第449話 新しい〈助っ人〉メンバー2名が登場!
ハンナの生産光景(?)が終わり、解散したところでハンナがセレスタンから相談を受けた。
「ハンナ様、1つご相談があるのですが」
「はい。私にできることでしたら」
「助かります。相談というのは例の〈助っ人〉の応募の件なのですが、これが集まらないのです。ハンナ様は〈生産専攻〉に顔が広いとのこと、もし有用な人材がいれば2名ほど紹介していただけないかと思いまして」
「分かりました。少し心当たりに聞いてみます。でもあまり期待しないでくださいね?」
現在ギルド部屋で話しているのはハンナとセレスタンだ。
セレスタンが珍しく、〈助っ人〉の募集についての相談をハンナにしたところ、ハンナから紹介してもらえることになったようだ。
ハンナは〈ダンジョン生産専攻〉の校舎で授業を受けており、横のつながりで〈ダンジョン営業専攻〉にも知り合いが多いのだ。
募集では中々こちらの希望に合う人材が来ないため、スカウトに切り替える形だ。
そして後日ハンナが連れて来たのは意外な人物だった。
「メリーナ先輩?」
「はあいゼフィルスくん! 今日から〈助っ人〉に来たメリーナ先輩だよ~」
そう言って小さく手を振るのは〈総商会〉で俺たち〈エデン〉と〈アークアルカディア〉を担当してくれていたメリーナ先輩だった。
美人のお姉さん系2年生。
身長はラナよりほんのちょっと低いくらいで、少しおっとり顔で緩くフワフワなアッシュブロンドを背中に流し、優しく柔らかな目がこちらを見つめている。
どうやらハンナが紹介したのはメリーナ先輩だったようだ。やるなハンナ。
ちなみに
支援系として優秀で、ゲームではCランク以上になったときにもらえるギルドハウスにて、設定した売り物を自動で売ってくれる
〈アイテムボックス〉の中身を個別に〈販売可〉の設定にしておけば、それを勝手に取り出して店で販売。店の在庫が減ったら〈アイテムボックス〉から補充してくれる。
普通に売るよりも高く売ることが出来るが、その分店売りなので売る速度的には遅い、まあそれは【商人】などの売子がいれば速くなるし、より高く売れるようになったりする。
また、欲しいアイテムと値段を設定しておけば買取なんかも自動でやってくれた良
俺もゲームでは〈助っ人〉で散々お世話になった。
大体の場合〈助っ人〉で頼むのは【商人】系か【ワーカー】系だったからな。
ちなみに【秘書】は【ワーカー】系だ。
そしてもう1人、
ハンナが連れて来た2人目の人物も【ワーカー】系だった。
「初めましてこんにちは! 俺、サトルって言います! 〈支援課1年2組〉で
なんだろうか、ちょっと一度で情報が処理しきれないぞ?
見た目は、普通寄りの体格だが髪が茶髪でイケイケ風。うーむ、格好を気にする男子高校生という感じだ。顔は三枚目。
言動からハンナとルルに憧れている、のか?
はて、ハンナはいったいどこでこのサトル君と知り合ったのだろうか?
「ダンジョンで何度か、ウルフやゴブリンに襲われているところを助けて? から、なんか懐かれちゃって」
「ハンナ様は神様です!」
「信者じゃんっ!」
どうなってるんだハンナは。いつの間にそんなことに?
確かにハンナは初級ダンジョンにはよく1人で採集に出かけたりするがその時助けたのか?
サトル君とか言ったか、大丈夫なんだろうか彼は。色々な意味で。
俺はそっとセレスタンに目配せする。
「こちらでも精査したのですが、ハンナ様とルル様を前にするとき以外は普通な学生だったのです。普段はそれなりの真面目な学生であったため、こちらに来られるまで気がつきませんでした」
珍しくセレスタンの情報に穴が。
つまり、ハンナとルルを前にした時以外はまともということ?
でもハンナが連れてきたということは、ハンナは気にしていないっぽい。
一応確認のために〈アークアルカディア〉サブマスターであるニーコにも来てもらった。
確か、〈支援課1年2組〉と言えばニーコとカイリと同じクラスのはず。カイリは帰省してこの場にいないので、ニーコに確認をお願いした。
「それでニーコよ。彼はその、大丈夫なのか?」
「こちらでも判断しかねているね。とても不思議な光景だよ。サトルと言えば……あまり覚えてはいないがそれなりにできるやつだった気がする、ぼくの目にも狂いが出たかな」
ニーコにしてみても今のサトル君は別人らしい。
とりあえずニーコやセレスタン情報では仕事は出来るみたいなのでそっちの面では心配は無いらしいが。
彼は男子だ。一応確かめておかなければいかないことがある。
「俺は〈エデン〉のギルドマスターゼフィルスだ。サトルに1つ確認するが、〈エデン〉、〈アークアルカディア〉のメンバーはその多くが女子だ。男女関係についてあまりとやかく言いたくは無いが、トラブルを起こすようなら契約は解除されることを覚えておいてほしい」
「もちろん当然の心得です! むしろ自分がハンナ様をお守りする気持ちで臨みます!」
「いや、そこまではしなくていい。自身が気をつけてくれるだけでいい」
まったく、これだから信者は。
ハンナが苦笑しているぞ。あとでハンナにイヤならイヤだと告げろと言っておかないとな。
しかし、サトルのモチベーションはむちゃくちゃ高く、意外に仕事で多く活躍していくことを、俺はまだ知らない。
「メリーナ先輩はどうして来てくれたんだ? 〈総商会〉はいいのか?」
「あっちでの単位はもう足りているからね。夏休みであそこにいたのはただのアルバイトだったのよ。それで、ハンナ様にお聞きしたらこっちの〈助っ人〉の方が報酬が良かったからね」
「なるほどなぁ。でも、そうなると今後の〈上魔力草〉なんかの依頼は一般窓口に行けばいいのか?」
「何言ってるのよゼフィルスくん、そっちも私がやるわ。向こうにだって籍は残っているし、担当だしね。それも仕事のうちなんだから、依頼の処理はこれまでどおり私に任せてくれていいよ」
「そりゃあ助かる」
どうやら〈総商会〉で通常窓口にはいないが、俺たちが用がある時だけ窓口として担当してくれるらしい。凄いなそれ。
「でも期間はいいのか? 夏休みだけのアルバイトのつもりなら」
「大丈夫大丈夫。報酬もいいし、最低でも3年生になるまでは〈助っ人〉されていることにするから~。就活がすんなりいけば卒業まで居ても大丈夫だよ~」
よかった。それだけいてくれれば十分だ。これで問題はやっと解決だな。
こうして〈エデン〉の〈助っ人〉メンバーは無事に決まり、本格的に次へ進む準備が着々とできていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます