第十六章 学園新組織発足と迷宮学園祭!!
第788話 〈A地帯〉訪問。Aランクギルド〈サンハンター〉
ギルド〈エデン〉の下部
Dランクギルド部屋も与えられ、現在は引越しの準備を進めている最中だ。
いやぁ、Dランク昇格試験のギルドバトル、改めて思い出すが、熱かったな~。
本来、いやゲームでは下部
名声値というシステムがあったため、ストーリーが進むほど強いキャラをスカウト&キャラメイクできたため、最初のほうに使っていたキャラがだんだん入れ替わっていってしまう。しかし、思い出深いキャラだ、脱退はさせたくない、という気持ちを汲み、その救済場として設けられたのが下部
故に、下部
Eランクまであればいいかな。と昇格をスルーすることも多かった。
しかし、リアルではその状況が大きく一変し、まったく違う意味となっている。
下部
これは名声値システムやキャラメイクなどがまったく無くなったリアルだからこそだな。
おかげでリアルでは下部
そんなわけで下部
一発合格か~。あれだけ熱い戦いしていたら納得だよな~。
そうして祝勝会をしたのが昨日のこと。
今日は11月3日、日曜日。
昨日の熱気がまだ残っていて、学園ではギルドバトル解禁も伴いギルドバトルブームが到来する中、俺たち〈エデン〉には学園から直接の指名依頼が出ていた。
「おはようゼフィルス」
「ミュー、おはよう。そっちの方が早かったみたいだな」
本日、俺はとある場所で待ち合わせをしていた。
その相手は、クラスメイトで【ハードレンジャー】のミュー。
カルアのような多くを語らない特徴的な口調におとなしめの性格。スナイパーライフルのような銃を装備して遠距離から正確な射撃を得意とする、中々凄腕の同級生だ。
「おはようミュー。出迎えしてもらって悪いわね」
そう、俺の斜め後ろからミューに声をかけたのはシエラ。
今日は〈エデン〉の上級攻略メンバーである俺、シエラ、ラナ、エステル、カルアの5人を連れて来ていた。
「いい。うちが頼んでいること。頼もしいから大丈夫。みんなおはよう」
首を軽く左右に振って問題ないと示すミュー。
日曜日の朝なので軽くみんなであいさつを交わす。
とそこでミューの視線がカルアで止まった。
「カルア、装備変わった?」
「おお! そうなんだ、見てくれよこれ、むっちゃいいだろう!?」
カルアとミューは、実は仲が良い。
そのカルアの装備を見たミューが一発で装備変更を見抜いてしまった。
そう、カルアはなんと上級装備である〈精霊衣装シリーズ〉に装備を変更していた。
それが今朝の話で、今日お披露目だったんだ。
カルアの装備は緑をベースに変更しているが、見た目は以前の妖精衣装から同系統の精霊衣装に変更したということで大きな変化は無い。
ヘソは相変わらず出しているし、動きやすいハーフパンツと長袖もそのままだ。ただ、半透明な緑のストール、いや羽衣かな。少し幻想的にも見える、透明な妖精の羽のようなキラキラしたこれがカルアの背中にはためくようにして流れていて、中々かっこいい案配となっている。改めてカルアの装備を見て、うん、自然の中の住人っぽいぞ。
「ん。新しい装備。どう?」
「いい。うらやましい」
「むふ」
2人の会話はこんな感じだ。
それなのに多くを語り合っている感を出している。似たもの同士、通じ合うものがあるのかもしれない。
「来て、こっち」
そうしてお披露目が終わると、ミューはとある建物へと俺たちを案内した。
ここは〈A地帯〉と呼ばれるエリア。
Aランクギルド、そのギルドハウスが建つエリアだ。とはいえAランクのギルドハウスだけではなく、他の建物や飲食店などもある場所で、どちらかというとオフィス街に近い。
そんなところに少し間を置き、建物などを挟んで六棟のギルドハウスが建っているのである。
Aランクギルドともなると大企業からの覚えもよく、企業との取引などが盛んに行なわれる。
半ば社会に片足を突っ込んでいるようなもののため、こうしてすぐに取引可能なオフィス街的な場所に建っているとのことだ。この周りに建っている建物は外の企業の出張所だな。
もちろん、この周囲に建っている建物は学生たちが取ってきた素材を買い取ったり、トレーニングを受けられる高い設備が整っているような、Aランクギルドの人材をサポートする企業が入っている。
たかが240人の学生のためにそこまでするのか、と思うかもしれないが、ここで高位職や上級職を青田買いできるのであれば、十分投資する価値があるらしい。
人材の確保はどこの世界でも非常に重要、ということだな。
なぜそんなエリアに俺たちがパーティでいるのかというと、ミューが所属するAランクギルド、〈サンハンター〉との合同依頼を受けたからに他ならない。
ミューは、その出迎え役だ。同じクラスの同級生だから選ばれたのだろう。
「入って」
「おじゃまします~」
「みんないらっしゃい」
「あ、リャアナじゃない」
「みんな2日ぶり」
俺たちがミューに連れられて〈サンハンター〉のギルドハウスに入ると、入口ではこれまた同じクラスで【氷槍士】に就くリャアナが出迎えてくれた。武器は持っていないが装備姿だ。
水色で氷を思わせるドレスアーマーを着込んでこちらに手を振っていた。
彼女も同じクラスだから手伝いかな?
「? リャアナどうした? ギルマスは?」
「それが……。少し目を離した隙にどうやらダンジョンに行ってしまったみたいで、テーブルに置手紙が」
「……ええ、あのバカ兄」
おかしいな。何か変な言葉が聞こえた気がする。
いや、きっと気のせいだろう。ミューがそんな言葉を吐くわけがない。うむ。
それはそれとしてリャアナが差し出してきた手紙をみんなで読む。
そこには。
『もう待ちきれんから先に行って狩って待ってるぜ! 向こうで会おう!』
とそんな感じなことが書かれていた。
どうやら、〈サンハンター〉のギルドマスターは待ちきれずに先に行ってしまったらしい。
「え? どうするのこれ? だってこれから行くところって」
ラナが動揺したように俺へ視線を投げた。俺も頷く。
だってこれから行くダンジョンは上級下位ダンジョンの一つでランク3、〈山岳の狂樹ダンジョン〉なのだから。しかもだ。
〈サンハンター〉のギルドマスターはその上級下位ダンジョンへ1人で向かったようなのだ。
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