第353話 ミサトと面接の相談。希望者がすごいらしい。
翌日月曜日。
毎週月曜日は、なぜか例の4人が絡んでくる日だ。
なぜ月曜日なのだろうか。土日で回復してしまうからか? もっとスパルタしたほうがいいのだろうか?
しかし、さすがに土曜日に大敗北を食らった〈天下一大星〉は、今日は朝から非常におとなしかった。
少し、灰色がかって見えるのは気のせいだろうか? 煤けているようにも見える。
「サターンは生きているのか、あれは?」
「放っておいていいと思うよ。時間が経てばそのうち復活するよ」
俺の呟きに答えたのは、ひょこひょこと白の兎耳を揺らしたミサトだった。
思わず視線が耳に向く。
ちょっとモフッてみたい。触ってはダメだろうか? ダメだろうな。シエラから今度こそお説教をもらうだろう。
くっ、ここはリアルになった〈ダン活〉の世界なのに届かないものがあるのか!
無念だ。
しかし、ミサトのサターンたちの評価がちょっとドライだ。元〈天下一大星〉のメンバーだったし、彼らの特性を良く知っているのだろう。
「? それよりね、来週のことだよ。Dランクになった後の話」
「ああ、そうだったな。スカウトの話か」
朝礼の前の優雅な時間。
なぜミサトが俺の席に来て話しているのかと言うと、理由は週末から始まる〈ダンジョン週間〉、ひいてはDランクギルドになった後の勧誘についての相談事であった。
〈エデン〉のメンバーはだいぶ育ってきており、来週には多くのメンバーが中級中位ダンジョンに進出できるだろう。
そうなれば、ギルドランクがDランクに上がるのも時間の問題だ。
早ければダンジョン週間中に達成できるまである、かもしれない。
いや、さすがにそれは無理か。
Dランク。
それは一種の大きな峠。
ここまで来れるギルドは、実を言うとあまり多くない。
Dランク昇格の条件の一つ、中級中位ダンジョン3つ攻略、この壁がとても大きいのだ。
何しろ中級中位ダンジョンの入場条件はLV50、そしてLV上限は75まで上げることができる。
LV75とは下級職のカンストの数値だ。
LV50からは次のレベルアップまでの経験値が非常に多くなり、中々レベルは上がらなくなる。
中級中位ダンジョンの階層数は40階層。
最下層まで降りるのもかなり時間が取られるうえ、道中のモンスターもLV60台が出現するようになり、道を進むことすら難易度が高い。
そうしてDランクになったとしても峠を越えられるかはまた別の問題だった。
多くのギルドは、なんとかしてこの壁を乗り越える。
しかし、Dランクから上がとんでもなく険しい道となるのだ。
次の中級上位ダンジョンは入場制限がLV60なのに対し、最高がLV75、つまりカンストまでしか上がらない。
LVがカンストしてしまったメンバーは、もうLVを上げることはできない。
強くなることは出来ない。
今までのように、LVを上げて、強くなってからダンジョンアタックというごり押し戦法が使えないのだ。
とんでもなく大きな峠である。
そしてDランクから上、Cランクギルドとは、そんな中級上位ダンジョンをクリアした猛者ばかりが所属するギルドだ。
DランクからCランクに上がるためのやり方はただ1つ、〈ランク戦〉のみである。
Cランクギルドに勝負を挑み、そして勝たなければランクを上げることは適わない。
故に、Dランクとは多くのギルドを
そんなDランクへ順調にコマを進める〈エデン〉は、この大きな峠を攻略するための戦略が求められていた。
端的に言えば、ギルドメンバーの募集である。
Dランクの上限人数は20人。〈エデン〉は現在15人なので5人加入させることが可能になる。
重要な5人だ。
〈エデン〉がこの先、DランクからCランクに進み、そしてその先に進むためにも非常に重要な枠がこの5人だ。
何しろCランクに上がっても上限人数は変わらず20人。
これはDランクとCランクのランク入れ替わりが激しいため脱退者を出さないための処置として同数とされているのだが。
これによりランクを上げても新しく加入者が加わることはできない。つまり先へ進みたければこの20人がメインメンバーとなる。
今の〈エデン〉に足りない者を加入させるか、それとも飛びぬけている部分をより伸ばすのか。
ギルドの戦略が求められる。
長くなったが、つまり人材集めが求められるわけで、素晴らしい人材とは常に争奪戦だ。
今から準備しておかなければ、Dランクになったときに困ることになる。
そう、ミサトは相談してきているのだ。
「それでね、〈エデン〉に加入したいって希望をしている子が
「すごいためだな。そんなにいるの?」
さすが、顔の広いミサトだ。
確か〈天下一大星〉のメンバーもミサトが集めてきたはずなので、その手腕は本物だろう。
メンバー集めに天性の才能を持っているのかもしれない。
しかし、〈エデン〉に加入するのであれば生半可な実力者ではいけない。
「〈エデン〉はいずれSランクになるギルドだ。やる気があって実力もある。そんな人しか受け入れられないぞ?」
具体的には〈戦闘職〉の類いは高位職以上が理想だ。
できれば何かしらの「人種」カテゴリー持ちであると嬉しいが。
まあ、ノーカテゴリーの
また、〈戦闘職〉以外は別に中位職でもいい。むしろ〈生産職〉や〈採集職〉、〈支援職〉なんかは高位職の存在しない
あとは学年。
今まで1年生で揃えてきたが、学園が〈転職者〉に課す新しい制度次第では〈転職〉した上級生をメンバーに加えるでもいい。
問題は制度が決定しサポート体制が整うのがいつになるかわからない点だな。早く導入してほしいぜ。
「うん。そこは任せて。ちゃんと選抜するから安心していいよ。〈転職〉を希望するなら中位職の子でも構わないんだよね?」
「あとできれば人柄も、〈エデン〉は……色々とあるからな」
〈エデン〉には秘密が多い。それをちゃんと秘匿できる、が最低条件である。
一応ここは教室なので少し言葉を濁して伝えるとミサトもたはは~と笑いつつ頷いてくれた。
「とりあえず面接の件は了解した。選抜が終わったらまた連絡してくれ。日程を調整するから。あ、それとできれば欲しい
「了解~。
話の途中でチャイムが鳴り、フィリス先生とラダベナ先生が入室したため一旦話しは打ち切りだ。ミサトは席に戻っていった。また後で詳しく相談したい。
さて、今日も授業が始まるな。
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作者から補足失礼します。
章タイトル回収。面接パートが開始されました。
あれ? 下部
でもご安心ください、ちゃんとやります。
まず下部
順番に進めていきますので首を長くしていただければ幸いです。
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