第400話 下部ギルドの名称とサブメンバーの紹介!




「ただいまー、新たなサブメンバーたちを連れて来たぞー」


「待ってたわ! みんな、歓迎するわね!」


「ゼフィルス、もう準備は出来ているわよ。みんなをそっちの席に案内してくれるかしら?」


 我が〈エデン〉のギルド部屋に入ると、そこは歓迎ムード一色だった。

 文化祭なんかでしか見られない飾り付けが多数見られる。こりゃ、インテリア系のギルドに委託したみたいだな。

 学生の身の丈にあった学園らしい飾り付けが部屋中に飾られていた。良い感じの雰囲気だ。センスがあるぜ。


 ラナが〈幸猫様〉を膝に乗せた形で手を振って歓迎してくれたが、俺にはその膝に乗っているお姿の方が気になって仕方がない。


 しかし、シエラにサブメンバーの案内を任されてしまったので今は責任を果たすしかない〈幸猫様〉~。

〈幸猫様〉に後ろ髪引かれながらサブメンバーを案内していく。


「皆、テーブルに三角の名札が置いてあるから名前のところに座ってほしい」


 ちなみに三角の名札は名前を覚えるためにおいてある。さすがに人数が人数だからな。

 名前と顔を覚えるのも一苦労だ。これからは仲間だからな。間違ってはいけない。

 また、この三角の名札は〈エデン〉側のメンバー席にも置いてある。

 サブメンバーへの配慮だ。


 すでにほとんどの〈エデン〉メンバーは席に座っており、ハンナ、セレスタン、そしてシズがウェイターとウェイトレスをしている。

 ハンナが〈空間収納鞄アイテムバッグ〉から取り出した飲み物をセレスタンたちが素早く、そして音すら出さずに配膳していく。さすがの高性能。


 サブメンバーも席に着き、飲み物が配り終えたところで俺とシエラが、用意された特設台の上に上がる。というかこんなものまで用意してたのかよ。誰だこれを発注したのは、いらなくない? せっかくだから上がるけど!

 そんなことを思いながら歓迎の挨拶をする。


「皆忙しい中集まってくれてありがとう。今日この日、俺たち〈エデン〉に新たな10人のメンバーが加わることになった。歓迎してほしい。〈エデン〉の下部組織ギルド、名称は〈アークアルカディア〉のメンバーだ」


 俺が宣言すると共にみんなが下部メンバーたちを拍手で迎えた。

 下部メンバーたちは照れた様子でそれを受け入れている。


〈エデン〉の下部組織ギルド〈アークアルカディア〉。

 この名称を決めるのにかなり悩んだ。何しろ〈エデン〉の下部である。生半可な名前は付けられない。


 まずは〈エデン〉に関連する名前で下部にぴったりな何かはないかと捜し求めたのだが、これはちょっと失敗した。〈エデン〉は天上の楽園の意味を持つので、最初は天下とかガイア大地とかガーデンなんかでいいのを考えていたのだが、どうも決め手にかけたのだ。


 そこで原点に返り、俺は〈エデン〉の名前を決めたとき、どんなことを考えていたのかを思い出した。

 あの時はそう、〈ダン活〉の世界に入って実際に遊びたいという夢が叶って、はしゃぎまくっていたんだ。(今もだよ?)

 この世界は俺が夢にまで見た理想郷であり、楽園だった。だから〈エデン〉の名を選んだ。


 そう考えたとき、ふと頭に思い浮かんだのが理想郷の意味を持つ〈アルカディア〉だった。

 だが、これだけだと〈エデン〉の下部組織ギルドとしてなんか弱いと感じたので、『偉大な』『統治者・支配者・君主』などの意味を持つ〈アーク〉を加えた。〈エデン〉は将来的に誰も到達したことのないダンジョンの高みへと昇るのだ。ぴったりだと思った。

 あと、〈アーク〉には方舟の意味もある。〈エデン理想郷向かう昇格する方舟〉と思えば〈エデン〉の下部組織ギルドという感じがしたので、〈アークアルカディア〉に決定した次第だ。


 おっと長くなってしまった。各自紹介に移ろう。


「早速自己紹介に移ろうか、〈エデン〉のメンバーから行こう。それぞれ自己PRも頼むな。まずは知ってるかもしれないが、俺から行こうか」


 まずはお互いの名前を知るところからだ。

 すでに三角の名札によって名前は判明しているが、一人ひとり挨拶することで印象に残るようにする。


 俺とシエラがその場で軽く自己紹介し、他のメンバーも一人ひとり自己紹介していく。

 大体自分の職業ジョブやレベル、所属専攻クラス、ポジション、攻略階層などを言っていく。


 サブメンバーのみんなは〈エデン〉メンバーのあまりのレベルの高さに驚きを隠せないようだ。

 まあダンジョン週間でLVも70越えした人もいるしな。1年生の夏休み前でこれだというのだからとんでもないぜ。


〈エデン〉の紹介も終わり、続いて〈アークアルカディア〉のメンバー紹介に移る。


「まずは〈アークアルカディア〉のリーダーを勤めることになったアイギス先輩から行こうか。アイギス先輩、頼めるか?」


「は、はい。承らせていただきます。低レベルでありますが、僭越ながら〈アークアルカディア〉のギルドマスターを拝命はいめいさせていただきました。アイギスと申します。専攻は〈戦闘課2年31組〉、職業ジョブは【姫騎士LV10】です。最高攻略階層は中級上位ですが、〈転職〉したためLVは低くなっております。ポジションは前衛でアタッカーです。よろしくお願いいたします」


 俺の指示で〈アークアルカディア〉のギルドマスターに就いたアイギス先輩が恐縮するように自己紹介した。

 正直、この世界の感覚から言うとLV10でギルドマスターというのはかなり低い。

 ギルドマスターは能力の高い者がやるという風潮があるからだ。LVが高く、能力が高く、リーダーたる人物こそギルドマスターをやる存在だと思われている。


 しかし、アイギス先輩は〈転職〉する前は【ナイトLV75】という高レベルに位置していたということもあり、ダンジョンなどの経験は豊富。

 どうせLV上げをしてサブメンバーは全体が横並びになる予定なので、ギルドマスターは経験者で選んだ形だ。


 続いて【歌姫】のノエルと【ラクシル】のラクリッテが自己紹介を終える。

 こちらはすでにみんな承知しているため割愛だ。


 続いて仲良し三人娘の番となる。


「次は私たちだね。〈戦闘課1年1組〉に所属しているので知っている人も多いけど、改めて、仲良し三人娘〈お姫様になりたい〉のパーティリーダーをしているサチだよ。職業ジョブは【魔剣士】、LVは24。この前〈バトルウルフ〉を攻略したの。よろしくね!」


「はーい次私ね! サチちゃんと同じく〈お姫様になりたい〉のパーティメンバー、エミだよー! クラスも一緒! 職業ジョブは【魔本士】でLVも24だよ。よろしくね!」


「最後に私だな。サチとエミと同じく〈お姫様になりたい〉のパーティメンバーで、名前はユウカ。学年クラスも〈戦闘課1年1組〉と同じだ。職業ジョブは【魔弓士】LVは24。仲良くしてほしい」


 出たな魔装少女仲良し三人娘。

 うちのクラスでもいつも三人で居る仲良しグループだ。


 ウエーブの掛かったセミロングの茶髪にパチリと大きな瞳。赤を基調として色々とデコレーションの付いたカチューシャがチャームポイントのサチ。

【魔剣士】は【剣士】職の高位職。高の下に分類されている強力な職業ジョブだ。

 主に前衛で敵をバッタバッタ倒していく純アタッカーである。


 必要なカテゴリーは特に無しということで、今回初めてノーカテゴリーのメンバーが仲間に加わることになるな。


 続いて、サチに近い色の茶髪をやや短めのボブヘアーにし、人懐っこい黄色の目をして、黄色を基調としたシンプルなデザインのカチューシャをしているのがエミ。

【魔本士】も【魔法】職の高の下に分類される、【魔装】シリーズの職業ジョブである。攻撃、バフ、回復を得意としているので頼りになる職業ジョブだな。


 最後に、茶髪をシンプルなストレートにして、緑に近い青の力強い瞳を持ち、青に近い紫を基調とした一部花飾りのついたカチューシャをしているのがユウカ。

【魔弓士】は【弓士】職の高の下、2人と同じく【魔装】シリーズの職業ジョブであり、強力な遠距離物理アタッカーだな。斥候もこなせるので扱いやすい職業ジョブだ。


 ちなみにパーティー名の〈お姫様になりたい〉は〈エデン〉の女子とノエルが原因だと以前教えてもらった。

〈姫〉になりたいか。〈乙女〉になりたいなら可能なんだが……。


 こほん。この三人は職業ジョブも髪の色も似ていて話し始めたら意気投合したらしい。本当にいつも一緒に居る。

 多分〈戦闘課1年1組〉では一番仲がいいグループなのではないだろうか?

 ―――ぬ、『直感』に感有り! 背筋に寒気が! シェリア、なんで俺を見ているんだ?

 いや、シェリアとルルのほうが仲が良いよな。俺が間違っていたよ。うん。


 ふう。話に戻ろう。

 この3人はCランクギルド〈乙女会〉に参加していたのだが、〈乙女会〉の方でトラブルがありメンバーが14人にまで減少。

 サチ、エミ、ユウカはギルドの恩恵を受けられなくなり、自分たちでパーティ〈お姫様になりたい〉を作って自主的にダンジョンに挑んでいたらしい。


 以前〈バトルウルフ〉を狩りに行くところで会ったな。あの時はノエルとラクリッテも加えた5人パーティだった。3人はノエルとラクリッテとも仲がよく、結構な頻度で一緒にパーティを組んでいたらしい。

 ギルドの恩恵を受けられなくなった3人だが、しかしノエルとラクリッテとパーティを組めたことで問題は解消。


 また、三人娘とは同じクラスということもあり、以前からダンジョンの攻略についてなどをアドバイスさせてもらっていた。それが功を成したようで攻略は非常に順調のようすだ。


 もっと言えば、彼女たちは俺の〈育成論〉の授業の最初の受講者でもあるので職業ジョブの育成の仕方が良い感じになっている、ということもあり現在の1年生の攻略速度から考えて、彼女たちのパーティ〈お姫様になりたい〉はかなり上位の実力派パーティとなっていた。


 しかし、Cランクギルド〈乙女会〉の不幸は収束を見せず、ついにDランクにランク落ちし、この機会にサチたちは脱退を決意。

 だいぶ引き止められたとのことだが、ギルド〈エデン〉に加わりたいと大面接に挑んだとのことだった。


 ウェルカムだ。

 大歓迎である!




 ーーーーーーーーーーーー

 作者から失礼します!

 今回下部ギルドの名称は〈アークアルカディア〉に決まりました!

 下部ギルドの名称を考えてくださった皆々様、本当にありがとうございました!

 今回名称が採用された方だけでは無く、多くの方々からアイディアをいただけたからこそ、この名称にたどり着けたのだと思っております。

 おかげさまで、とても素晴らしい名称を下部ギルドに付ける事が出来ました!


 改めてありがとうございました!


 明日からは新キャラ続々。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る