第856話 レアイベント徘徊型ボス〈リザーロス〉戦決着!
「ギイイイイイイイ!」
「そこです! 『ロングスラスト』!」
「シャアアアアアア!」
「! 『鉄壁』! エステルの攻撃を防御しながら私に攻撃してきたわ」
「中級の騎兵型モンスターとは動きがかなり違いますね」
徘徊型〈リザーロス〉は騎獣モンスターがケンタウロスのような二手四足のトカゲなため、騎獣トカゲも槍を使って攻撃してくる。正面から攻撃してきたエステルの攻撃を槍を使って防御してきたのだ。
さらにそれに跨がる〈リザーロス〉も武器を弓から槍に持ち替え、側面にいる形となったシエラへ攻撃する。
騎獣モンスターがエステルの相手をしているのに本体はシエラに攻撃してきたのだ。
攻防同時行動。
さすがのシエラも面食らい、1発だけ通常状態の盾で受けてしまうが、その後は『鉄壁』を使って攻撃を防ぎ始めた。
その間に後ろに回り込んでいたカルアが攻撃を仕掛けた。
「『フォースソニック』! 『鱗剝ぎ』! 『デルタスト――にゃうー!?」
「カルア大丈夫!? 『回復の祈り』!」
後ろだからといって安全とは限らない。トカゲには太い尻尾があるのだ。
カルアは騎獣トカゲに連続で攻撃を叩き付けようとしたところで、尻尾で叩かれてぶっ飛ばされてしまう。
「正面、側面、後方、全てにおいて死角の無いボスね。――『シールドスマイト』!」
「シャアアアアアア!」
「ギイイイイイイイ!」
シエラが攻撃を引き付けてくれていると言ってもそれは全てでは無い。
反撃系や範囲攻撃系などでアタッカーにもダメージが入る。
カルアは油断したな。スキル無しの尻尾による反撃とはいえ、後方の死角に回り込めば安心だと思ったのかもしれないが、残念だがそいつには目が四つある。
死角は無いんだ。さすがは上級ボス。
とはいえ、安全地帯がまったく無いわけじゃ無い。
「エステルはシエラの反対側から攻撃しろ! 正面は俺が受け持つ――スイッチ! ――『ライトニングスラッシュ』だ!」
「はい! ――『閃光一閃突き』!」
俺の指示で場所を
そう、安全地帯は側面、タンクであるシエラの反対側だ。
そして相手の手数を越えて攻撃すれば、エステルの位置は安心だ。じっくり攻撃ができるようになる。
「トカゲの相手は俺だぜ? 『ハヤブサストライク』! 『聖剣』!」
「ギイイイイイイ! ギアアアアア!!」
「おっと火炎か。『ガードラッシュ』!」
俺は騎獣トカゲ担当。
こいつは火を噴いたり槍をぶん回したりして攻撃してくる厄介な騎獣モンスターだ。
主を乗せながら武器を操り、火炎まで吐いて敵を迎え討つとか、ちょっとこいつ働き過ぎじゃね? 主より強いまであるぞ。
「シャアアアアアア!」
「――『ファイヤガード』! こっちも炎を吐いたわ!」
まあ、
シエラもパーティの〈火属性耐性〉を20%上昇させるスキルを使って援護してくれる。
〈リザーロス〉が炎を吐いている間は攻撃し放題。カルアとエステルの所には炎は来ないので、頑張って攻撃してくれ。
「エステル! カルア! たたみ掛けろ!」
「はい! 『
「ん! 『64フォース』!」
俺が名前を呼んでコンタクトを取れば、しっかり全力で攻撃。
〈リザーロス〉のHPをがっつり削ってくれる。
俺とシエラは盾で防ぎながら行動を阻害し、ラナがくれた継続回復魔法『天域の雨』によりダメージは減った側から回復していく。火炎の息はただの攻撃チャンスだった。
「グオシャアアア!!」
「おっと呪いの息か、そいつは受けられん! ――『勇猛結界』!」
「ギアアアアア!!」
炎の息をやめたかと思うと、また息を吸い込み、口の端からは紫色の火の粉が漏れ出る。
これは『呪いの吐息』、名前の通り〈呪い〉状態にする状態異常の範囲攻撃だ。
俺は『勇猛結界』を張って状態異常攻撃を完全に防いでやる。
息を吐いている最中は完全に無防備、攻撃チャンスだ。
どんどん打ち込め!
前後左右を囲って、ボッコボコだ!
こいつを自由にすると移動砲台になって厄介なので囲ってボコるのが正解。
前衛が4人いないと使えない手だが、まさに今ハマっているのでボッコボコにしてやった。
「シャアアアアア!!」
「ギイイイイイイ!!」
「怒りモードに入ったぞ! だが、全員離れるな! 踏ん張りどころだ!」
「シャアアアアア!」
「ギイイイイイイ!」
「にゃう!?」
「きゃあ!」
「行かせないわ――『完全魅了盾』!」
「『ライトニングバニッシュ』だ!」
怒りモードになったところで対処法は変わらない。
囲ってボコる。
しかし、初見の敵だったためさすがにそこまで完璧な行動はできず、カルアとエステルは怒りモードになって槍をぶん回す周囲範囲攻撃と尻尾や火炎の息を撒き散らす攻撃に当たって吹っ飛ばされてしまった。
とはいえシエラがいる。
シエラの『完全魅了盾』がヒットしたので逃がすことはなく、その間に俺やエステルとカルアも体勢を立て直し全力で攻撃する。
「シャアアアアアア!」
しかし、シエラの『完全魅了盾』の効力はLV5の時40秒だ。
『完全魅了盾』の効力が切れると。
怒りモードの〈リザーロス〉が無差別攻撃を開始し、包囲から出ようとする。
「シャアアアアアア!」
「ギイイイイイイイ!」
「くっ! 隙が無いです!」
「ん! 尻尾が大変!」
炎を周囲に吐きながら槍を無差別にぶん回し、尻尾をブンブンぶん回す〈リザーロス〉に、慣れていないエステルとカルアは対処が大変そうだ。ラナも攻撃する余裕はなく支援回復を重点的にしてパーティをサポートしている。
そしてほんの少し出来た隙を突いて〈リザーロス〉が囲いから出てしまう。
ダッシュで包囲から抜け出す構えだ。この速度で
でも勇者からは逃げられない。
「ここで――『聖剣』!」
「シャアアアアア!?」
「ギイイイイイイ!?」
狙いは足。
ダッシュ中に足にダメージを蓄積させると、スリップダウンする。
ただ、上級ではそれなりに足にダメージを蓄積させなくてはならない。
しかし、俺は先ほどから足を優先に攻撃していて、あと一撃強力な攻撃を叩き込めばスリップ行けるだろうというところでキープしていた。
そして案の定。相手が逃げる際、エステルと俺の間を通るようにして脱出しようとしたので、右前足に『聖剣』で斬りつけてやると面白いようにすっころんだのだ。
その巨体が派手に転倒する。スリップダウン発生、予想通り。
ふっはっは、勇者からは逃げられないんだ。
「総攻撃だ! これで終わらせるぞ! 『
「了解よ! 『インパクトバッシュ』! 『シールドスマイト』! 『ショックハンマー』!」
「行っけー! 『大聖光の四宝剣』! 『聖光の耀剣』! 『光の刃』!」
「締めます――『姫騎士覚醒』! 『ロングスラスト』! 『トリプルシュート』! 『ロングスラスト』! 『プレシャススラスト』! 『ロングスラスト』! 『閃光一閃突き』! 『トリプルシュート』! 『ロングスラスト』! 『プレシャススラスト』! 『ロングスラスト』! 『閃光一閃突き』! 『
「ん! 『
倒れて何も出来ずもがく〈リザーロス〉に総攻撃が叩き込まれると、とうとうそのHPがゼロとなって徘徊型ボス〈リザーロス〉はエフェクトの海に沈んで消えたのだった。
そして後には金色に輝く〈金箱〉が残されていたのだった。
しかも、また二つである。
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