第385話 パメラゴー! 今こそ激レア武器の出番だ!
10層で守護型フィールドボス〈猫侍のニャブシ〉を倒し、〈銀箱〉を開けたら猫系の可愛い足袋が入っていた。いい装備で満足ではあるが、しかし刀も欲しいなとも思う。
〈ニャブシ〉は刀や侍系の防具を落とすので〈金箱〉が落ちればリカかパメラの戦力アップになっただろう。
やはり周回できないというのが少し辛いな。しかし手はある。
その後、10層の転移陣を起動し、メンバー全員を登録した。これでこの11人のメンバーは10層までショートカットができるようになった。
ダンジョンでは最奥へのショートカットは無いが、Fボスまでのショートカットはある。
今度から時間があるときに〈ニャブシ〉狩りに来よう。〈金箱〉が出てリカやパメラの装備が整うまで狩りまくるのだ。ははは!
最奥ボスは周回できるのが強みだが、最後のショートカット転移陣から10層降りなくちゃいけないのがわりと手間だ。
その点フィールドボスは転移陣の近くにいるので、サッと行ってサッと倒して帰ってくることが可能。ちょっとした時間に
ゲーム時代もほんの少しの余った時間は一狩りに励んでいたっけ。〈ニャブシ〉狩りもよくやった。
〈ダン活〉で刀ドロップは結構珍しいので〈ニャブシ〉狩りはオススメです。
さて、11層から20層は猫型モンスターが2体登場するようになる。
いや、正確には1体と1体が登場するようになる、だな。
どういうことかというと、道を歩けばまず1体の猫が現れる。
そしてその猫と戦闘中、もう1体の猫が現れるようになるのだ。
つまり援軍。
これが中々厳しい手で、戦闘中に真後ろに登場された日にはヒーラーがやられて全滅もあり得るのだ。一本道だから挟まれたら逃げ場が無い。
しかし、そこはちゃんと対策は練ってある。
俺たちは2チームいるのだ。
「こっちの〈ワイルドニャー〉は任せて。こっちに来なさい『挑発』!」
「援護は任せなさい! 『獅子の加護』!」
「おう。そっちは任せた! ―――俺たちAチームは〈チャミセン〉を狩るぞ!」
「イエスなのです! とう! 『ローリングソード』なのです!」
案の定、Aチームが〈チャミセン〉と戦っていると後ろから〈ワイルドニャー〉が現れた。
しかし、問題ない。
すぐに後方にいたシエラが〈ワイルドニャー〉を挑発し引き離す。
これにより1チーム1体を相手にするという構図に持っていったのだ。
こうなれば上層と変わらない。
俺たちは問題なくモンスターを倒したのだった。
戦闘終了後、シエラと打ち合わせを行なう。
「中級中位ダンジョンは思った以上に手強いわね。モンスターがこんな戦術をしてくるなんて」
「ま、
「なるほどね。どおりでガラリと変わるわけだわ。2チームで挑んだのも難易度が高いからかしら?」
「だな。1パーティでも攻略できることはできるけど。〈猫ダン〉はできれば2パーティ推奨だ。モンスターが普通に手強い」
「そうね。そういえば上級生は1層にはたくさん見かけたけれど、降りてからは遭遇しなくなったわね」
「1層は動物園だったからな。いや猫の園と言ったほうが正しいのか? まあ1体ならなんとかなるが11層からは上級生でも厳しいだろうな」
〈ジュラパ〉みたいなものだろう。
〈ジュラパ〉と違い人気のダンジョンのようだが、攻略には不人気のダンジョンでもある不思議。
あの1層で見かけた上級生たちは何しに来ていたのだろうか……。
聞いたら普通に「癒されに来ました!」とか言われそう。いや、そんな〈ダン活〉もいいのかもしれない。
そんなことを考えつつシエラと話していたら、カルアが音も無く近くに来た。
「ゼフィルス、報告がある」
「ビックリした! なんだ? どうした?」
「金色に光っているモンスターを発見した」
「すぐ行こう」
それはレアモンスター発見の報告だった。マジか!
カルアの報告にキリッとして答え、静かに、しかし足早に向かう。
他のメンバーも一瞬で静かになり私語を謹んでカルアの後についていった。
なお、今後はみんな小声で話しています。
「あ、カルア」
「ん、みんな連れて来た」
レアモンスターを見張っていたのはラナだった。
後で聞いたがどうやらラナが第一発見者らしい。またかよ!
ラナにはレアモンスター発見のセンサーでも付いているのではないかと疑いそうになるぞ。
「モンスターはあそこよ」
「おおお、マジで〈ゴールデンニャニャー〉だぁ」
道のカーブの終わる付近。
ラナが指差す先にいたのは靴下模様で身体から金色の光を放っている猫だった。
間違いない。猫型レアモンスター〈ゴールデンニャニャー〉だ。
こ、これは逃せない!
ここが直線じゃないことが幸いだったな。
ここはカーブの前ということで、俺たちは死角になっており〈ゴールデンニャニャー〉はこちらに気が付いていないようだ。
〈エデン〉メンバーの女子たちが私たちにも見せてと熱い視線を送ってくるのでとりあえず順番にそっと眺めることを許可し、その間に作戦会議を行なう。
「どうするの?」
「当然狩る」
シエラの問いに俺は力強く答えた。むしろ狩る以外の選択肢は無い。
「違うわよ。どうやって狩るかの話よ」
あ、ごめんなさい。愚問だった。そうだよな。どうやって狩るかの話だよな。
道中可愛くて狩れないの声が大きかったのでつい。
「ゼフィルス君、私がやる?」
「いや、ハンナはやっちゃダメだろう」
ハンナが〈筒砲:スピアー〉を片手にやってきた。残念だけどハンナは攻撃に参加できないぞ。〈『ゲスト』の腕輪〉壊れちゃうから。気持ちだけ貰っておくな。
大丈夫だ。ちゃんとやり方はある。むしろあれを試すチャンスだ。
「パメラ、カルア。ちょっと来てくれ」
「私デースか?」
「ん?」
俺は小声でパメラとカルアを呼びだした。
今回の鍵はパメラだ。絶対成功してもらいたい。
レアモンスターの時に呼ばれたことを不思議そうにするパメラとやる気なカルアに作戦を説明する。
「どうだ? できそうか?」
「ぶっつけ本番なのでわからないデス。でも全力を尽くすデース」
「ん。できる。頑張る」
作戦を伝え終えるとパメラが悩ましそうな表情をして言う。そりゃ初めての試みだからな、しかたない。
実は倒すだけならカルア単身の方が成功率は高い。ユニークスキルで飛んでいってズバンと斬って終わるだろう。
しかし、今回はパメラにトドメ役を頼んだ。それはパメラが装備している、とある武器の能力があるからだ。これはたとえ成功率が下がっても、パメラにトドメ役をしてもらう価値がある。
パメラとカルアは別チームなので〈ゴールデンニャニャー〉のステータスがハンディで一部上がってしまうだろうが、それでもパメラに倒してもらいたかった。
「大丈夫だ。パメラとカルアならやれる。俺を信じろ」
「分かったデス!」
「ん。頑張る」
「ゼフィルス君、絶対欲望に忠実に動いている気がする……」
パメラとカルアに気合を入れて送り出す。
ハンナが何か言っていた気がするが、きっと気のせいだろう。
メンバーは一旦全員下がり、前へ出るのはパメラとカルアだけになる。
2人はそっとカーブの死角から目標を見た。
「まだいるデスね」
「ん。日向ぼっこしてる。羨ましい」
「注目するとこそこデスか?」
「ん。でも日向ぼっこは
「おお。なんだかよく分からないけど分かったデス。タイミングは任せるデス!」
「ん。行く!」
「え、もうデス?」
「ユニークスキル『ナンバーワン・ソニックスター』!」
全員が見守る中、カルアのユニークが発動したと思ったらその場からパメラと共に一瞬で消える。
『ナンバーワン・ソニックスター』は超速移動スキル。
まるで瞬間移動したように一瞬で離脱することが可能なスキルだ。
そして、このスキルは同乗者1名まで持ち運びが可能でもある。
今回、カルアにはパメラの運搬を頼んだのだ。
そして〈ゴールデンニャニャー〉が寝返りを打ち、こちらに背を見せた瞬間、カルアの目がキランと光りユニークを発動。
一瞬でパメラと共に〈ゴールデンニャニャー〉の真後ろに現れる。完璧なタイミング、完璧なポジションだった。
〈ゴールデンニャニャー〉が慌てたように気が付くが、もう遅い。
「討ち取ったりーデース! 『一刀両断』デース!」
「クニャー!?」
パメラの〈三ツリ〉スキルが炸裂。
これが見事に〈ゴールデンニャニャー〉に直撃した。
レアモンスターはたとえハンディでHPが上がっても微々たるもの。
一瞬でそのHPをゼロにし、金色のエフェクトに沈んで消えた。
そしてその後には
パメラの武器は例のエクストラダンジョン〈食材と畜産ダンジョン〉のレアボスからドロップした〈金箱〉産装備、〈
その能力は、『動物型通常モンスターのドロップ2倍』である。
そしてレアモンスターも、通常モンスター枠だ。
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