第233話 男だけのダンジョン攻略、なんか青春の予感!




「あの、本日はお誘いいただきありがとうございます! 感激です!」


「おう。よろしくなモナ」


 授業も終わって放課後。場所は〈戦闘課〉と〈採集課〉の中間あたり。ここでモナと合流していた。

 先ほどチャットを交わして無事オーケーがもらえたので、モナとも一緒にダンジョンへ遊びに行くことになった。


 ちなみにだが、今日の授業は通常授業だった。国語、数学、歴史が2時間ずつである。

 正直、超面白かった。

 特に国語と歴史、俺の知らない〈ダン活〉の設定がてんこ盛りだった。

 もうむしゃぶりつく勢いで教科書を読破してしまったよ。

 特に歴史が最高だった。今度〈大図書館〉でそっち系の本をたくさん読ませてもらおうと決意する。むしろ決定事項。データベースとしてこれは譲れない!


 しかしそれに比べ、数学は大したことなかったな。小中学生レベル? まあ今まで村人だった一般人には難しいかもしれないが、現代日本で受験なども経験した俺の敵ではなかった。ハンナ大丈夫かなぁ。少し心配だ。

 確か、村は学校こそなかったが一般教養を教えるための施設はあったらしく、ハンナもそこで勉強はしていたらしいが。まあ、泣きついてきたら教えてあげよう。幼馴染だからな。


 ふう。学校の授業が楽しすぎて少しはしゃいでしまった。

 そして楽しい時間はまだまだ続く。今度はダンジョン攻略だ!


「そいつがさっき言っていた〈採集課〉か?」


 俺の後ろについてきていたサターン君が聞いてくる。


「ああ。モナって言うんだ、少し引っ込み思案だが仲良くしてくれ。――モナ、こいつはサターン。少し変なやつだが気にしないようにな」


「は、はい!」


「おい! 変な奴とはどういう意味だ!」


 サターン君がなにやら叫んでいるが、華麗にスルーして残りの3人も紹介していく。

 ちなみにそのまんまの意味である。


「とりあえず今日はこれから初ダンに向かおうと思うんだ」


「おい! さっきの話がまだ終わっていないのに何を先に進もうとしているのだ。いや、むしろ仕切るのは我の仕事だ!」


「ふふ、待ってください。仕切るのはどう考えても僕の仕事でしょう」


「おいおい寝ぼけたことを言うな。俺こそがリーダーだ」


「俺様を忘れてもらっちゃ困るぜ。俺様こそが真のリーダーだ!」


 なんかいきなりリーダー争いをし始めた俺のクラスメイトたち。何やってんだこいつら?


「ほへぇ。仲が良いんですねぇ」


 どうやらモナにはこの口論がじゃれているように見えるらしい。

 そう考えると遊んでいるように見えるような気がしてくる。

 まあ、落ち着くまで放っておこう。とりあえず足だけ動かして俺たち一行は初ダンへ向かう。


「あ、そういえば僕ようやく【ファーマーLV2】になりました!」


「お! おめでとう!」


 有限実行。モナも訓練を頑張っているらしい。

 スラリポマラソンは身内ギルドメンバーにしか教えていないので悪いがモナは対象外である。

 そのため訓練でLVを上げるしかないが、LV2まで上げるのは結構キツイ。俺も経験したから分かる。それをこの短期間に上げてきたのだからモナの努力は本物だ。


 これからも頑張ることができればその時は専属契約を交わしてもいいと思っている。

 ま、全てはモナの頑張り次第だな。〈採集課9組〉という低い位置にいるが、1組にも負けない採取マスターになれることを祈っている。少なからず俺も手伝う予定なので多分負けないだろうと思うが。


 とそこへ、俺たちの会話を聞いていたサターン君が割り込みを掛けてきた。


「ちょっと待て。俺たちがこれから行くのは初級中位ダンジョンだ。LV2じゃ入れないだろうが! まして初級下位クリアすらしてないんじゃないのか!?」


「ん? ああ、そこは安心してほしい。〈『ゲスト』の腕輪〉で問題なく入れるから」


 〈『ゲスト』の腕輪〉は装備した者のLV関係なく、パーティの平均LVと同等の扱いを受ける。

 つまりモナはLV2だがこのパーティの平均、LV26相当と認識され、ダンジョンについていくことが可能なのだ。そうじゃなきゃモンスターと戦えない生産職や採集職はダンジョンに潜れないからな。

 もちろん攻略者の証も必要ないぞ。


 ただ一点、条件を満たしていないダンジョンに入ると、出るまで〈『ゲスト』の腕輪〉は外せなくなるので注意だ。モンスターを攻撃して故意に破壊することは出来るがあまりオススメしない。だって普通に危険だから。モンスターに狙われるようになる。


 そんな話をサターン君ほか、〈『ゲスト』の腕輪〉のことを知らない2人にも説明する。


 サターン君はモナの腕に装備してあるそれを感心したように見つめて言う。


「ほう。便利なアイテムなのだな」


「だなぁ。これ下手な〈金箱〉産より価値があるからな。――あ、当然破壊されたら学園に弁償だから。ウン百万請求されるだろうから絶対壊すなよ」


「も、もちろんですよ」


 モナが表情を引きつらせて壊れたおもちゃのようにブンブンと頷く。


「まあ、そんなわけで俺たちはモンスターを蹴散らすからモナは採取を頼むな」


「ま、任せてください! それで、今日はどこに行くのですか?」


「今日は採取も出来る初級中位ダンジョン。〈野草の草原ダンジョン〉に行こうと思う」


 というわけで、本日はゴブリン狩りだ!




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