第185話 最後のメンバー集合。シズとパメラの紹介。
月曜日。
ダンジョン週間が終わった。
そして後2日で5月に入るということですれ違う一年生たちがピリピリしている様子だ。
5月1日は運命の日。通称:デッドライン。
学園に入学した学生たちが
前回入学式の時に受けたジョブ測定が「保留可」だったのに対し、今回の測定は「保留不可」、つまり絶対にその日に
もし就けなければ、強制的に【ビギナー】の
【ビギナー】は別名「永遠の初級者」「おいていかれし者」などと呼ばれている。
SUP8。〈スキル〉数0。〈ユニークスキル〉『とんずら』しか覚えない、
ここから別の
そのためこの世界の人は絶対デッドラインまでに、たとえ低位職であっても何かの
この世界の人たちが〈転職〉を忌避する傾向にあるのはこの【ビギナー】が原因なんじゃないか?
とはいえ、すでに
と、その前に、やっとメンバーが全員揃ったので残り2人も紹介しよう。
「おはようございます、ゼフィルス様。先日は急な用件が入り参加出来なかった事をお詫び申し上げます。今日からよろしくお願いいたします」
「よろしく願いしますデス!」
ギルド部屋には普段お目にかかれない格好した2人の従者がいた。
最初に丁寧な挨拶をしてきたのはロングスカートのヴィクトリアンメイド服にその身を包んだ、【戦場メイド】の
シェリアに近い高身長に加え、エステルに迫るメリハリのある身体をしていて少し目のやり場に困る。特に胸元が。
「分家」カテゴリーのシンボルは女性がリボン、男性が蝶ネクタイだが、彼女はその赤のリボンがチャームポイントで目が思わず下に向かってしまうのだ。気をつけなければ。
髪は茶系、目の色も同じで頭の上にあるメイドカチューシャがとても似合っていた。
その次に外国語
髪と目は金色でとてもチャーミングである。ぬいぐるみ愛好家のルルがなんか反応しかけたくらいだ。非常に可愛らしい。言葉のイントネーションに外国語
忍者なのにまったく
この2人が〈エデン〉最後のメンバーとなる。ちなみに2人とも
面接した時はLV2だったのが、あれから約10日、彼女たちは空いている時間にLV10まで頑張って上げてきたのだろう。努力家だ。
「ああ。用事があったなら構わないさ、ラナからも話は聞いている。今日からよろしく」
「「はい(デス!)」」
良い返事だ。
それと良い機会なのでちょっとパメラに聞きたかったことがあったので、聞いてみることにする。
「それと、パメラは外国人なのか? なんかしゃべり方が独特だが」
俺が知る限りゲーム〈ダン活〉に他の国は登場しない。全部シーヤトナ王国出身のはずだ。
パメラがどこの出身なのか、すごく気になる。
「これは個性デス」
ガクッときた。
キャラ作りだったのかよ。
いや、ゲームでキャラ作りは普通のことだ。ロールになりきるなんてゲームでは珍しいことではない。
なら、いいのか? まあいいだろう。
「そうか。あと早速だが、〈エデン〉は今日もダンジョンアタックの予定なんだが、二人とも行けるか?」
「無論です。
「私も歓迎デース! ガンガンレベル上げてラナ様をお守りするのデース!」
俺はその応えに満足そうに頷き、ラナの方へ向いた。
「良い子たちでしょ?」
「確かにユニークだったよ…。――本当は全員揃ったし歓迎会でも開きたいところだが、後3日で学園の授業が始まるし、ダンジョンに1日中アタック出来る日は残り少ない。今日から3日間ガンガンレベルを上げるぞ!」
俺がそう宣言するとメンバーからシエラが出てきた。
「ではメンバーの割り振りを発表するわね」
昨日の夜、マリー先輩のところに寄った時にちょうどシエラも帰ってきたのでその場でメンバーの打ち合わせをしておいた。
サブマスターのシエラがメモを片手にそれを発表し12人を3つのパーティに分ける。
組分け、
・ゼフィルス、エステル、シズ、パメラ
挑む
・ハンナ、シエラ、セレスタン、ルル、シェリア
挑む
・ラナ、カルア、リカ
挑む
「ここまでで何か質問のある人はいるかしら」
「よろしいでしょうか?」
シエラの発表後、シズがスッと手を挙げる。
「ラナ様が初級上位ダンジョンに挑まれるとの事ですが、護衛がいません。危険では?」
「ああ。そこは問題ない。人数も少ないしボスに挑む予定は無い。浅い層だけを回らせてカルアとリカを
〈陰陽次太郎〉と〈竹割太郎〉の周回で俺たち先陣メンバー5人は全員が
「ふむ」
「ま、多少の危険はダンジョンには付きものだが、戦闘不能になる事はまず無いと言って良い。何しろラナが【聖女】だからな」
「私もこの配置に賛成だわ!
護衛としてのシズの意見も分からなくはないが、ラナは正直かなり強い。もう初級ダンジョンのザコモンスターではラナに敵はいないだろう強さを持っている。
それにカルアとリカには致命的にヒーラーが足りない。さすがにヒーラーなくして初級上位ダンジョンに挑むのは無謀だ。状態異常〈毒〉や罠なんかで簡単に戦闘不能になる。アイテム代だって掛かるのでできればラナには付いて行ってもらいたい。
「かしこまりました。出過ぎたまねを致しまして申し訳ありませんでした」
ラナの訴えも聞いてシズも下がった。揉めなくて良かったぜ。シズは中々融通の利くメイドのようだ。
「ま、早くラナとパーティを組めるように超特急でレベル上げするから、そしたら2人、いや3人でラナを守ると良い」
「はい。かしこまりました。ゼフィルス様、よろしくお願いいたします」
「おうよ。実はその超特急レベル上げの秘策も用意してある。エステル」
俺はとってもニヤけているだろうという顔でエステルの方へ向く。
するとエステルが直立不動になった。
「はい!」
「例の〈乗り物〉が完成した。これでダンジョンのアタック速度が格段に増すぞ。ついては、今日はシズとパメラの初級下位ダンジョン
「は、はい!」
このために今日の俺はエステルとパーティを組んだ。
俺が最短の道案内をし、エステルが爆走する。
するとボス部屋までほとんど時間は掛からないだろう。
ボスを周回すれば簡単にLV上げが可能だ。
いやぁ、高速LV上げシステムが着々と出来上がりつつあるなぁ。ふはは!
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