人は見た目がなん割とはよく言うが、商い人の店主はそうではなかった。何故男は毎週現れてパンを買わずに帰るのか。それを不思議、不審に思う娘と予想するように諭す父の群像劇。主観に囚われた娘と俯瞰的な父。SSとは思えないじっくり読めて奥の深い作品…。
人間観察と謎解きの要素が、短編にギュッとこめられた作品。序破急がハッキリしていてとても読みやすいです。パン屋さんの優しい観察眼と、真相に、じんわりと目に涙がたまりました。