第428話 土日はやはりダンジョンでパワーアップだろ!




「やりすぎたか?」


「こら」


 シエラに怒られた。


 テストが終わってからのお疲れ様会。

 本来なら勉強会に参加したメンバーだけでも一緒に祝わなければならなかったのに、俺たちだけではっちゃけて楽しんでしまったことをシエラは怒っているのだ。

 正直、すまんかった。

 テンションが押さえつけられなかったのだ。


 なんとかFボスたちのドロップ品で矛を納めてもらえないだろうか?

 もらえないか。


「ゼフィルス。反省しなさい」


「とってもごめんなさい」


「反省が足りないわ」


 ダメ?

 正座して三つ指突いて頭を下げたのだが……。


「もう。あなたは〈エデン〉のギルドマスターなのだから、メンバーのことも考えないとダメでしょ」


「はい。その通りです!」


 他のメンバーともちゃんと打ち上げをしなさい、ということだったらしい。

 俺としたことが、うっかりしていた。


 今日はさすがに時間が無いので明日、恒例のお疲れ様パーティをすることになったのだった。


 明けて土曜日。

 今日から久しぶりにダンジョンが解禁されたということでどこのダンジョンも学生で一杯だ。

 どこもかしこもコスプレパーティのように様々な装備が目に入る。

〈ダン活〉は本当に装備の種類が多いぜ。


 俺たち〈エデン〉、〈アークアルカディア〉も負けず劣らず、様々な装備を着ているけどな。

 結構壮観だ。

 当然、こんな準備万端な装備でどこに行くのかというと、ダンジョンに行くに決まっている。

〈エデン〉と〈アークアルカディア〉を適当にシャッフルさせ、4チームに分かれさせてダンジョンに送り出し、俺もダンジョンに出発した。


 目指すは〈ゴールデントプル〉のお肉だ。今日の夕方のパーティで使う分の確保だな。

 他にもFボスやレアモンスターを狙う。


 無事午前中にはミッションが完了して〈ゴールデントプル〉の肉塊2つを確保した。

 片方を料理専門ギルド〈味とバフの深みを求めて〉へ、もう片方を居残り組のハンナに手渡しておく。

 ハンナはドワーフのアルルと仲が良いらしい、生産談議に花を咲かせつつ一緒に調理をするようだ。

 楽しみだな。


 午後はまたメンバー、サブメンバーで集まってパーティをシャッフルした。

 今度は初級ダンジョンで〈アークアルカディア〉の攻略の手伝いだな。


 そうして日中はダンジョンを楽しんだ後、夕方にはメンバー、サブメンバー全員が〈エデン〉のDランクギルド部屋に集合し。小さくテストの打ち上げを行なった。


 とりあえず、テスト勉強を労った。

 結果発表は週明けの月曜日、それぞれの校舎の掲示板に張り出される。

 とは言っても学生が多すぎるので張り出されるのは上位300位までだけどな。


 後、赤点者も張り出される。毎年それなりの数のムンクが生まれるとのことだ。


 張り出されなかった者は来週のテスト返却まで分からないが、赤点が回避できているかだけ確かめられれば問題は無い。

 あれだけ勉強したのだから赤点はメンバー、サブメンバーからは出ないだろう。

 と言ってギルドを明るい雰囲気にしつつ、美味い料理に舌鼓をうった。


「〈幸猫様〉〈仔猫様〉! こちらハンナが作ってくれた〈ゴールデントプル〉の豪華なステーキです! 〈金箱〉産の〈お肉ブラスター〉で贅沢に焼き上げた一品なので、是非〈幸猫様〉と〈仔猫様〉もご賞味ください! あと、また〈金箱〉をお願いします!」


 当然〈幸猫様〉へのお供えも忘れない。ついでにお願いも忘れない。

 あ、そうだった。〈アークアルカディア〉のメンバーにも伝えなくてはならない。


「〈アークアルカディア〉の諸君。君たちも〈幸猫様〉と、特に〈仔猫様〉へ感謝を忘れてはいけないぞ? 〈エデン〉に加わりたいなら〈幸猫様〉と〈仔猫様〉へお供えすることが義務になるんだ」


「そんな義務は無いわよ。嘘教えないの」


 俺のありがたい言葉を即座にシエラが否定した。

 いや、そろそろ〈幸猫様〉と〈仔猫様〉へのお供えを義務化してもいいと思うんだ。

〈エデン〉のメンバー全員には〈幸猫様〉から『幸運』スキルをいただいている、そして〈アークアルカディア〉のメンバー全員には〈仔猫様〉から『幸運』スキルをいただいているのだから、報いるのは当然の義務だと思う。


 結局、御神体様方が可愛いこともあり、〈アークアルカディア〉のサブメンバーも〈幸猫様〉と〈仔猫様〉にお供えしていた。

 うむうむ。いいことだ。

 きっと良い事が起こるだろう。


 そんなこんなで楽しい打ち上げ回は終了した。




 週が明けて日曜日だ。

 英気を養ったため今日も元気にダンジョンへ行ってきた。


 昨日と同じように4チームに分かれ、LVカンスト組は〈アークアルカディア〉の育成を支援する。

 俺はシエラと共に〈エデン〉でLVカンストをしていないメンバー、リーナ、メルト、ミサトと共に攻略ダンジョンを増やすと共にレベル上げに付き合った。

〈道場〉も使ってLV60まで上げて、現在は中級下位チュカの最後の攻略が終わったところだ。


 もうすぐメルトたちもカンスト組に追いつくな。


〈アークアルカディア〉はノエルとラクリッテがまず三段階目ツリーを解放した。

 凄まじい進歩だ。

 他のメンバーはレベル上げよりもダンジョン攻略を優先し、また新しく解放され、この期末試験期間中に練習場で試していたスキルや連携などを、本番でも色々と試していたな。


 順調に実力を上げてきているようで何よりだ。


 近日中に〈アークアルカディア〉から〈エデン〉への昇格も行なうし、忙しくなるな。


 俺は今後の〈エデン〉の躍進を夢見て心躍らせた。




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