第218話 今日は学園が休みだ! ダンジョン行こうぜ!
楽しい体験学習を受けまくった翌日。
今日は土曜日だ。つまりダンジョンアタックの日である。
早速ギルド部屋に向かい、扉を開けると共に軽快な挨拶を交わす。
「おはよう皆! 今日は楽しい楽しいダンジョンアタックの日だ!」
「そうね! 今日はバンバン倒すわよ! そして〈金箱〉を当てるの!」
ラナが乗ってきてくれたのでイエーイとハイタッチを交わした。
どうやら最近まで毎日のようにダンジョンに潜り続けていたのに、ここ2日間ダンジョンに潜らなかったものだから楽しみが溢れている様子だ。
「あなたたち元気ね。もっと普通に挨拶しなさいな」
「ふふ、いいじゃないですかシエラさん。私もダンジョンに潜れるのを楽しみにしていました」
「…そうね。でもハンナは気をつけなさい。特にあなたは学生の模範となるように言われたのでしょう?」
「あう。あの、未だ私が学年のトップレベルの扱いを受けるのに抵抗があるのですが…」
あまりの俺たちのはしゃぎぶりにシエラからジト目を頂いてしまった。実を言うとシエラのジト目は結構好きだったりする。今日はラッキーな日だ!
また、ハンナは学年トップレベルなので順調に先生方から目を掛けられている様子だ。頑張れハンナ。
一つ落ち着いたのでギルドを見渡すと他にエステル、シズ、パメラ、セレスタンの姿が見える。
シェリア、ルル、リカ、カルアはまだ来ていないようだ。
それを確認してシエラに相談を持ちかける。
「シエラちょっといいか? 全体のスキルアップも進んでるしそろそろ次の方針を決めておきたいんだが」
「構わないわ」
シエラが頷いたので横の席に座る。
「サンキュ。次の方針なんだが、とりあえずの目先の目標として中級下位ダンジョンの攻略を目指したい」
今まで攻略してきたのは初級ダンジョン。つまりまだ入門編に過ぎない。
中級ダンジョンからはまた一気に難易度が上がり、パーティ単位の攻略からギルド単位の攻略に変わってくる。
前にも言ったかもしれないが固定パーティではキツくなってくるのだ。
そのダンジョンに合わせた攻略メンバーが必要になってくる。相性の悪いと思われるダンジョンにはメンバーを入れ替えて挑むようになってくるのだ。
また、中級ダンジョンの数は初級ダンジョンの比ではない。その数なんと30箇所。
ちなみにその中の各3箇所を攻略していれば次のダンジョンにステップアップしていける仕組みになっている。
中級下位ダンジョンの入場制限なら「
今のところこの条件をクリアしているのは俺、ハンナ、ラナ、エステル、シエラの5人だ。〈エデン〉全体を見ても、1年生全体を見てもまだ5人しかいない。
つまり入れ替えが出来ないので中級ダンジョンの攻略は今まで推し進めておらず、後続の育成に努めていたのだ。
ちなみに一番条件クリアに近いのがカルアで、後LV4つのところまで来ている。
しかし、早く中級ダンジョンには行きたい。楽しいから。
ということで改めて方針を決めて、中級ダンジョン目指してがんばっていこうと決めるのが今回の相談である。
「はあ」
そんなことを熱く相談したらため息を吐かれてしまった。
「後続を引っ張っていくのはいいけれど、私はもう少し〈スキル〉〈魔法〉の練習をさせたほうが良いと思うわ。彼女たちを見ていると、やっぱり急なLVアップに身体が慣れてないのよ。これでLVだけクリアしたからと言って中級ダンジョンに連れて行っても満足に成果を挙げられないと思うわ」
「…なるほど」
確かにシエラのいうことも一理あった。
特に新メンバーは
身体の動きとかスキル回しとか全然分かっていないだろう。
シエラはまず数をこなし、
それを聞いて俺は深く納得した。
ゲーム〈ダン活〉時代は全てのキャラをプレイヤーが操っていた。
もしくはセミオートだ。
どちらにしても熟練度なんかはそこそこ高かった。
要は新しく加入したメンバーがいたとしても練習いらずだったのである。
しかしリアル〈ダン活〉では個人の熟練度に依存するため、たとえ
ゲーム用語ではこれを養殖、なんて呼んでいたっけ。パワーレベリングの弊害である。LVに実力が追いついていない。
纏めるとだ。
「まずは後続にLV相応の実力を身につけてもらったほうが良い、ということか」
「そうね。〈エデン〉は最強のSランクを目指すのだもの。相応の実力は持ってしかるべきだわ」
「だなぁ。やっぱりシエラに相談してよかったわ」
「…そう。それと提案なのだけれど、あなた並みの指示や指揮が出来る人物がいた方がいい気がするの。私たち先陣メンバーもあなたの指揮や指示のおかげでスムーズに強くなったのだし、いるのといないのではだいぶ違ってくるわよ」
シエラの話によれば新メンバーと先陣メンバーの違いは俺の指揮や指示にあるとの事。
初期からずっと俺の指揮や指示を聞いていたからこそ今の先陣メンバーはあれだけの実力を手に入れたのだとシエラは言う。
まさかここまで褒められるとは思わなかった。シエラにそう言われると少し照れるな。
しかし、
「俺並みの指揮や指示が出来る人物か…」
ゲーム〈ダン活〉時代の知識がある俺並みの人物はこの世界にいない。
しかし、だからと言っていないから無理だと決め付けるのは早計だ。知識は俺に及ばずとも、戦略が俺より上手い人物はいるはずなのだから。
ちょっと探してみるかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます