第360話 ダンジョン週間開始! 中級中位への準備!




「みんなおはよう! さわやか過ぎる素晴らしい朝だな! 実にダンジョン日和だ!」


「おはようゼフィルス! 今日からじゃんじゃんダンジョンに潜るわよ!」


「おうよ!」


 ギルド部屋に挨拶しながら入ると、俺と同じように満面の笑みを浮かべてこっちにきたラナとハイタッチする。


 今日は6月15日土曜日。つまりダンジョン週間が始まる日だ。

 今日から9日間は学園の授業はお休み。みんなダンジョンに潜りましょうというわけだな。

 大賛成である。

 〈ダン活〉はダンジョンに潜ってこそ面白い!

 ちなみにダンジョンに日和はまったく関係ない。


「ゼフィルス君おはよう~」


「おう、ミサトもおはよう!」


 今いるメンバーたちに挨拶しているとミサトが近づいてきた。


「例の下部組織ギルドについて報告をね。セレスタンさんとも協力して、例の6名に関してはそのまま加入することに決まったよ! あの子たちも脱退の手続きや色々あるから、正式に下部組織ギルドが稼動するのはダンジョン週間明けになるかな」


「了解だ。いやぁ、ミサトがいて助かったぜ」


「たはは~、それほどでもあるよ。後はDランクに上がるだけだね!」


「後4人も早めに決めたいところだな」


 結局昨日は決まらなかった。

 候補は絞られ残り8人にまでなったのだが、困ったことに今まで〈エデン〉の採用基準となっていたカテゴリー持ち、それがこの8人の中にいないのだ。

 つまりノーカテゴリー。高位職、高の下の一般職しかいない。うーむ、どうしたものか。


 いや、一般職でも高位職は普通に強いし悪くは無い。

 それにミサトやシエラからも、角が立たないよう一般職の子も入れたほうがいいと言われているのだ。

 この中から選べばいいのだが、何を基準にしたらいいか。

 シエラがオススメする同じ組の3人娘にするか? 以前ラクリッテ、ノエルとパーティを組んでいた1組の仲良し3人娘だ。

 シエラの勧める理由は「顔見知りだし、がっつかないし、安心なのよ」だそうだ。

 うーむ? よく分からなかったが、まあ顔見知りで採用するのも有り、なのか?

 とりあえず第一候補としておこう。


 彼女たち、仲良し3人娘と呼ばれる子の職業ジョブはそれぞれ、

 【魔剣士】【魔本士】【魔弓士】という、〈ダン活〉では【魔装】シリーズと呼ばれていた職業ジョブ群だ。

 例えば【魔剣士】は、魔法を使う剣士、所謂いわゆる【魔法剣士】ではなく、【魔装】系、つまり剣を魔剣にして戦う剣士職という分類になる。


 武装を強化して戦うスタイルなので与ダメージが高く、ノーカテゴリーの中ではかなり優秀だった。

 さらに面白いのがユニークスキルで、パーティ内に【魔装】系の職業ジョブ持ちが居れば居るほどステータスに大補正が掛かるというものだ。パーティで3人が【魔装】系ならかなりの補正が見込める。

 ゲーム〈ダン活〉では一時期【魔装】パーティなんてものが流行った時期もあったほどその効果は高いんだ。


 実は彼女たちが仲良し3人娘と言われるようになったのもこの職業ジョブが原因らしい。そう言われてみると、仲良くなるための職業ジョブだよな、これ。


 さらに、そこから上級職になると、今度は【聖剣士】【聖本士】【聖弓士】などの【聖装】シリーズや、【剣乙女つるぎのおとめ】【本乙女ほんのおとめ】【弓乙女ゆみのおとめ】などの【乙女】シリーズに〈上級転職ランクアップ〉することが可能。

 また、発現条件をクリアすれば、とあるノーカテゴリー最強の職業ジョブ群まで解放することができる。


 〈エデン〉にとって大きな戦力になるのは間違いないだろう。

 うーん、本当に悩む。加入するとしたら3人同時じゃなくちゃ意味が無い。つまり残り4枠のうち3枠使っちゃうんだよな。

 もっと枠が欲しい。


「なるべく早くDランクになりたいな……」


「じゃあ中級中位ダンジョンクリアしなきゃだね」


「うっし、頑張るか!」


 ミサトとの相談も終わり、みんなが集まるまでの間にシエラ、メルト、セレスタンとも今後についてを話しておく。

 下部組織ギルドについてはミサトが動いたときには連絡してあったのでスムーズに進む。


 そうしている間に全員、〈エデン〉のメンバー15人が集まったので朝のミーティングを開始した。


「改めておはよう! 今日からダンジョン週間だ、みんなもダンジョン攻略を楽しもう! さて、ダンジョン週間は長い休みだ。この期間にできるだけ〈エデン〉は前に進んでおきたい。色々と連絡事項があるんだ」


 俺はまずミサトの提案で今後増えるであろうメンバーの面接を行なったこと、その結果を説明していく。とはいえまだ途中経過だけどな。

 事前にチャットなどで知らせておいたのだが、やはり直接言われるのとチャットは違うからな。口頭で改めて連絡する。


「下部組織ギルド、いいわね! 〈エデン〉には無いのに〈天下一大星〉は下部組織ギルドを持っているなんて生意気だと思っていたのよ」


 ラナが不満を吐露した。

 いや、まあ、うん。あれは特殊な例だと思う。


 聞いた話ではEランク弱小ギルド〈シット!〉と、同じくEランク弱小ギルド〈男子の大罪〉が〈天下一大星〉に吸収されたのが、あの人数と下部組織ギルドの発端らしい。

 本来ならQPが大量に掛かるはずの下部組織ギルドを1年生ギルドの〈天下一大星〉が創立できた理由、どこからQPを得たのかと思っていたのだが、〈ダン活〉では複数のギルドが合併がっぺいすると、当り前だがその資産も全て合併することができる。

 QPは〈シット!〉と〈男子の大罪〉のものだったようだ。


 ちなみに下部組織ギルドの名前はその時の名残で〈シットの大罪〉と言うらしい。

 凄くぴったりだと思う。「嫉妬」ではなく「シット」というところが特に。


 閑話休題。


 とりあえず下部組織ギルドを作るに当たって、今のところ不満なんかは無い様子だ。


「とりあえず〈エデン〉正式加入メンバーについてはこのくらいにして、続いてだ。今回のダンジョン週間の目標なんかを決めていくぞ」


「ゼフィルス! そろそろ中級中位ダンジョンに挑みたいわ!」


 ラナが真っ先に手を上げて意見を言う。

 しかし、その意見に口を出すメンバーはいない。みんなも挑みたいと思っているからだ。


「オーケーだ。まさにその話をしようと思っていた。セレスタン、メンバーの今の攻略クリア状況は?」


「中級中位ダンジョンへ入ダンするにはLV50以上、なおかつ中級下位ダンジョンを3つ以上クリアしているが条件ですが、現在それを満たしているのはゼフィルス様、ラナ殿下、エステル様だけですね。他の方々はほとんどが中級下位ダンジョン2つ攻略で止まっております」


 セレスタンに見せてもらった資料によれば、後1つ中級下位チュカをクリアすれば中級中位チュウチュウへ挑める者が8人もいる。

 セレスタンだけは少しクリア数が足りないみたいだ。

 残り3人、リーナ、ミサト、メルトはLVがまだ全然足りていない。


 まだ加入して間もない3人と比べてセレスタンは結構な古参だが、やはり事務関連を多く行なっている関係上、ダンジョンへ行く機会が少ない模様だ。これはいけない。


「LV上げ班と攻略班に分かれるか。俺、ラナ、エステルはみんなのフォロー。〈エデン〉は足並み揃えて中級中位ダンジョンに挑むぞ!」




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