第123話 スラリポマラソン宣言が失敗する、だと!?
「オークション?」
「ああ。明日はオークションに参加予定だ。出品するのはこの前〈小狼の浅森ダンジョン〉でドロップした〈大きな魔宝石・トパーズ〉な。だからダンジョンアタックはお休みの予定、もしよければ皆も一緒に連れて行こうと思ったんだが、どうだ?」
「そうね。後学のためにもなるし、私は参加しようかしら」
思い立ったが吉日と「子爵」の令嬢ルルに【ロリータヒーロー】の発現条件を満たしてもらおうと即行動する直前、思い出した明日の予定を皆に伝えておく。
するとラナはオークションの知識が無いのかクエスチョンを浮かべた。まあ、まだ授業すら受けていないからな、そうなるのも不思議は無い。一応学生手帳には詳しく載っているんだけどな。
シエラは乗り気だ。それを聞いてとりあえずといった様子でラナとハンナ、あとルルも参加を決める。
エステルはこの場にいないのでラナに伝言を頼んだ。カルアとリカについては今はダンジョンに集中してほしいのでまたの機会にしよう。あまり大人数でお邪魔するところでもないしな。
「セレスタン、早速仕事だ。頼めるか?」
「はい。お任せください」
なるほど。執事はこういう時に使うのな。なんとなく言ってみたが、合っていたらしい。
例の出品物が入った〈
ま、最初の仕事だ、セレスタンのお手並みを拝見したい。手間取りそうなら俺が教えても良いし。
「しかし、そうなるとセレスタンは〈エデン〉に即加入にしたほうが良さそうか?」
任せてみて思ったのだが、ギルド〈エデン〉の仕事を任せるのならセレスタンが〈エデン〉に所属していないのはおかしい。
他の4人と同じく平等に〈エデン〉がEランクに至ったら加入させようかと思ったが、セレスタンだけは今日中に加入手続きを済ませておいたほうが良さそうだ。
「私もそう思うわ。〈ギルド申請受付所〉へ先に行きましょう」
シエラも同意したので今から行くことにした。
ルルも付いてくることになったが、「正式加入はEランク後になるぞ」と言っておく。
「うん。大丈夫です! ルルはまだ【ロリータヒーロー】にも就いていないですから。今後の働き次第って事ですよね!」
「微妙に理解が届いていない! でもそこが可愛いな」
幼女が力いっぱい気合を入れたポーズでこちらを見てくるが、微妙に違う。でもその
「ちょっと、ちゃんと訂正してあげなさいよゼフィルス!」
ラナのツッコミが飛んだ。
えー。
「ゼフィルス君。手を出しちゃダメだからね?」
ハンナ、その目久しぶりに見たぞ。
というか手を出すか!
ハンナは俺をなんだと思っているんだと問い詰めたい。
いや、確かにロリは嫌いじゃないけどさ。
それを言うと火に油を注ぎそうだったので即座に表情を引き締め
「受理いたしました。Fランクギルド〈エデン〉の加入、おめでとうございます」
「ありがとうございました」
受付で加入手続きを済ませ、これでセレスタンは〈エデン〉に無事加入した事になる。8人目のメンバーだな。
「セレスタン改めて、ギルド〈エデン〉へようこそ。歓迎する」
「いつかSランクになるギルドよ、がんばりなさいね!」
「ゼフィルス様、ラナ殿下、皆様、改めてよろしくお願い申し上げます。誠心誠意がんばります」
優雅に一礼して笑顔なセレスタンが言う。【バトラー】は強力な
「これからいかがいたしますか? もう日が沈みますし、解散ですか?」
「いや、ここからはマラソンのお時間だ」
「マラソンするのです?」
新しい加入組のセレスタンが疑問を投げ、答えるとルルがクエスチョンマークを浮かべた。ふはは、後でのお楽しみだ。
セレスタンは【バトラー】がまだLV2と〈初心者ダンジョン〉突入条件に届いていないし、ルルもまだ
なら、やることは一つだ。
「さて、スラリポマラソンを始めるぞ!」
もはや新メンバーの恒例行事となりつつあるスラリポマラソンを今日も俺は宣言する。
「あ、ゼフィルス君。私も参加して良いかな?」
「ハンナは毎日叩いてるだろうが!」
ハンナは置いてくればよかったか? なぜスラリポマラソンに参加しようとする。
俺が真剣に悩みそうになった時、シエラから待ったが掛かった。
「待ちなさい、ゼフィルス。ルルはまだ加入していないのだからそれは加入後にしなさい」
「あ、そうかも。ケイシェリアさんにもまだ教えてないんだし、ルルちゃんだけ先はダメな気がするよ」
……え、マジで?
確かに考えてみれば公平性を欠くかも知れない。
ギルドへ加入する時期を平等にしたのならば、
しかし、え? だって【ロリータヒーロー】だぜ? マジで?
俺は訴えの視線を向けるが、無情にもシエラとハンナの首は横に振られたのだった。
スラリポマラソン宣言、初めて失敗。
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