第685話 クラス替えテスト期間に突入、そして打ち上げ!




 それから数日間はテスト勉強をメインに充てた。


 本来は期末テスト期間じゃなかったのに加え、ダンジョン週間というダンジョンをメインに進めようぜという期間だったためにダンジョンは封鎖されず、いつでもウェルカム状態でのテスト期間だ。

 とはいえテスト勉強中にダンジョンにうつつを抜かすのはもってのほか。良いクラスになるため、みんなで頑張って勉強に専念しようと意識を一つにして頑張った。

 実は休憩にちょっとダンジョンへ行こうかと揺れたのは内緒だ。


 ギルドメンバーで助け合い、前回のように勉強が苦手な人にはツーマンセルで勉強を教える。


 新規採用メンバーのテスト勉強に関して、やはりこの時期はどこも忙しいらしいと聞くが、それでも空いた時間を見つけてはみんな良いクラスになろうと必死に勉強しているとのことだ。まだ正式加入ではなく、現メンバーに紹介してもいないため自分で勉強する形にはなっているが、元々セレスタンの合格基準をクリアした優秀なメンバーたちだ。自力でなんとかなりそうとのことだった。


 まあ、あっちはあのカタリナやオリヒメさんがいるしな。

 トモヨはリーナと勉強しているという話だ。

 エリサとフィナだけがちょっと心配だったが、同級生と勉強会しているとのことなのでホッとしている。


 このテストはクラス替えに大きく影響する。


 クラス対抗戦での成績ももちろんクラス替えに加味されているが、やはり学生の本分は勉学。

 この迷宮学園では組数が若いほど高いカリキュラムが設定されているためテストの成績はかなり大きく影響するのだ。


 特に今度〈転職制度〉で学業をやり直す人たちは新しい学年、〈新学年〉という1年生にも2年生にも3年生にも属さない第四番目の学年に加入することになる。

 正確には転職した者は、そのままの学年に留まるか、新学年になるかを選択することが出来るのだが、大体は〈新学年〉に所属することを選んでいるようだ。


〈新学年〉になると今までの学歴にプラスして2年半学園に通うことが可能になる。

 上級生である2年生と3年生も、プラス2年半だ。

〈新学年〉は年齢による学年分けは無いので元1年生だろうが元3年生だろうが一緒のクラスになる。


 半年間は勉強に費やし、1年生で習う基礎的なことを全部詰め込む。

 これは専攻・課を転課した人たちへの配慮が含まれている。

 転課していない学生はテストで良い点を取れるのであれば授業を受けなくてもいい、ダンジョンでレベル上げしていても良いよ、ということだな。


 そうして〈新学年〉のクラスは半年間学び、来年度の始めに2年生に合流することになっている。


 俺たちの学年は来年には倍近くの人数、クラスに膨れ上がるのではないかとも予想されているらしい。つまり250組を超える?

 同級生が増えて、俺はとても嬉しいです。

 学園長に〈転職制度〉を紹介した甲斐があったなぁ。しみじみ。


 ちなみに、〈エデン〉〈アークアルカディア〉のメンバーで〈転職制度〉を利用するのはアイギス、シャロン、カタリナ、フラーミナ、ロゼッタ、エリサ、フィナ、オリヒメさんの8名だ。


 頑張ってほしいなぁ。


「アイギス、調子はどうだ?」


「はい。ゼフィルスさんの教え方が上手いのでだいぶ出来ていると思います。さすが現役1年生ですね」


〈新学年〉のテストだが、ほぼ1年生からやり直しということもあり、この1年生の授業、5月から9月までの期間がテスト範囲になるらしい。

 2年生、3年生はすでに通った道だが、復習を疎かにしていれば錆びていることだろう。

 それが有利に働くか不利になるかはその人の頑張り次第だ。


 アイギスは1年生の時は〈戦闘課1年34組〉だったそうで、〈1組〉に入れるくらいのカリキュラムではなかったそうなのだが、そこは現役〈1年1組〉がたくさんいるので周りが教えまくり、今では〈1組〉で十分やっていけるだけの学力を身につけている。


 他の制度利用生の学力次第だが、上位のクラスには入れるだろう。楽しみだ。


 ちなみにその〈転職制度〉の利用学生だが、土日で高位職の〈転職〉数が明らかになった。

 情報を持ってきたのはユミキ先輩である。ちなみに依頼料は掛かりません。


「お得意様だし、サービスで教えちゃうわね。今回の高位職〈転職者〉、〈新学年〉の総学生数は合計で6211人、その内〈ダンジョン攻略専攻・戦闘課〉は4830人ね」


「むちゃくちゃ多いな! 約5000人かよ!?」


「1年生の高位職は大体2000人、内約1500人が〈戦闘課〉だったけれど、来年の2年生は6000人を越える計算ね」


 びっくりである。250組どころではない。300組に迫るんじゃなかろうか?

 いや、考えてみれば2年生、3年生と職業ジョブの理解を深めていけば高位職になれる確率は高まるし、不思議な数ではないのか。


「内訳は3年生が2349人、2年生が2119人、1年生が362人ね」


「やっぱり3年生が多いな」


 1年生が圧倒的に少ないのはすでに〈モンスターを倒す〉系の条件をクリアして職業ジョブに付いたからだな。

 そうか、こんなに高位職が増えちゃったか。来年が楽しみすぎるんだけど!


 しかし、逆を言えば〈1組〉など、上位のクラスになるのは並大抵ではない、ということだな。

 しっかり勉強しておくに限る。


 ユミキ先輩と情報交換(なぜか新しく加入したメンバーのことを聞かれた)すると、彼女は忙しそうに去っていった。みんな忙しそうだなぁ。


 そんなことをしているとあっという間にテストはやってくるもので、全員が気合を入れてテストに挑んだ。ちなみに結果の発表は来週の月曜日、クラス替えの当日になる。


 木曜日の実技テスト、俺たちに課されたのは前回と同じダンジョンでの特定の素材を集めるやつだった。この実技、当日になるまで何をやるかわからないので対策しようがなかったのだが、全員無事切り抜けたようだ。前回やばかったカルアとパメラも、何とかなった様子だ。

 あとで褒めておこうと思う。


 ハンナたち生産職の実技も前回と同じらしいが、そこでハンナは何やら全力を出したとかでちょっと先生に呼ばれていった。ハンナ、何したんだ?

 同じ生産専攻のアルルに聞いてみたが残念ながら課が違うので分からないそうだ。



 それはともかく、長かったようで短かったテスト期間も終わりを向かえ、木曜日の放課後は全員でギルドに集まって、恒例のお疲れ様会を打ち上げた。


「みんな臨時のテストお疲れ様だ! みんなクラス替えでどんな結果になろうと悔いが残らないよう全力で頑張った。頑張ったテストの後は打ち上げと相場が決まっている。ジョッキは持ったな? 持ってない人は今すぐ持て、それではお疲れ様かんぱーい!」


「「「かんぱーい!」」」


 新しく引っ越したCランクギルドハウスでギルドメンバーが集まって乾杯する。

 至福の時だ!


「あ~、もう疲れたわ。ヒーラーにダンジョン下層の素材を取って来いって厳しいと思うのよ」


「ラナは無双していたって聞いたが??」


 おかしいな、俺が聞いていた話と違う。

 ラナが当たったのは初級上位ダンジョンの一つだったのだが、いずれも下層にいるモンスターの素材だったので時間が掛かったのだそうだ。しかし、道中のモンスターは全て出会った端からラナが嬉々として光に還したと聞いたが。


「ちょっと楽しかったわ」


「そりゃあ上級職とかオーバーキルすぎるだろうさ」


 下層に行くメンバーで簡単なパーティを組んだらしいが、ラナは先頭をズンズン進んでいったと聞いたぞ?


「それより新メンバーの子たちは?」


「クラス替えが終わったら正式にこっちに加入することになっているからな。今は引継ぎなんかで忙しいらしい」


「テストの後くらい休んだらいいのに」


 残念ながら新メンバーのうちほとんど全員が今回の打ち上げを見送っている。

 仕方ない。

 だが、みんな忙しい中オリヒメさんだけは打ち上げに参加してくれていた。


「みなさん、夫がいつもお世話になっております。今後は夫婦共々お世話になりますわ」


「お、おいオリヒメ、何を盛大に言っているのだ。――おい待て、待ってくれ」


 こんな感じでオリヒメさんはレグラムの待ったを華麗にスルーしてメンバー全員に挨拶回りしていた。もちろんその周りには好奇心という言葉が顔に書かれていそうな女子たちが集まっていて、レグラムが入る事も出来ない空間が形成されてしまっている。


 レグラムは私の夫だと刷り込んでいるのだろうか? これは確かに大事な用なのだろう。

 レグラム、頑張ってくれ。


 ふう。

 無事テストも終わったし、後はクラス替えの結果を待つばかりだ。

 出来ればみんなとは同じクラスがいいな。




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