第640話 一気に最奥! レアボスツモってバトル開始!
〈白の玉座〉の所有権。
これはまだ〈獣王ガルタイガ〉が握っていたりする。正式には〈エデン〉は〈獣王ガルタイガ〉からいろいろな物を担保に〈白の玉座〉を借りているという状態になっている。
本来なら賭けに出すことすら難しい話なのだが、当の〈獣王ガルタイガ〉のギルドマスター、〈獣王子〉は普通にこう言った。
「貴様らが〈テンプルセイバー〉ごときに負ける? 無い無い。〈白の玉座〉をエサに搾り取ってやるがいい。たんまり稼げるぞ? わはははは」と。
そんなわけで〈獣王ガルタイガ〉的にはまだ借りている状態の〈白の玉座〉を賭けることは全然問題なし、むしろこのチャンスに〈テンプルセイバー〉からさらに搾り取ってやれと前向きな意見を言われてしまったよ。
というわけで、レアボス狩りに来たわけだ。
どうも獣王子は【怠惰】の獲得を目指しているらしい。本人はすでに上級職に就いているはずなので誰か別の人か……、いや詮索はしないでおこう。
「さて最奥に到着だ! ここのレアボスは〈
こっちには上級職が3人もいるのに加え、遠距離攻撃担当が3人いる。ニーコはスキルが無しの通常攻撃のみなのであまり火力は出せないが、この一戦だけなら問題は無い。
「まーた勇者君が何か言ってるよ。僕の耳には
「気のせいではないですわよ? わたくしも聞きましたわ」
「いつものことよね。でも初めての
「私も微力を尽くしましょう」
ニーコが呆れ気味に、リーナが苦笑して頷き、ラナは笑顔で、エステルは穏やかな表情で感想を告げる。
「あと相変わらず勇者君がなぜ最奥までの道を知っているのか、という疑問について誰もツッコまないんだね」
「勇者だからな」
「全然答えになってなーい」
ニーコが何やら唸っているが些細なことなのだ。
何しろみんなこの学園の最高峰とも思われているボス、中級上位ダンジョンのレアボスの一角を倒す事に集中しているから。
俺はみんなが緊張しないよう、明るい口調を心がけて言う。
「んじゃ、詳しい攻撃パターンと作戦を説明したら、〈笛〉吹いて出発だな」
打ち合わせをして準備が終わり次第、レアボス狩りに出発だ!
門を潜ると、そこに待ち受けるボスはいなかった。
「よし! レアボスをツモったぜ! 迎撃準備!」
「バフを掛けるわね! 『獅子の大加護』! 『守護の大加護』!」
やはり運を貯めておいて正解だったな。
確率70%のレアボスを無事引き当てた俺たちは、早速準備に取り掛かる。
俺は前へ出て、ラナはバフだ。
レアボスがポップする前に準備を整えておくのが重要。
リーナ、ニーコもラナの近くに集まり射撃の準備をする。
リーナが持つのは両手魔砲の〈紅蓮魔砲〉。長さがリーナの身長近くあるそれを、吊りひもで肩に掛け、横腹の下辺りに固定して銃口を前へと向けて構える。
ニーコも左手の〈折り畳み式ライライシールド〉を展開して地面に立て、片膝を置く姿勢で盾に隠れる。この折り畳み式盾は持ち運び中は三つ折りできてコンパクトになる盾だ。展開すると高さ1mにもなるため大盾に近いが、分類は小盾だ。
これを展開すると盾が大きすぎてニーコは動きが制限されてしまうが、動かずに遮蔽物の陰から撃つタイプのニーコにはこの盾が合っている。
盾の側面に右手の〈黒猫印のハンドガン〉をくっ付ける形で固定し、構える。
エステルは〈サンダージャベリン号〉をすでに収納し、〈蒼き歯車〉を装備済みだ。
いつでも出れるという構えの姿勢で待機している。
こうして準備が完了したとき、ボス部屋の奥でエフェクトが発生する。レアボスポップのエフェクトだ。
そうして現れたのは黒い体毛と金属に覆われたサイボーグのようなボディ。
頭はマウンテンのようにとんがりしている髪型をキメ、かなり強そうな威圧感ある見た目をしているゴリラが現れる。
これがここのレアボス、〈
俺はレアボスがポップした瞬間、人差し指を上に向けるポーズでシャキンと決める。
「初手、『アピール』!」
まずは挑発だ! 今回タンクは俺しかいないのでヘイトは俺が稼ぐ。
「ウホウホウホ!!」
「やっべ、思った以上にうるさっ!」
〈
問題は、奴の腕と胸が金属で覆われていること。火花が散るほど叩くなよ。金属音がむちゃくちゃうるさい!
このドラミングは自身の強化と、音で相手をノックバックさせる吹き飛ばし効果がある。音で吹き飛ばしとか予想以上にうるさかったぞ。
「ウホウホウホホホ!」
「言っとくが、ウホっとか言われても嬉しくないからな! 『ヘイトスラッシュ』!」
まずはヘイト稼ぎだ。
吹き飛ばし効果のドラミングが収まった瞬間を見計らいダッシュする。
このタイミング、相手は防御スキルを使えない。
通常攻撃の金属の拳による攻撃を掻い潜り、挑発効果のある『ヘイトスラッシュ』を決める。
よし、入った! これでヘイトは稼げたな。
ヘイト負けしないよう管理に気をつけなければ。
今攻撃すると防御スキルに阻まれる可能性があるためバックステップで距離を取る。
「――『
いきなりの『勇気』炸裂だ! 手加減はしない。
相手のステータスが高いなら、こっちもステータスを高めてやればいい!
「ウホアアアア!!」
素早く接近した〈ドンコンガ〉の続いての攻撃はスキル、『コングダブルスレッジハンマー』。両手を組み、上から叩き付けてくる攻撃。大技だ。
――チャンス!
「――『
相手はスキルを使ったら、少しの間防御スキルを発動出来ない。
防御スキルをどう掻い潜るのかが上級のボス戦の肝だ。
相手の攻撃は逆に攻撃のチャンスだと思え! 俺は『勇気』でスピードの上がったサイドステップで回避しつつさらにユニークスキルを叩き込んだ。
「ウホア!?」
良いのが入った! これで防御力デバフが付いたな。俺もダメージとヘイトを稼ぎ、タゲが仲間に向かないようにする。いきなりユニークスキルの連打をさせていただきます!
俺がヘイトを稼いだことで他のメンバーの攻撃が解禁される。
「行くわよ! 大技受けて見なさい! 『大聖光の四宝剣』!」
「『紅蓮砲』! 『ハイパーカノン』! 『ビーム』ですわ!」
「行くよーー」
俺がヘイトを稼ぐと触発されて遠距離アタッカーたちが攻撃を開始する。
撃て、撃て、撃てーー!!
遠距離攻撃はパリィされても何の問題も無い! 撃ち放題だ!
「ニーコさんの銃、って何度聞いても和みますわね」
「私もちょっと使ってみたいわ」
「ふっふっふ、いいだろう? ぼくも気に入っているんだよ。もちろん後で貸すのは構わないよ」
なんだか背後でニーコの銃の話題に花を咲かせている気がするけれど、ボスに集中する俺には振り向けるはずもなく、気のせいということにしておこう。
ニーコの銃はスキル『銃声がたまに「ニャー」になる』のせいで「バキュン、バキュン、バキュン、ニャー、バキュン、バキュン、ニャー」みたいなことになっているからな。
でもレアボスが相手なので集中してくれよ?
――――――――――――
後書き失礼いたします。
ブックウォーカー様で小説〈ダン活〉の第02巻が好評配信中です!
なんと配信日当日は日間総合ランキングで1位でした!
ジャンル別では無く総合で1位!? と作者大変驚きました!
これも応援してくださった読者さんのおかげです!
ありがとうございます!
これからも作者頑張り続けますのでどうか応援を、よろしくお願いいたします!
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