第142話 和解

王都に設置された転移魔法の魔法陣の前で、まもなくフェーリスの治療が完了しようとしている。ここで、今まで意識を失っていた人物が目を覚ました。


「ん……ん……んんん…………」


王女ラクティフローラを守り抜き、ルプスによって重傷を負った侍女長フリージアさんである。彼女がおぼろげながらにゆっくりと目を開き、最初に見た光景は、自分を優しく抱きかかえているルプスだった。


「はっ……!!!」


その瞬間、フリージアさんは硬直した。


意識を取り戻したばかりで、真っ先に目に飛び込んできたのが、最強最悪だった仇敵であり、しかも、その腕に抱えられているのである。衝撃と恐怖は、どれほどのものだろうか。


ところが、その眼前に王女の元気な顔が現れた。


「あ、フリージア!気がついたのね!」


「えっ!姫様!?……あ、え?え?」


ラクティフローラが明るい声で呼びかけてきたことにフリージアさんは唖然としている。自分たちを殺そうとした魔族に保護され、王女はその狼と仲良くしているのだ。何が何だか、わからないのは当然であろう。


「この子、ルプスって言うんだけど、もう大丈夫よ!誤解は解けたから!全部、ユリカお姉様が解決してくださったのよ!」


「え……?ユリカ様?レン様の奥様の……?あの方がいらしたのですか?」


「お姉様の雄姿、あなたにも見せたかったわぁ……」


「お、おね……?」


ウチの嫁さんのことを酔いしれるように語り出すラクティフローラに、フリージアさんはさらに茫然とする。


僕としてもラクティフローラの変化には、戸惑うものがある。いったいこの短い期間で、彼女の心にどんな変化が生まれたのだろうか。


『よし、フェーリス、お前の治療は完了だ。だが、数日は安静にしてくれ。魔族とはいえ、体力は尽きかけてるし、最後は自然治癒に任せた方が体への負担も少ない』


「わかったニャ!ありがとニャ!!」


僕の処置が終わると、フェーリスは飛び上がるように勢いよく起き上がった。


『おいコラ。今の話、ちゃんと聞いてたか。……まぁ、元気ならいいや。さて、ルプス、僕の言葉もわかるだろ?フリージアさんを連れて来てくれ』


「ガウ!(はい!)」


やはりルプスと僕は会話が可能である。

彼は素直に僕と通信中の携帯端末宝珠に近づいた。


『状況はさっきラクティから聞いた。フリージアさんには手加減してたんだな。偉いぞ』


「ガウ!(はい!)」


『お前自身もかなりのダメージがあるが、驚くほどのスピードで回復している。何ヶ所か骨折しているが、強靭な筋肉で支えているんだな。これなら、普通の治癒魔法で問題なさそうだ』


「グルルルルガウ!(これくらい何ともありません!)」


僕はルプスに治癒魔法をかけ、次にフリージアさんを診た。


『さて、問題はフリージアさんですが、あなたはレベル42もある達人だったんですね。建物に突っ込んだようですが、軽い脳震盪と打撲だけで済んでいます。さすがです。重傷なのは左腕だけですね。すみませんが、袖を切ってもらえますか?』


「えっ!?肩を出すのですか?」


『はい。治療のためです。まだ服を着たままの状態で治療できるほどのシステムは構築できていませんので』


どうやら、女性の肌の露出が少ないこの世界では、人前で肩を見せることすら躊躇するようだ。そんな彼女をラクティフローラが急かした。


「ほら、フリージア、恥ずかしがってる場合じゃないわよ」


「も、もちろんわかっております。これは治療ですから。ただ、街中の屋外なので、少し戸惑ってしまっただけでございます」


フリージアさんは、自分の剣を右手に持ち、器用に服の左の袖を斬り裂いた。左肩まで露出すると、上腕部が真っ赤に腫れ上がっており、左手は少し変な方向に、力なくダランと垂れ下がっていた。


『解析しましたが、見事に綺麗な折れ方をしています。内出血がひどくて腫れ上がっていますが、これなら問題ないでしょう』


「え!これが治るのですか?わたくし、経験上、わかるのですが、これは名医に手術してもらわねばなりませんし、成功する見込みは五分と五分です。また、成功したとしても、再び剣を握れるかは、運次第となりますが」


『大丈夫です。そのまま動かないでください』


僕は、痛みを軽減する魔法を使い、修復魔法による骨の位置の復元、治癒魔法による再構成の促進を行った。内出血はそのままで、骨の復元だけを成功させた。


『よし、骨は復元できました。あとは治癒魔法による自然治癒の促進で、回復できます』


「えっ!もうですか!?」


最後の仕上げとして、僕は、水の上位魔法、【治癒の甘露ヒーリング・ドロップ】を使用し、フリージアさんの肉体全体を癒した。腫れや打撲の跡がみるみるうちに消えていった。


『魔法による治療はここまでです。治癒魔法の使い過ぎは、肉体に負担を与えてしまうので、あとはできるだけ安静にして、自然の回復を待った方がいいでしょう』


「はい……あ……ありがとうございます」


フリージアさんは立ち上がり、礼を述べるが、愕然としている。おそらく僕が行った医療行為は、経験豊富な元ハンターの彼女から見て、甚だしく常識外れなのだろう。


「さすがでございますわ!レン様!!やはり、お姉様の旦那様でございますわね!!」


ラクティフローラが胸の前に手を組んで感激しているが、どこどなく今までと雰囲気が違う。


というか、ずっと気になっていたが、僕に対する態度が目に見えて変化していた。彼女の褒め称えるメインが、僕ではなく嫁さんになっている気がするのだ。


そんな彼女が、改まった様子で僕に話しかけてきた。


「あの、レン様、わたくし、今までとんでもない心得違いをしつづけておりました。本当に申し訳ありません。あの偉大な勇者ユリカ様が、ご結婚なさるお相手ですもの。素晴らしい殿方であるのは当然のことでございましたね」


『そ……それはどうも……』


「レン様は、ユリカお姉様以外の女性を愛することはないのでございますよね?」


急にド直球で、ラクティフローラは、僕と彼女にとって地雷となる質問をぶつけてきた。また問題が蒸し返されるような気がして、一瞬だけ僕は戸惑ったが、すぐに面と向かって誠実な思いを語ることにした。


『うん。そのとおりだよ。僕は、妻の百合華以外の女性を愛することはない』


これを受けたラクティフローラは、果たしてどんな反応を見せるのだろうか。ガッカリするのだろうか。絶望するのだろうか。はたまた、怒り狂うのだろうか。


不安な思いに駆られつつ、僕は彼女の返答を待った。

すると、彼女は嬉しそうに呟いた。


「はぁぁぁ…………承知いたしました。これで、わたしくも心の整理がつきましたわ。さすがはお姉様でございますね。レン様ほどの殿方に、そこまで言わしめてしまわれるとは……偉大な女性は、偉大な殿方のお心をも、捕えて離さぬのでございますね」


ラクティフローラは、嫁さんのことを言うたびにウットリした表情をする。明らかに今までとは違う方向へ走り出してしまったようだ。僕のことを諦めてくれたのはありがたいが、これはまた、別の問題になりそうな気がする。


とはいえ、否定する内容でもないので、僕は適当な相槌を打った。


『そ……そうだね……そういうことにしておこうか……』


「これからはレン様のことは、”お兄様”とお呼びしてよろしいでしょうか?」


『ああ、うん。…………って、え?なんて?おにぃ?』


「ありがとうございます。レン様は、お姉様の旦那様ですもの。わたくしにとっては、お兄様ですわ!」


『ぁぁぁーーー、そうなんだ。そうなるんだぁ……』


完全にヤバい。

ラクティフローラは、思い込みの激しい女の子だった。僕に向けられていた彼女のベクトルが、全て嫁さんに方向転換したようだ。


まさか嫁さんの名前が百合華だからといって、本当に百合展開が起ころうとは考えもしなかったぞ。


というか、もう話題を変えたいし、そもそもこんな話をしていられる状態ではないのだ。


『ラ、ラクティ、今、こっちも大変な状況なんだ。話はあとでゆっくりしよう』


「はい!」


『フェーリス!ルプス!聞こえるか?お前たちは、これからどうする?』


僕は二人の魔族に今後を尋ねた。

彼らは、それぞれに同じことを言った。


「ウチ、魔王様が心配ニャ!」


「ガウワウアオ!(魔王様を守りたいです!)」


『わかった。それなら、僕と百合ちゃんに任せてくれ。僕たちは、魔王デルフィニウムを助けるために、今、魔族の城まで来てるんだ』


「助ける?レンが魔王様を助けてくれるのかニャ!?」


『そうだ。あの子は絶対に助ける。だから、フェーリスとルプス、二人は僕たちの仲間になれ』


「わかったニャ!ウチ、レンに飼われることにするニャ!」


「ガルルルアオア、ガウガウガオア(あなたの言うことを全て聞けと、ユリカさんから言われました)」


『よし。では、二人は、そのままそこで待機。魔獣をおとなしくさせておき、王女ラクティフローラとその周辺の人々を全て守れ。それから、これより先は、いかなることがあっても人を傷つけるな。いいか?』


「了解ニャ!」


「ガウ!(はい!)」


こうして僕は、二人の魔族幹部を自分たちの仲間に加えた。

というか、猫と狼の面倒を見ることになった。

嫁さんに相談はしていないが、おそらく動物好きの彼女なら、諸手を挙げて賛同してくれるだろう。


『ということで、ラクティ、あとは騎士団が何と言うかだけど、何か困ったらすぐに連絡してくれ。僕はこれから魔王のところへ行く』


「はい!魔王を助けるというのが、どういうことかは存じませんが、お兄様とお姉様のことですから、信頼しております!どうか、お気をつけて!」


『ありがとう』


「あっ!お兄様!そういえば、魔王のことで、一つだけ気になることがございました!」


『え?』


「魔獣の数が多すぎるのでございます!今までの文献でも魔獣の存在は確認されておりましたが、これほど多くの魔獣が作り出されたことはございません。魔王が一人だけなのだとしたら、これは異常なことでございます」


『どういうことだ?……まさか、魔王が複数いると?』


「いえ、そこまでは申しません。ただ、何か異常なことが起こっているはずなのです。魔王の意志ではなく、それを利用している者の存在。本来、マナを大量に消費し、疲弊するはずの魔獣生成を、魔王に幾度となく繰り返させる、悪しき者がいると考えられます」


これを聞いて、僕はピクテスの顔が思い浮かんだ。

そして、ある確信を得て、礼を言った。


「ありがとう。ラクティ、今ので得心したよ。やはり急がないと、魔王が危ない。魔王としてこの世界に召喚された、牡丹の命が」


ここで僕は通信を切った。

やはり僕たちの真の敵は、魔王の側近ピクテスなのだ。



あの猿の魔族は以前、岩山の魔城での会見時、転移魔法で逃げ去る際にこう言った。


「それでは、勇者ユリカとレン、さらばだ。お前たちが、魔王様に出会うことは二度とないだろう」


その時の”魔王様に出会うことは二度とない”という言葉を、僕は当初、”僕たちに次の拠点を発見するのは不可能だ”という意味で捉えていた。だからこそ、ありとあらゆる手段を講じて探し出してやろうと僕も躍起になった。


ところが、その後に彼が取った行動は、魔王討伐連合軍をおびき寄せるという作戦だった。これでは、魔王に会いに来いと言っているようなものである。二度と出会えない、と自信満々に宣言したことが滑稽ではないか。


ということは、”お前たちが、魔王様に出会うことは二度とないだろう”という言葉には、全く違う意味があることになるのだ。


考えられる答えは一つだけ。


魔王デルフィニウム本人がこの世からいなくなる。


だから、僕たちは二度と出会えない。

そういう意味なのだ。


そして、魔獣生成のために側近が魔王を利用していた、となれば、僕の推理はほぼ確定だ。


ピクテスは、栗森牡丹を利用して、何かを行う気なのだ。


思えば、八部衆も一枚岩ではなかった。

彼らの性格や野心を利用し、魔王軍を結成したのは誰か。

人間の国を襲って奪おうとしたのは誰か。

全てピクテスだ。


もしもこの王都襲撃すら、何かの囮で、ピクテス本人には別の真の目的があったとしたら。


それを実行させる前に止めなければ、栗森牡丹は命を奪われてしまうのだ。



僕は、戦闘を続けていたシャクヤに呼びかけた。彼女は、廊下の両サイドから、少しずつ出現していた魔獣を一人で討伐してくれていた。


「シャクヤ、ありがとう。こちらは全て完了したよ。そして、急がなければならなくなった」


「レン様こそ、お疲れ様でございました。魔族をも救い、従えてしまう、その手腕。お見事でございましたわ」


「こっちの方角からは魔獣が来ない。行こう」


「はい」


城内のマップを確認しながら、僕たちは話をしつつ廊下を走った。


「ラクティと話をしたかったかな?」


「いえ。今は懐かしんでいる時間はございませんので。……ふふふっ、それにしてもラクティフローラったら、面白いことになっておりましたね。わたくし、戦いながら笑ってしまいました」


「あぁ……うん。それについては……また課題が増えてしまったな……」


「わたくしは、ライバルが減って嬉しいです」


「まったく……君ってヤツは……」


廊下の先にある階段を登ると、城の1階部分になる。地下に埋もれた1階のため、真っ暗闇だが、照明魔法を付けると、一目瞭然になった。


「えっ!!」


明かりを灯した途端、少し離れた位置から、急に声を発した人物がいる。

”勇者”の称号を得た”聖騎士”ベイローレルだ。


相変わらずの清々しいイケメンで、男の僕から見ても、息を呑んでしまう。その隣には、顔が傷だらけの小男のゴールドプレートハンター”幻影邪剣”カツラもいた。さらに彼らを囲んでいるのは、松明を持った勇者の親衛隊5名である。


彼らは、下に降りる階段を探して、この階にいた魔獣と戦い続けていたのだ。


マップのレーダー表示で確認していたため、僕が驚くことはない。ただ、すぐに駆け寄ってきたベイローレルと話をした。


「レンさん!?どうやってここに!?」


「細かい話はあとだ。別の転移魔法が存在していて、それを利用した。そして、下にある王都への転移魔法は僕が潰しておいた。王都には百合ちゃんが向かって、全て解決してくれた。もう大丈夫だぞ」


「えっ……?解決?……ですって?」


「僕たちが下から来たのが証拠だ。君がもう少し早ければ、ちゃんと魔法陣の部屋を見せられたんだがな」


「……すみません。ちょっと話がうますぎて、一瞬、疑ってしまいました」


「もちろん、君たちが上に魔族と魔獣と引きつけておいてくれたから、短時間で成功したんだ。感謝するよ」


「いえ。感謝するのはこちらです。ということは、あとは魔王を倒すだけですね」


「うん。そこで、今の状況なんだが……」


僕は宝珠システムからのマップ表示で、現在状況を見せた。

ベイローレル以外の面々は一様に驚きの声を出した。


「……もう、いちいちツッコんでられませんね。この5階部分に位置しているレベル53の反応が、魔王デルフィニウムですか」


「そうだ。そして、そこに側近のピクテスが向かっている。こいつが、全ての元凶だ。ベイローレル、どうか信じてほしい。このピクテスという猿の魔族を倒せば、全ては解決する。魔王を必死になって倒す必要は無いんだ」


「なるほど。それは理解しました。ただ、前にも言いましたが、約束はできません。これは魔族との戦争なのです」


「僕も一緒に行く。可能な限りサポートしよう」


ここまで僕が告げると、ベイローレルは驚いた顔で、呆れるように言った。


「……レンさん、あなたはレベル16のはずです。本来、こんな所にいるべき人ではない。あなたがどうやって戦っているのか全く不明ですが、これ以上、危険に付き合わせるつもりはボクにはありませんよ」


「心配ご無用だ。自分のことは自分で何とかする。いいから行くぞ」


「ちょっと!指揮官はボクなんですよ!」


僕はベイローレルを引き連れて先に歩き出したが、すぐ横で”幻影邪剣”カツラが目を丸くし、不思議そうに僕を見ているのに気づいた。


「ああ、あなたがカツラさんだね。聞いてたとおりの感じだ。僕はハンターのレン。よろしくね」


彼は僕の挨拶に黙って頷いた。


どうやら、突然、地下からやって来た僕の存在は、彼にとって天地がひっくり返るほど予想外だったようだ。しかも、その怪しい新参者が”勇者”に半ば指示を出しているのだから、ビックリするのは当然かもしれない。


「で、後ろにいるのは、最近ゴールドプレートハンターになったシャクヤだ。こう見えて、上位魔法の天才なんだ。とても頼りになる」


「よろしくお願い致します」


シャクヤのことを簡単に紹介し、彼女も簡潔に挨拶した。カツラは、これまた意外そうな顔で黙ったまま頷いた。


「やぁ、ご挨拶が遅くなったね。ピアニー。久しぶりだねぇ。元気にしてたかい?」


「ええ。ベイローレル様も、お変わらぬご様子で」


ベイローレルは、シャクヤに本名で呼びかけた。

やはりこの二人は知り合いだったのだ。


だが、どことなくお互いの笑顔がぎこちない。しかも、シャクヤは次第に僕の背中に隠れるように位置を取った。僕は小声で尋ねた。


「どうかしたのか?シャクヤ?」


「申し訳ございません……わたくし……なぜかベイローレル様のことは、昔から苦手でございまして……」


一方のベイローレルも、若干引きつった微笑をしていた。


(昔から、この子には避けられてるんだよな……なんでだろう?)


と、考えているようである。


僕は、なんとなく理解した。生粋の清純派であるシャクヤは、稀代のプレイボーイであるベイローレルのことを本能的に避けているのだろう。



さて、これ以上、挨拶に時間を割く余裕は無いので、僕たちは道を急いだ。


ベイローレルは階段を登りながら、次の方針を打ち出し、”幻影邪剣”カツラに指示を出した。


「東西南北で交戦中の各部隊は、そのまま魔獣と残りの魔族を食い止めてもらうことにしましょう。カツラさんは、各部隊に指令を届けてもらえますか。地下への突撃戦から、魔獣の侵攻を食い止める防衛戦に変わったことを」


「了解」


「そして、各部隊から、選りすぐりの精鋭を上の階に呼ぶように言ってください」


「御意。この”幻影邪剣”、全て承りました」


「僕たちは、城の5階。地上からは3階に位置する謁見の間に向かいます。そこで、魔王を退けつつ、側近のピクテスを討ちます」


彼らのやり取りを聞きながら、僕は、マップによる状況把握に努めていたが、ここで、戦況が大きく変化している箇所があることに気づいた。僕はベイローレルに言った。


「ベイローレル、これから向かうホールには、ゴールドプレートハンター3人と魔族1人がいたはずなんだが、どうも様子がおかしい。今は、ローズと魔族の反応しかないんだ」


「えっ……まさか!ゴールドプレートが2人もやられたと!?」


「そこに今、ダチュラが到着している。なんだか嫌な予感がする。急ごう」


この時、ダチュラが持っているはずのローズの携帯端末宝珠から着信が入った。

心配していた僕は、即座にそれを受け取る。

通信から聞こえてきたのはダチュラの絶叫だった。


『レン!!ローズさんが!!!ローズさんがっっっ!!!』


その悲痛な声の響きによって、僕の全身に悪寒が走った。

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