第133話 初級上位ダンジョンはとても大変で疲労困憊!
時刻は16時。
初級上位ダンジョンは階層も多く、モンスターも手ごわく、採取ポイントを広範囲で回ることになったため、ボス部屋の20層に着いたときにはこんな時間になっていた。
「やっと着いた~」
「あー、疲れたわ」
後衛組のハンナとラナにはここまでの移動はなかなかハードだったらしい。
なるべく採取ポイントを最短ルートで結んで進行してきたが、それでも
何度か階層と階層の間で休憩も挟んだのだが、モンスターもこれまでより厄介だったため
しかし、その甲斐あって素材はかなり集まっている。
あと、予定通り隠し扉は3箇所全部回った。
すべてゲームの時と同じで、誰かに取られた様子もなかった。
次々隠し扉を見つける俺に対してシエラが何か言いたそうにジトォとした目を向けてきたが、スルーした。
ちなみに他のメンバーは宝箱のほうに釘付けだ。シエラも宝箱のほうに行けばいいのに。
補足だが、隠し扉の中にある宝箱はすべて〈銀箱〉以上で構成され〈木箱〉は無い。故にレアアイテムは確定だ。ただ〈金箱〉は数が少ないのが残念。今回も〈孤島の花畑ダンジョン〉の隠し扉の中はすべて〈銀箱〉だった。
中身は装備の類だったのでまた今度お教えしよう。
「これからボス戦だけど、大丈夫かしら?」
「はい~。でも周回は少ししんどいです~」
「私はやるわよ! たとえハンナが倒れても、その分私がカバーしてみせるわ!」
シエラの心配にハンナが弱気に答えるが、ラナはやる気いっぱいだ。
しかし周回は厳しいか。
ゲームとは違い、リアルだと体力的なものあるからな。予定通り進まないこともある。
本来の予定ならハンナにこの
まあこういうこともある。まだまだリアルも勉強中だ。
「一時間休憩してボスに挑もうか。その後はコンディションによって周回するとしよう」
「はい。私たちも構いません」
それまで休憩の準備をしていたエステルが代表して答える。
ま、焦ってもしょうがない。今日の目的は達しているんだし、ゆっくり行くとしようかね。
そして一時間後。たっぷり休憩し、ハンナの作ってきたお菓子をもぐもぐして後衛組が復活したのでボスへ挑むことになった。
今回もレアボスではない模様。少しだけ残念。
「あの緑の物体はなんなの?」
休憩中軽く説明したにも拘らず、ラナが不思議そうに尋ねてくる。おい。
どうも記憶からすっぽ抜けるくらい、その姿に圧倒されてしまったらしい。
「あれが〈孤島の花畑ダンジョン〉のボス、サボテン型モンスター〈サボッテンダー〉、だ」
「サボ、テン、ダ?」
「おっとラナ、名称を区切ることは許されていない。彼は〈サボッテンダー〉だ。それ以上でもそれ以下でもない」
いつも何かしらの通称名を名付ける〈ダン活〉プレイヤーも彼だけは触らずにいた難物だ。気をつけろ。
また、某有名なファンタジーゲームに登場する名前の似ているアレとはまったく違うことをここに追記しておく。
何しろ似ても似つかない体長5mにもなる大きなモンスターだ。まるでハニワのような立派な形をしている。
目と口のあたりが丸く空いており、それが余計にハニワっぽく見えるのだ。
いや、むしろトゲがある緑色のハニワだな。サボテンとハニワの融合体。そんなボスだ。
ちなみに目と口は微妙に表情を作ってくるので割と人気なボスモンスターだった。
また、サボテンの頂点にはデカい赤色のつぼみが付いており、アレがポンッと破裂すると〈チミ・サボッテンダー〉が召喚される。こいつは動ける上に地味に毒にしてくるので早めに片付ける事が推奨されている。
本体はその場から動かず体格も大きいため、攻撃は当てやすい。
攻撃方法は単純で棘を撃ち出すだけ。遠距離攻撃型のボスだな。
ただ棘の毒攻撃に加え、範囲攻撃や全体攻撃をしてくる初めてのタイプになる。
今までのようにタンクだけに攻撃が集中する単体攻撃とは違い、周りも防御力を上げておかないと全滅する恐れもある強力なボスだ。
しかも遠距離攻撃特化なので防御スキルの防御勝ちが狙えないというのも地味に厳しい。
俺の防御スキル『ディフェンス』も、ただ防御するだけになる、タンクには嫌な相手だ。
しかし、たまにお仕事をサボる時もあり、攻撃がしばらく止むパターンがある。
ここで一気に攻めるのが〈サボッテンダー〉を攻略する時のセオリーだな。
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