですよね」


それを聞いたオスマンサスも急に合点がいったように叫んだ。


「そうか!『プラチナ商会』のあの子は、王女のイトコなのか!!!それにもう一つわかったぞ!最近、ゴールドプレートハンターに新しく加わった”姫賢者”シャクヤ!それがあの子だったんだ!ハンターギルドのマガダ支部に立ち寄った時、ハンター名鑑に加えられていた!ようやく繋がった!」


そして、彼らの推理に嬉しそうに反応し、ニヤニヤ笑いながら問題提起するのは灰谷幹斗だ。


「アレアレーー?なんかおかしくなぁーーい?どうして『魔王教団』と”大賢者”の血を引く女の子が一緒にいるのかナ?」


この発言に全員が注目した時である。

宰相ヒペリカムは、勝機を見出して口元を歪めた。


(いい流れだ!『カラコルム卿』と『魔王教団』、さらには”大賢者”の血筋までもが一つに繋がった!しかも、”姫賢者”の話が本当なら、あのハンター夫婦の仲間が魔族だという報告と矛盾することになるが、誰もそのことに気づいていない)


そう思案しながら、彼は柳太郎にチラリと目を向ける。


(勇者リュウタローも歳の割に頭のキレる少年だが、やはり子どもだ。むしろ、何でも素直に吸収し、しっかり覚える分、一度こうだと決めつけたことを覆さない。良くも悪くも、彼は疑うことを知らないお子様なのだ。彼ほど扱いやすい勇者はいないかもしれないな)


「なるほど。やはりそういうことでしたか」


自分の新しい計画に満足したヒペリカムは、全員に聞こえるように呟いた。黄河南天が自然とそれを拾ってあげる。


「どないしたんや、宰相はん?」


「魔王が召喚される存在なのだとすれば、いったい誰が召喚しているというのでしょうか?当然のことながら『魔王教団』が最も怪しくなります。しかも、勇者様を召喚できる血筋の人間が、そこに出入りしているとなれば……」


「勇者を召喚できるんだから……」


「魔王も召喚できる言うことか……?」


宰相の誘導で、赤城松矢と黄河南天が息を合わせたように一つの結論を導き出した。これに灰谷幹斗と柳太郎がテンション高く立ち上がる。


「うわうわうわぁーー、なぁーーんかワクワク……じゃなかった。ヤバい話になってきたネ!オレちゃん達、今、この世界の闇の真実に迫っちゃってるんじゃない?」


「決まりですね!ぼくたちが倒すべき悪の元凶は『魔王教団』だったんですよ!一刻も早くやっつけましょう!魔王がさらに召喚される前に!」


宰相ヒペリカムは、したり顔で膝を叩いた。


(よし!あとはハンター夫婦と彼らを敵対させるだけだ!)


ちょうどこの時、ドアがノックされた。

そして、入室した人物によって、さらに新たな情報がもたらされるのだった。

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