第912話 新装備続々完成! さあ集まってお披露目だ!
マリー先輩からのメッセージを読んだ後、即で〈ワッペンシールステッカー〉を訪ねた。
「マリー先輩はいるかー!」
「うわっ、兄さん早いな!? メッセージ送ったのちょっと前やで!?」
そりゃ、同じC道の〈彫金ノ技工士〉に居たからな。
話もちょうど終わったタイミングだったのでそのまま〈イブキ〉を収納し、ガント先輩に別れを告げてダッシュでここに来たのだ。
「そんなことよりだマリー先輩。ルルたちの装備が出来たんだって? 早く〈エデン〉に行こうぜ!」
「ちょい待ちぃ。もう、そんな慌てんでも大丈夫や、装備は逃げたりはしないんや。だからちょっと落ち着きな」
「おっとそうか。そういえばルルたちには連絡したのか?」
「いんや。それは兄さんがすることやろ」
「だな。じゃ、ちょっと連絡してみるぜ」
まだ午前中とはいえ今日は日曜日、ダンジョン日和だ。
もしかしたらダンジョンに行っているかもしれないと連絡してみれば、やはり大体のメンバーはダンジョンで周回の真っ最中だった。
お昼には一時帰還するらしいのでその時に合流しようと決まり、マリー先輩にも話す。
「昼食食べたらお披露目会ってことになったから、マリー先輩も〈エデン〉に来てくれ」
「わかったわぁ。元々着付けとかも教えるつもりやったしな」
マリー先輩は〈エデン〉の専属なのでアフターサービスも万全だ。
上級装備が出来る度にこうして〈エデン〉に出張してきてくれて着付けとか教えてくれる。
マリー先輩様様だ。
ギルドメンバー全員にもグループチャットでお知らせしておき、今日の午後からルルたちの上級装備お披露目と通知しておいた。
最近〈エデン〉では上級装備シリーズが仕上がったらお披露目会をするという流れが出来上がりつつある。みんなで集まって騒ぐのだ。もちろん集まるのは任意のはずなのだが、出席率はなぜか高い。
「また後でな~」と一度店を出てお昼を食べて、午後に〈エデン〉のギルドに行けば、案の定ほぼ全員が集まった。やはり上級装備というものはとても注目度が高い様子。
数人がマリー先輩たち生産職組と奥に消え、俺たちはそれをワクワクと待っている。
「とうとうルルの新装備が見られるのですね」
「楽しみだな!」
隣で今か今かと楽しみに待ちわびているシェリアに同意する。
と、そこでついに奥からマリー先輩とハンナが出てきた。
「待たせたで! これから何人かの装備をお披露目するから、楽しみにしていてや!」
「「「おお~」」」
「それじゃあ、まずは一人目、ルルちゃん入ってきてくださーい」
「あいなのです!」
「ガタッ!」と近くにいたサトルがガタついたがスルーしつつ、俺もルルの新しい装備に注目する。
やってきたルルは上級の最奥ボスドロップである〈勇敢愛護シリーズ〉を装備していた。
見た目はカスタマイズされており、分類上鎧装備なのにどう見ても鎧には見えない服装備、下はスカートだったのがキュロットに変わっており若干カボチャパンツ寄りの感じ。背中にはヒーローっぽいマント衣装が付いていてルルのかっこ可愛さを引き立てている。
「ルル、すごいです、とてもかっこ可愛いです! 素敵です!」
「おお~ブラーボー!! ルル、ブラボー!!」
「愛!」
思わず拍手で出迎えてしまう。
その場でクルクル回って「愛」の部分で片手を挙げてポーズするルルに全〈エデン〉メンバーがときめいた。
ルルがするポーズによって可愛いがいっぱいだ。
「装備ありがとうなのです!」
そのままトトトと駆けてくるルルをシエラがハグして出迎え、シェリアがガーンしていたシーンもあったが割愛する。
すまんなシェリア、ルルの装備レシピは俺たちがゲットしたものなんだ。
さて、どんどん行こうか!
「続いてはリーナさんです」
「よろしくお願いしますわね」
ハンナの司会に堂々とした歩みでやってきたのは〈大艦長シリーズ〉を装備したリーナだ。
色は白をベースとした海軍司令っぽさをイメージ、将軍がかぶっているようなかっこいい帽子がとてもよく似合っていた。すっごい。
元々〈大艦長シリーズ〉は〈ウサ王〉の素材がネックだったのだが、QPで納品依頼を掛けてもらう形で揃える事が出来た。
〈角兎の庭園ダンジョン〉は本当に人が多すぎて周回が出来ないダンジョンなので色々と困ってたんだ。QPはまあそれなりに掛かったが、あそこは挑戦者が多いのでレアボス素材も比較的集まりがよかったよ。
「ゼフィルスさん、いかがでしょうか?」
なぜか名指しで俺を呼び、目の前まで来て装備アピールをするリーナ。
その装備をゲットするために〈救護委員会〉と交渉した事がいつの間にかリーナに漏れてたんだよな。うん、さすがだマリー先輩、しっかりリーナに装備を合わせてくれたぜ。装備がかっこいい!
「とても似合ってるぜリーナ。これからも頼りにしているからな!」
「! はい!」
本当はもっとたくさん言いたいことはあったのだが、順番待ちも多いのでここまで。
「3人目はシズさんですね。相変わらずメイド服、可愛いですね」
「ありがとうございますハンナさん。私の装備は、以前と見た目を同じ感じにしてもらいましたので、こうして見せるものはあまり無いのですが、能力値はかなりパワーアップしました。次のギルドバトルでも必ずや役に立つことでしょう」
シズの装備〈冥土送シリーズ〉は以前の装備と見た目ほとんど同じにデザインされている。ただ、やっぱりちょっと豪華さが上がっているな。でっかい銃や弾薬を携帯していますと言わんばかりのあのゴツいベルトとか、スカートがやや戦場風になってる。
あまり見た目に変化はないとはいえその性能はかなり上がっているはずなので、シズの言うとおり今後の活躍に大きく期待だ。
「次はニーコちゃんです」
「わはははは、どうだい僕の装備は。これは自分で全集のレシピを当て、手に入れた素材で作ってもらったのだよ。〈
「「「おお~」」」
ニーコが珍しくテンション高めに登場した。自分で当てたと言っているようにあれはニーコが自分で勝ち取った装備だ。俺たちが〈クジャ〉を周回している間に〈金箱〉から全集レシピを引き当てたらしい。さすがはニーコだぜ。
その見た目は女海賊というか女怪盗というか、まさにお宝を求める女ハンターのような服装備。体を軽くするためかカルアのように露出度が高く、身軽そうな見た目だ。体力の少ないニーコにこの装備を活かせるかは不明。
でもちょっとかっこいいんだぜ。
「マリー先輩、ちょっぱやで仕上げてくれてありがとう。僕はこれの完成がテスト明けだと思っていてね。もっと言えばAランク戦出場者の装備を優先すると思っていたからここまで早く仕上げてもらえて嬉しく思うよ」
「礼には
「おうよ。これでニーコも上級ダンジョンに送ることが出来るぜ」
「やっぱりそうだよね! おかしいと思ったんだ! だってメルト君やノエル君の方が全集のレシピが先に揃っていたはずなのに――」
ニーコが少し興奮してしまったが問題無し。
ニーコの上級進出は何よりも優先されることなのだ。うむ。期待しているぞニーコ!
「待たせたなぁ! 鎧組行こかぁ! アルル、任せたで」
「あいよーマリー姉。じゃあアイギスはん、どうぞ」
「はい。どうでしょうか?」
そう言って出てきたのはアイギス。装備は〈白十騎士シリーズ〉だ。
実はこれ、〈青空と女神〉のレシピにあった装備で、しっかりとした上級装備。
白がベースとなって十字架のロゴが入った騎士鎧。回復が上昇する効果もあるため【カリバーンパラディン】などにも採用される鎧だが、【竜騎姫】も一部回復が使えるため採用した。
形はマリー先輩の手でエステルと同じくドレスアーマーへ変更され、色合いもアイギスのイメージである赤色が混ざっている。正直言ってかっこいい見た目だ。
「うんうん、やっぱりアイギスは赤が似合うなぁ。白と合わさったコントラストが実に良き」
「そ、そうですか? ありがとうございますゼフィルスさん」
「では最後に! シャロンちゃん行ってみましょう~」
アイギスが真っ先に俺の所に来たので思ったことを告げたら照れていた。
うむ。お姉さんの照れ顔はプライスレスだ。
と思っていたら次のシャロンが出てきた。
「じゃーん! 新しい装備、すっごい良い感じだよ!」
テンション高く登場したシャロンは〈城主冠堅シリーズ〉を装備していた。
実はこれも〈青空と女神〉から提供してもらった装備レシピから作製したものだ。
ピンクと紫系をベースにし、鎧についている小さな盾型の金属が瓦屋根のように組み合わさっていて、特に肩当てを強く象徴してきていた。城主イメージとして、瓦屋根のような肩当ては外せないのだ。全体的には甲冑に近い装備に見えるが、色が女の子なので割と可愛いデザインに仕上がっている。
「シャロンもバッチリ決まってるぜ! なあメルト」
「ああ。よく似合っている」
「うん! ゼフィルス君もメルト君もありがとね!」
「ちょっとメルト様、私の時と対応が違うんじゃないかな?」
「……そんなことはない」
「本当かな? 私の時はうさ耳をキュっとされたんだけど」
「あれは抱きついてきたミサトが悪い」
なんだか隣にいたメルトに話を振ったら火種を投下してしまった。
でも大丈夫そうなのでそのままにしておく。
ちなみにメルトの装備やノエルの装備も現在作製中なのだが、もうちょっと掛かるそうだ。こっちはテスト明けかな。
うんうん。
いいじゃないか。
こういうのもとても良いと思うんだよな。
みんなが装備に夢中になっているうちにドヤ顔を決めているマリー先輩の下に向かい、お礼と共にむっちゃ褒めておく。
「いや~、やっぱりマリー先輩さすがだわ~。むっちゃさすがだわ~」
「わーはははは! それほどでもあるなぁ! わはははは!」
褒め方が少し雑になってもマリー先輩は気にしない。さすがだぜ。
「これで2陣、3陣が上級ダンジョンに行ける準備が整ったか」
良いこと尽くしで笑いが止まらんな、ふはははは!
俺はマリー先輩と一緒に笑い合ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます