第448話 これがハンナの実力。新しいハンナ錬金装備も。
「いいですかマリアさん。スラリポマラソンは毎日の努力が肝心なのです」
そんな努力は聞いたことがない。
場所は変わって現在〈エデン〉のギルド部屋、その個室の1つにあたる錬金部屋にて、錬金専用装備に着替えたハンナがメイスを両手で持って生き生きとマリアにスラリポのなんたるかを説いていた。
ハンナにスラリポを教えた俺に身に覚えがない件。
現在のハンナの装備は、以前は〈アーリクイーン(黒)〉をベースに色々装備していたが、あれらはほぼ全て
そのためハンナは防具を更新していた。
これが結構すごい装備群で、ベースは
それがこちらだ。
――――――――――
・武器 〈なぎ打ちのメイス〉(メイちゃん三世)
〈攻撃力30〉
〈『スイングLV3』『なぎ払いLV3』『連打LV2』〉
・頭装備 〈戦進狼の折れ帽子〉
〈防御力22、魔防力15〉
〈『HP+100』〉
・体装備①〈戦希少四狼の黒衣〉(女性用)
〈防御力45、魔防力35〉
〈『物理耐性LV5』『HP+60』〉
・体装備②〈希少進狼のローブ〉
〈防御力28、魔防力40〉
〈氷属性耐性15%上昇、闇属性耐性15%上昇〉
〈『HP+50』『MP+50』〉
・腕装備 〈ハンマー使いのスゴ手袋〉
〈防御力20、魔防力11、攻撃力20〉
〈『ハンマーの速度上昇LV5』『力持ちLV5』〉
・足装備 〈猫球の足袋〉
〈防御力27、魔防力16〉
〈雷属性耐性10%上昇、火属性耐性10%低下〉
〈『猫の足LV4』『HP+40』〉
・アクセサリー①〈錬金上手の腕輪〉
〈防御力0、魔防力0〉
〈『錬金品質上昇LV10』『錬金作業速度上昇LV10』〉
・アクセサリー②〈錬金術師の心得書〉
〈防御力0、魔防力0〉
〈『錬金効率上昇LV10』『錬金の大失敗を恐れるなLV10』〉
―――――――――――
これがハンナの錬金装備である。
錬金装備になぜ〈ハンマー使いのスゴ手袋〉が入っているのかは不明。さっきまで装備していなかったはずだが……。指無し手袋かっこいいじゃん。
ちなみにダンジョンに行くときはアクセサリー二つを換装し、ダンジョン用装備を身につけるのだが、まあそれはまたの機会としておこう。
見た目は以前の〈アーリクイーン(黒)〉に寄せて〈デザインペイント変更〉でコーディネートしている。
黒のワンピースに黒のマントのようなローブを着て、魔女っぽいスタイル。
スカートは長めで膝より下のフレア系だ。この辺は〈アーリクイーン(黒)〉の時とあまり変わらない。
大きく変わったところは、やはりローブだろう。なんだか一気に魔女っぽくなった感じがする。どうやらハンナは魔女っ子コーディネートが気に入っているらしい。
ローブにはフードも付いているのだが、帽子を被っているため使う予定は皆無だ。その代わり〈錬金術師の心得書〉がフードに入っている。そこ収納するところじゃないよ?
でもフードの中から魔道書っぽい物を取り出すのって、なんかロマンを感じるからいいか!
シャキーンと装備を着こなしたハンナがマリアに向き直る。
「見本を見せます、見ていてくださいね。『錬金』!」
ハンナの『錬金』スキルが発動した。
この部屋には、なぜか〈錬金セット〉がたくさんある。
しかも、きっとスライムを生み出すためのものだろう、土鍋のような錬金釜だけ、凄い数が揃っている。そして全部の土鍋の中にはたっぷりの泥水、そしてスライムゼリーが入っており、ハンナの『錬金』によってその全てが光り輝く。
これはハンナのスキルである『迅速錬金』『簡略生産』『大量生産』などが関連しており、一度に多くの『錬金』を発動させることが出来るのだ。
マリアはその光景を、最初はポカンと見ているだけだったが、次の瞬間には高速でメモを走らせていた。
そして数秒も経たないうちに土鍋のような錬金釜からスライムが大量に湧き出てくる。
ハンナの目がキラッと、いやギラッと輝いた。
「えいやー!」
ぱひゅん、という音と共にハンナのメイちゃんが叩き込まれスライムが光にされる。
残っていたのは〈魔石(極小)〉。
「一撃一撃に魂を籠めるのです。作業にしては進歩はないのです!」
ハンナが良いことを言っているが俺には普通にスラリポしているようにしか見えない。
と思っていたら、次第にハンナの姿がブレ始めた。す、スピードが上がっている! 叩くスピードが!
「『連打』! とととととととととととととと、とりゃー!」
今の一瞬で32匹のスライムが光になる。ハンナが、ハンナがなんか無駄に凄い!
「うりゃー『スイング』! とりゃー『なぎ払い』! とりゃりゃりゃー!」
あれは、メイスのスキル! 叩く、薙ぐ、引く、払い、カチ上げ、俺にはよく見えなかったがハンナがメイスを動かしただけで次々スライムが光になっていく光景。あれ? これってスラリポマラソンだよな? 俺は目を何度かコスコスする。
そうして約1分。400匹以上のスライムを屠ったハンナがいい汗かいたと言わんばかりに手の甲でおでこをぬぐっていた。
「お疲れ様ですハンナさん。見事でした! やっぱり〈エデン〉って生産職の方でも凄いのですね!」
いやいやいやマリア、ハンナと俺たちを同列に加えないで!?
少なくとも俺はそんなの出来ない。
「むふー。このスラリポマラソンは〈エデン〉の基本です。みんなこれを経験して強くなったのです」
「なんと! これが〈エデン〉が強くなった秘訣。素晴らしいです!」
いや、違うぞハンナ!?
イヤ、確かに俺が高位職に就かせた人はスラリポマラソンで
なんかマリアが深い感動を受けたみたいにメモを走らせてるよ……。
あとでハンナ以外はできないと教えてあげないと。
「そしてスライムからドロップした魔石はすぐに〈巨大錬金釜〉に放り込んで――『錬金』! するとほら、〈魔石(小)〉が出来上がります」
流れるような動作でハンナは1つの巨大な錬金釜へ魔石を投入していく。
この動作も速い。これは、達人級? いえ、スキルの補助の効果です。多分……。
そうしてハンナが再び『錬金』すると、釜の中に放り込まれていた〈魔石(極小)〉が全て〈魔石(小)〉になっていた。
錬金釜は別に1つ1つ、1回1回に分けなくてもまとめて『錬金』することは可能だ。
これは『大量生産LV10』と『簡略生産LV5』の効力だな。さらに、
「そうしてまた、『錬金』! こうすると〈魔石(中)〉が取れます。今回は25個取れましたね」
「おおおお! あの手に入りにくい〈魔石(中)〉が僅か数分で25個! こ、これは驚異的です、とても驚異的です!」
マリアが錬金釜の中を見て叫ぶような勢いで感想を口にする。
ゲーム〈ダン活〉では〈魔石(中)〉のドロップはさほど多くは無かったのだ。
それはリアルでも変わらない。いや、ゲームでは無限に買えたがリアルではそうではないのだ。
少し前に学園中の〈魔石〉が枯渇して買えなくなっていたからな、アレにはビックリしたよ。俺は後で知ったのだが、学園中で騒ぎになっていたらしいからな。
うちにはハンナという切り札がいたので問題無かったが。
しかしそのせいか、今年は夏休みに突入してから〈学園クエスト・納涼大会〉が例年より報酬アップで開催され、多く学生が参加して〈魔石〉を収穫しているらしい。
これについては、〈エデン〉もたくさんQPを使っているし、稼ぎに行くのも有りだと考えていたりする。
おっと、少し現実から脱線している間にハンナとマリアの話も終わったようだ。
「マリアさん、〈魔石〉の管理もよろしくおねがいしますね」
「はい! 〈助っ人〉マリアにお任せください!」
貴重な〈魔石〉の管理を任せられたマリアが、任せてくださいとばかりにとメガネをくいっ上げて請け負っていた。
あれ? そういえば〈魔石〉の在庫ってどれくらいあんの?
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