第642話 来たる〈決闘戦〉に向けてメンバー決め!




 翌朝の土曜日。今日からダンジョン週間が始まる。

 素晴らしい。また9日間のダンジョン祭りだ!

 とはいえ今回のダンジョン週間はダンジョンではない予定が結構詰まってるんだけどな。


 その初日である今日は、朝から〈エデン〉〈アークアルカディア〉メンバー全員が集まってギルド部屋でブリーフィングを行なっていた。このダンジョン週間のスケジュールを組むのが目的だ。


「では、サトルの方からご説明をさせていただきます」


「はいサトルです! まず、このダンジョン週間の皆さんの主なスケジュールを纏めさせていただきました。スケジュール表がこちらになります!」


 セレスタンの指示を受けて席から立ち上がった〈助っ人〉のサトルがハキハキと話していく。

 最近セレスタンの部下として板に付いてきたサトルは、主に裏方の雑事でその実力を発揮していた。さすがは【ハードワーカー】だ。


 今回は全員のスケジュールをすぐに確認出来るよう、持ち運びタイプの大きなホワイトボードにパッと見で分かりやすく表示してギルド部屋に掲示してくれた。

 予定が決まればこのホワイトボードに書き込めば良いということだな。もちろんそれとは別に〈学生手帳〉でパパッと確認できるようデータも送ってあるようだ。


 俺はそれを見ながらブリーフィングを進めていく。


「さて、このダンジョン週間の一番の目玉だが、この表にあるように3日後はいよいよCランク昇格のギルドバトルが待っている。昇格と言っても今回は〈ランク戦〉では無く〈決闘戦〉でランクを賭けた形だけどな」


 すでに全員に通達済みで了解をもらっているため誰からも不満は出てこない。

 それにラナを始め、ちょっと楽しみという人も多いな。せっかくのイベントだ。楽しまなくっちゃな!


 俺は話を進める。


「そこでギルドバトルについてだが出場者を決めたい。今回の対戦相手はあの元Aランクギルド、〈テンプルセイバー〉。フィールドは障害物有りの〈12じゅうにぼし〉フィールド、もちろん〈城取り〉で、人数は〈15人戦〉を予定している。Dランク昇格試験までとは違い、相手は全力の本気で来るぞ。俺たちも全力で当たる必要がある」


 俺がそう言うと部屋がざわめき、メンバーの顔に真剣味が帯びた。

 重要なギルドバトルだ。特にCランク昇格も加わっているためにここでなんとか活躍したいメンバーも多いだろう。


 現在〈エデン〉〈アークアルカディア〉含め、ギルドメンバーの人数は25人。タバサ先輩はまだメンバー入りしていないのでこの人数だ。

 そのうち15人しか出場できないのである。

 相手は元Aランクギルド、〈テンプルセイバー〉。現在落ち目のギルドとはいえ、上級職を10人以上も抱えるその名はまだ健在だ。これを〈決闘戦〉で打ち破る意義はとても大きい。名声値的な意味で。


 それにだ。今までのDランク昇格試験までは、半分チュートリアルだった。

 Eランク戦では先生方が3人、Dランク戦では試験官を務める先輩方のギルドが相手だった。少し手加減してもらっていたからな。

 このCランク戦からが本番だ。本気のギルドバトルだ。


 また、ここで勝てる人材というのは学園ではエリートとみなされる。

 出場したいという者も多いだろう。メンバー決めは慎重にその辺を考えていかなければならない。


 ユミキ先輩から送られてきた資料によると、〈テンプルセイバー〉の上級職は11人。タバサ先輩は出場しないので10人だ。10人の上級職が相手になる。

 これをふまえ、俺も手を抜かない本気のメンバーで向かわなければならない。


「相手は上級職を11人も抱える〈テンプルセイバー〉だ。タバサ先輩は出場しないが、それでも10人の上級職が相手になることが予想される」


 それを聞いてメンバーがまたざわつく。

 まあ、そりゃあな。

 初のCランク戦で、いきなり上級職10人を相手に〈15人戦〉を行なうとか、どういうことよと思うだろうよ。


 しかも〈テンプルセイバー〉は「騎士爵」のカテゴリーで固められた対人戦のエリートギルド。スピード、パワー、防御力に秀でた強力な職業ジョブだ。エステルやアイギスを見ればその強さが窺い知ることができるだろう。


 特に〈城取り〉では初動のスピードが重要で、それを「騎士爵」は〈騎乗〉することでスピードを上げてくるのだ。

 とても厄介である。


「それもふまえて確定で入れたいメンバーを発表する、まずハンナ以外の戦闘職の上級職5人は確定で入れる」


 これについてはだれも異論を挟まなかった。相手は上級職10人だ。当然の人選だな。


 ハンナに目を向けるが、なぜかホッとしていた。メンバー入りさせられると思ったのだろうか? ハンナは生産職!


「続いて、騎士に対抗するにはこちらも騎士だ。アイギス、頼む」


「わ、私ですか!?」


 ビックリした仕草で俺を見返すアイギスに頷く。アイギスは〈エデン〉に加入してから実力をメキメキと上げている。馬にも騎乗出来るし人選的にも問題は無い。それに下部組織ギルドである元〈ホワイトセイバー〉のメンバーが親ギルドである〈テンプルセイバー〉を下すってロマンがあるしな! アイギスだって強いんだって見返してやりたい気持ちもあるんだ。


「わ、わかりました。どこまで出来るか分かりませんが、微力を尽くします」


「なに、今のアイギスなら十分戦えるって。頼りにしているぞ」


「あ、……はい!」




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