第660話 南東激突戦決着。将を討つ一撃。
南東側で〈テンプルセイバー〉を上手く撃破していたところにリーナから連絡が入った。
それと同時にレナンドル先輩が大技を放つ。
「我々を侮らないで貰おうか! 【一騎当千】はこんなものではない! 『人馬一体』! 『無双・
『人馬一体』は〈馬〉に騎乗しているときにステータスに大きな補正が掛かる
つまりここでレナンドル先輩は勝負を仕掛けてきたということになる。
当然この情報も知っていたのでリカにはレナンドル先輩が『人馬一体』を使ったら対抗スキルを使うよう指示していた。
続いてレナンドル先輩が発動したのは四段階目ツリー『無双・大旋風』。
馬上で槍をヘリのプロペラのように振り回し、竜巻を起こして周囲を吹き飛ばす範囲攻撃だが、リカはノックバックに耐性を持つ『先陣の気迫』を活かしてレナンドル先輩に肉薄していた。
「打ち消せり! 『強化崩し・
「がっ、なんだと!?」
リカが使った『強化崩し・
『人馬一体』を打ち消されてレナンドル先輩は驚愕した様子だ。
【先陣の姫武将】は相手を崩すために有効なスキルを多数持っている優秀な
しかし、これだけではレナンドル先輩は止まらなかった。
「まだだ! うおおお!」
大旋風を維持しながら器用に馬を走らせ後衛を巻き込もうとしたのだ。
「ラクリッテ!」
「ポン! 巨大な盾壁――『ギガントウォール』!」
俺の指示にラクリッテが巨大な盾を顕現させて大旋風を阻む、しかし相手は四段階目ツリー、徐々に巨大な盾が削られていく、長くは持ちそうにない。
しかし、一時的に受け止めることには成功した。
だがその時、今までシェリアのイグニスに押さえられていた【クルセイダー】の彼が動いた。
「『ギガントバッシュ』! 『オールバッシュラッシュ』!」
それは『シールドバッシュ』と『ラッシュ』の上位スキル。
相手に盾突撃を放つ、盾職の強力な攻撃スキルだ。
「! イグニス様!」
シェリアの驚愕の声が届いた。
盾の連打攻撃により【クルセイダー】がイグニスを吹き飛ばしたからだ。
イグニスのダメージは軽微だが、ノックバックしたため【クルセイダー】の彼を逃してしまう。
【クルセイダー】の狙いは、バフで味方を強化するノエルだった。
「え? わ! 『ライブオンインパクトソング』!」
「『クラッシャーシールドバッシュ』!」
すぐにノエルは衝撃波で相手を攻撃し、ノックバックさせるスキルを放つが、【クルセイダー】はノックバック耐性を持っている。
そのまま衝撃波も受けきってノエルに盾突撃が直撃した。
「きゃあ!」
「ノエルちゃん!」
ノエルが吹き飛び、ダウンしてしまう。まずい!
「そこだ! 『
そこへレナンドル先輩の強力な投げ槍の一撃が放たれた。
将をも一撃で屠るスピードのある投げ槍だった。大旋風の終わる瞬間、ラクリッテを完全無視しての攻撃だ。これには『ギガントウォール』発動中のラクリッテもタイミング的にドローできない。
槍がノエルに直撃した。
「の、ノエルちゃん!?」
「ああ! あ~、負けちゃったー」
ノエルのHPがゼロとなり、ノエルが心底残念そうに呟くと、そのまま退場してしまう。
レナンドル先輩の意地の一撃だった。
俺は【テンプルナイト】の相手をアイギスに任せて、投げ槍を放ったばかりで隙だらけのレナンドル先輩を強襲する。
「じゃらっしゃあ!! 『
「!! ぐはあああ!?」
ユニークスキルの一撃が決まり、大ダメージが入る。
ノエルの仇だ。ここで討たせてもらうぜ! レナンドル先輩!
元々こちら側に上級職は2人しかいなかったとはいえ、あの配置でノエルを討ち取ったのは見事と言うほかない。さすがは元Aランクギルドだ。しかし、これ以上はやらせない。
俺は本気でレナンドル先輩を倒しに行く。
「ユニークスキル『
「ぐっ!? 後方から!?」
レナンドル先輩は何とか馬を回転させ、こちらを向こうとしているが残念、〈騎乗〉の弱点は方向転換なんだ。〈馬〉は後ろからの攻撃にめっぽう弱い。
俺は『勇気』でステータスを底上げして『ソニックソード』を使い、後方に回って馬鎧を着た〈馬〉を斬る。
〈騎乗〉中の〈馬〉のダメージは装備者本人が受ける。つまり〈馬〉が受けたダメージはレナンドル先輩のダメージだ。
先ほど大旋風を使ったのは失敗したなレナンドル先輩。
あれは後方へ攻撃も出来る優れたスキルだ。俺ならこの乱戦では温存する。
騎乗中は後ろに張り付かれたら抜け出せないのだ。逃げ道は前にしかない。
「く、ならば『ホースドライ――」
「させん。『雷閃斬り』! 『飛鳥落とし』!」
後ろに張り付かれれば次の行動は〈馬〉を走らせるしかない。
しかしその前にリカが立ちふさがった。
「くっ、『レギオンチャージ』!」
「『弾き返し』!」
「『ライトニングスラッシュ』!」
いくら防御力の高い騎士系の
退場が見えた。
しかしレナンドル先輩は、さすがは最上級生という気概を見せる。
「俺は負けん! 負けてはならん! この勝負にはギルドの命運が掛かっているのだ!」
なんと〈馬〉から跳んだのだ。
つまり、装備を解除したということ。
これでもう、〈馬〉に攻撃を加えてもレナンドル先輩にはダメージがいかない。
この状況で装備を外すという選択が出来るのか!
「うおおおお!!」
レナンドル先輩が跳んだ方向にいたのは、俺だ。レナンドル先輩の手には先ほどノエルを倒した槍が握られている。投げ槍は装備している限り、使えば手元に戻ってくるのだ。
その槍がエフェクトに光る。そのスキルモーションは覚えがありすぎた。
「それ、跳びながら使うとか有りかよ!」
「『
それは五段階目ツリーの連続攻撃。
数え切れないほどの槍による突攻撃が俺を襲った。
やべえ。
ジャンプしながら『
「『サンダーボルト』!」
「ぐう!?」
俺の選択は魔法攻撃。
普通ならば『
――成功。
俺も多少ダメージを受けることになったが、レナンドル先輩の攻撃を
しかしレナンドル先輩もすごい、攻撃を受け、空中で体勢を崩したにもかかわらずクルリと回転するようにして足から着地して見せた。かっこいい着地だ。俺もしてみたい。
さて、これで最後だな。リカがレナンドル先輩の後ろから迫ろうとしていた。
レナンドル先輩からすれば、俺を下してリカに向き直るのが理想だろう。
「決着をつける!」
「望むところだ!」
瞬間、レナンドル先輩の槍が光った。
「『
繰り出されたのは四段階目ツリー、強力なパワーで敵を貫く強スキルだ。
だが、俺には見えている。
「『ディフェンス』!」
俺の選択は〈二ツリ〉の防御スキル。
普通なら防御ごと撃ち抜かれるだろう。
しかし、この『滅槍』は俺もよく使っていたスキルだ。
タイミングは分かっている、防御スキルを合わせる。
――ここだ!
「パリィ成功!」
「な!!」
まさか初めて出した一撃にパリィを合わせてくるとは思わなかったのだろう。
激突してその結果。レナンドル先輩の槍は大きく弾かれていた。
防御勝ちだ。
神速の一撃を――放つ!
「レナンドル先輩、楽しかったぜ―――『聖剣』!」
「ぐあっ! ――くっ、ここまで、か、無念だ……」
俺の『聖剣』が直撃し、レナンドル先輩のHPがゼロになる。
そしてその言葉を最後にレナンドル先輩は退場した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます