第434話 昇格ギルドバトル、先行はサチとアイギス先輩!
「魔装行くよ!」
「がってんだよー!」
「わかったわ」
「「「『魔装武装』!」」」
おっと仲良し三人娘が前に出て同時にスキルを発動したな。
『魔装武装』は【魔装】シリーズの
シェリアの『精霊召喚』のようなものだな。
これがなければ
遠目だが、三人娘の武器が赤いオーラに包まれているのが確認できる。
このオーラに包まれた状態を魔装状態と言い、要は武器の性能を上昇させてくれる特殊な強化バフである。
そこから繰り出されるスキルは強化されているためかなり強力だ。
さらに3人が持つパッシブ系ユニークスキル、『魔装共鳴』は同じユニークスキルを持つ者が同じパーティ、もしくは同じマスにいる時、その人数に比例して『魔装武装』の能力を底上げしてくれる。
最大で3人までパーティにいると能力が上がるため、3人が同じ行動をするならば非常に強力な戦闘力が生まれるだろう。
ただ1つデメリットを挙げるとすれば、魔装状態じゃないと『魔剣』や『魔本』と書かれた〈スキル〉〈魔法〉が発動できない、ということくらいか。
まあ、これは『魔装武装』を掛けなおせば解消される。少し手間だが問題は無い。
LV10の『魔装武装』なら、他の〈スキル〉〈魔法〉を10発撃つまで魔装状態は解除されないからな。
あまり〈スキル〉〈魔法〉を速攻連打しすぎると『魔装武装』のクールタイムに引っかかって魔装状態になれないこともあるので、そこだけは要注意だな。
三人娘が誰よりも前に出る。
「エミ、私は遠距離から撃ち込んで道を空ける、援護してくれ『
「オーケーユウっち! サチっちは先に行って! 援護するよ『
「2人ともありがと! 先に行くね『
【魔弓士】のユウカが遠距離から光属性の白いオーラを放つ矢を四発放ち、小城にいた雑魚モンスターを蹴散らす。
【魔本士】のエミは単体の移動速度を中アップさせるバフ魔法で援護しているな。
【魔剣士】のサチは中々AGIが高い。移動速度のバフも貰って早くも2マス目の防衛モンスターを三連続斬りのスキルで蹴散らした。
そこへ追いつかんとするのは【姫騎士】のアイギス先輩。
しかし、アイギス先輩は自分で走ってはいない、なんと馬にまたがっていた。
「後輩に遅れを取るわけにはいかないですね。騎士のスピードを見せてあげます。ダンディ、行きますよ、『騎槍突撃』!」
「ブヒヒヒーン!」
アイギス先輩がまたがるのは、エクストラダンジョン〈食材と畜産ダンジョン〉で低確率で見かける普通の馬だ。こいつは斬れば〈馬肉の刺身〉などをドロップするが、【騎士】系などがテイムするとこうして騎乗して戦うことが可能になるのである。
ちなみにアクセサリー枠を2つ使うぞ。そしてテイムされているうちは斬られても馬刺しにならない。
アイギス先輩の馬、ダンディ君は元々〈ホワイトセイバー〉時代に乗っていた馬だそうで、脱退の時アイギス先輩と一緒に〈アークアルカディア〉に移籍していた。
普段はテイムモンスターなどを預かってくれる〈預かり牧場〉に預けられており、必要な時はこうしてつれてくるのである。
また、馬はアクセサリーの装備品扱いなのでアップグレートが可能だ。端的に言えば馬用の鎧やら
リアルでも同じ仕様だったのを見たときはとても不思議なものを見た気分を味わった。
閑話休題。
アイギス先輩は慣れた手つきでダンディ君を操り、騎乗していると威力が上がる突撃するスキル、『騎槍突撃』を移動に使って先行していたサチに追いつく。
〈エデン〉が得意としている、2人のスピード型がツーマンセルを組んで道を開く〈スタダロード戦法〉だ。
馬に乗っていても小城はタッチできるため、小城マスの取得には問題はないようだ。
いやあ、やっぱ馬は速いな!
そしてその後ろからレグラム、ノエル、ラクリッテ、カイリが追いかけている形だな。
カイリはかなりAGIが高いのだが、戦闘力に難ありなため索敵担当などをしているようだ。うーん、少し勿体ないな。
しかし、〈アークアルカディア〉は初めてにしては中々纏まった動きを見せている。
これ、前々から〈エデン〉を見て研究していたな?
それに対し、〈エデン〉はAGIの高い俺とパメラが前に出て、続く形でシエラ、リカ、ミサトが追随していた。
パメラは避けタンクなためAGIが非常に高い。ステータスを底上げするスキル『回避ブーストLV10』も所持している。
ぶっちゃけるとステータスだけ見ればカルアに続いて二番目の数値だ。俺を超えたな。
そのため、なんのバフも掛けていないのにも関わらず、中央の天王山に到着したのは〈エデン〉の方が早かった。まあLV差があるのだ、仕方ない。
本来ならここから
ということでそのまま進路を北に変更し、〈アークアルカディア〉より1マス先に進む形で〈北巨城〉へ侵攻した。
「ゼフィルスさん~、巨城へ着いたらいかがするデスか? 全力攻撃を叩き込むのデス?」
「全力攻撃はダメだな。せめて〈二ツリ〉までにしなさい。〈三ツリ〉とユニークは封印。〈アークアルカディア〉の出番も残してあげてくれ」
「了解デ~ス!」
パメラの、とにかく巨城を削るかという問いにノーと答える。
俺たちはただでさえ火力も高いので、本気を出すと〈アークアルカディア〉が巨城を攻略する前に落としてしまう可能性すらある。
それだと評価にならないだろう。
そうこうしているうちに〈北巨城〉に到着、隣接を1マスだけ取得する。巨城を囲って邪魔することもしない。
「防衛モンスターは先に蹴散らしておこう。『シャインライトニング』!」
「了解デース! 『巨大手裏剣の術』! 『刀撃』デース!」
〈北巨城〉を守護している防衛モンスターはLV20前後のザコなので俺とパメラの攻撃で簡単に光に還る。
すると隣のマスから馬の足音が聞こえた、どうやらアイギス先輩とサチが追いついてきた模様だ。中々早いな。
「追いついたよ!」
「防衛モンスターはすでに倒されているようです! 急ぎ攻撃を開始しましょう『騎槍突撃』! 『スパイラルチャージ』!」
「うん! 巨城は私たちが貰うよ! 『魔剣・ロングエッジ』! 『魔剣・サードストライク』! 『魔装武装』! 『魔剣・ホーリーストライク』! 『魔剣・
横の隣接マスを取ったサチとアイギス先輩が巨城へ先制攻撃を仕掛ける。
アイギス先輩は『騎槍突撃』で巨城へ突っ込むと、槍を回転させながら
いいスキル選択だ。『スパイラル』系のランススキルは回転している間
俺もゲーム時代はよく使っていた。まんまドリルな攻撃から別名『採掘ドリル攻撃』とか言われていたアクションだな。
5人くらい【槍士】系
ちなみにその採掘させる部隊のことは〈巨城採掘隊〉と呼ばれていた。通信対戦などでは「『白の採掘隊』対『赤の採掘隊』のバトルが始まりましたー」とか実況されていたせいでネタ感が拭い去れなかった戦術でもある。懐かしいこと思い出したぜ。
まあ、【槍士】系はあまり強い
続いて、サチが魔剣スキルで普通に攻撃していく。
【魔装】系は〈スキル〉〈魔法〉を使っていると途中で魔装状態が解除される、『魔装武装』を掛けなおす必要があるため差込に若干弱い。それに他の【魔装】
うーむ、サチは、いや三人娘はちょっと焦りすぎかな?
先に1人だけ先行させたエミとユウカは、ちょっと自分たちの
隣接マスにいる〈アークアルカディア〉のサブメンバーを視界に収めつつ、俺も少しずつ巨城へ攻撃を加えていく。
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