第986話 Aランク戦終了――お疲れ様打ち上げ会!
「Aランク戦お疲れ様! みんなのおかげで〈エデン〉は第1位に輝きAランクギルドになった! 同時に新築の豪華なAランクギルドハウスもゲット! お祝いするぞ! 超お祝いだ! みんなジョッキは持ったか!? 準備は良いな!? よし、かんぱーい!!」
「「「「「かんぱーい!!」」」」」
Aランク戦が終わって打ち上げだ。
まずは一杯、これはなんと贅沢に〈芳醇な100%リンゴジュース〉がたっぷり注がれている。
なにしろ、Aランクギルドへの昇格だ。めでたい!!
ここで飲まずにいつ飲むんだ!? ということでギルド〈エデン〉のリンゴジュースビンを全部あける勢いで開放している。
乾杯してグイッと行く。しかし飲む量は控えめに、これを一気飲みなんてとんでもない。
「うんまーいっ!!」
「美味しーーっ!!」
俺とラナのセリフが重なった。
いや、そこら中でシャウトがおきてるな。
くぅ~、マジでたまらん! このリンゴジュースの美味さは罪だ! 今日はビンを全部開けるぞ!
Aランク戦という大舞台で逆転して勝ち抜き1位をゲット! 努力が実って勝利の美酒ならぬ勝利の美ジュースがさらに美味い!
Aランクギルドに昇格したという実感がドッと沸いてくるようだ!
Aランク戦は残り時間を大幅に残し、参加したギルド数に反してかなり早く終了した。
なにしろ試合開始から1時間ちょっとで決着だ。だいぶ早いらしい。
特に後半はもうガチの拠点落とし祭り状態だったからな。どこもかしこも拠点に攻め込んでいて気が付けば試合が終了する直前になっていてビックリした。
そこで〈エデン〉が一時的に順位を抜かされてしまうちょっとしたハプニングはあったものの、最後は逆転して1位で終えたので問題無し。
まさか一気に5拠点も落ちるとは思わなかった。気が付いたら7ギルドしか残って無くて試合終了まで秒読みだったからな。
なんだか他のギルドが結託して試合を早く終わらせようとしていたかのようだったぜ。
終わってみれば〈エデン〉の圧勝。
生き残っていて無事なギルドのほうが少なく、〈エデン〉から遠くて接触の無かった〈新緑の里〉というエルフのギルドや〈集え・テイマーサモナー〉というテイマーと召喚士ギルド以外はいつ陥落してもおかしく無いほど人数が減っていたからな。
特にマッスラーズとか全滅していたし。
あの時点で〈表と裏の戦乱〉のメンバーが全滅していると知らなければマッスラーズの拠点を落としにいっていただろう。
〈氷の城塞〉もほぼ壊滅状態だった。まあBチームとCチームが最後に大暴れしたからだけどな。水上戦とか俺もやってみたかった。
しかし〈サクセスブレーン〉はよく耐えた。
5人しか〈エデン〉メンバーがいなかったとはいえ、リーナとタバサ先輩の十全のサポートをされた部隊を相手取って試合終了まで耐えたからな。さすがはBランク非公式ランキングで第一位のギルドだ。
人数的には5位の〈集え・テイマーサモナー〉はCチームが一当てしただけだからか、それなりの人数が残っていたな。
いやぁ、改めて18ギルドが大混戦とか超楽しかったぜ。またやりたい。
今度はエステルの〈イブキ〉に乗り込んだメンバーが敢えてゆっくり相手の拠点に近づいていき、さあ俺たちを止められるかな? とかやりたい。盛り上がるかな~。
「それ、相手のギルドからすれば絶望でしょうね」
ボソッと呟いてしまったらシエラからツッコミをいただいた。でもやりたい!
試合が終了すれば次に待っているのは表彰式。
そしてAランクギルドハウスの贈呈だ。
すでに午前中にSランク戦が終わっていて、空いているのが新築の4棟と〈千剣フラカル〉〈青空と女神〉〈サンハンター〉の元ギルドハウスの計7箇所。
うち〈青空と女神〉のギルドハウスはBランクからこのたびAランクに勝ち上がった生産ギルドが手に入れるらしいのでそこは除外だ。
どうやら〈青空と女神〉のギルドハウスの立地が、他の〈A地帯〉に出張所を持つ企業から近いというか、便利なために新築じゃなくていいらしい。確かに今後生産ギルドのギルドハウスとして登録されれば生産ギルドからしかギルドバトルを挑まれなくなるし、Aランク生産ギルドの場所はこのギルドハウスで固定になる。できれば取引に便利な立地の方がありがたいのだろう。
ということで6棟から選ぶ、うち4棟が新築。選ぶ順番はAランク戦の順位順。つまりは1位の〈エデン〉が一番初めに決めて良いということだ。
うちには〈エデン店〉もあるし、ダンジョンに近い方がありがたい。
メンバーと意見を出し合い、すでに選ぶ場所は決めてあったため、スムーズに決まる。
もちろん新築のギルドハウスだ。
これは余談だが、今回の〈学園出世大戦〉までギルドハウスを抜けることが出来なかった〈サンハンター〉がようやく〈ハンター委員会〉に完全に移行することになっている。
〈ハンター委員会〉発足イベントはこの〈学園出世大戦〉が終わった後に盛大にやる予定らしいので楽しみだ。
そんなこんなあった授賞式で学園長から〈エデン〉代表として俺が表彰を受け取り、本日のイベントは無事に終了。
と思ったら今回使用した〈クジャ〉の召喚盤を貸しだしてもらえないだろうか、という打診をもらったのでOKを出し、詳しいことは後ほどセレスタンが詰めてくれることになった。なんかたくさんQPを提示されたからな。むっちゃ美味しい話だったぜ。
俺はその足で〈ギルド申請受付所〉に行って鍵を受け取り、新築のAランクギルドハウスに向かい、そしてすぐに宴会の仕度がなされた。そして夕方にはこうして宴会が行なわれている。
そう、この現在地は新しいAランクギルドハウスだ。
新しいギルドハウスはこれまでのギルドハウスと比べると、格段に大きい。
40人が窮屈無く過ごせる巨大な家だ。3階建て。
Bランクギルドハウスもかなり大きいと思ったが、Aランクはさらに桁が違う。
〈青空と女神〉が工場にしていたほどの面積だ。
集まった広間もどこの宴会ホールだという広さ。もうここは部屋じゃないな。大ホールだ。
引っ越しも無事に終わっている。
え? 早くないかって?
それもそのはず、なにしろみんな今日引っ越しする気満々だったからだ。荷造りも終わっており後は持って行くだけの状態だった。
応援団衣装の〈幸猫様〉〈仔猫様〉にも「ありがとう」と感謝して引っ越し済みだ。
他、諸々の手続きはセレスタンが陣頭指揮を執ってくれた。
「セレスタン、いつも助かる。だが無理はしていないだろうな?」
「手の空いている者に頼みましたので、お気になさらず」
セレスタンにはいつも世話になってるぜ。
さて、宴もたけなわだ。
そろそろいいだろう。
俺はこの大ホールの一角に神棚を設置してもらい、〈幸猫様〉と〈仔猫様〉を配置する。
今配置したのは、前もって置いておくと誰かに攫われかねないからだ。〈幸猫様〉を攫うなんてとんでもないというのに。
おっと思考が逸れたな。
では、始めよう。
「〈幸猫様〉〈仔猫様〉! ここが新しいギルド部屋です! どうか今後とも〈エデン〉をよろしくお願いいたします!」
手を合わせてお祈り。
瞬間、〈幸猫様〉と〈仔猫様〉の体がエフェクトに光り、薄橙色のグロウな光の玉が大ホール中に広がり部屋中を満たした。
「「「「わぁ~」」」」
「「「綺麗~」」」
この光景にうっとりとするギルドメンバーたち。
さすがは〈幸猫様〉と〈仔猫様〉だ。これはお二人の『幸運』付与だ。
場をさらに盛り上げてくださる。
「ゼフィルス君、持って来たよ~」
「助かるぜハンナ。――〈幸猫様〉〈仔猫様〉こちらお供え物です! どうか俺たちと一緒に宴を楽しんでください!」
〈幸猫様〉と〈仔猫様〉にも〈芳醇な100%リンゴジュース〉と上級のお肉料理をお供えする。
〈幸猫様〉と〈仔猫様〉が微笑んだ気がした。
ギルド〈エデン〉は安泰だ!
ふう、ようやくここまで来たか。
――Aランク。
まさか1年生でここまで早くここに上り詰められるとは思わなかった。
これだからリアル〈ダン活〉はたまらない!
俺はこれからも、リアル〈ダン活〉の世界を楽しみ尽くしてやる!
「みんな! 改めてAランクギルド昇格、おめでとうーー!! 〈エデン〉に乾杯だーーーー!!」
第二十章 -完-
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます