第108話 〈バトルウルフ〉戦。余裕の勝利(ほ、本当?)
〈小狼の浅森ダンジョン〉のボスは〈バトルウルフ〉(第一形態)だ。
第一形態って何さ。と思うだろう。
〈バトルウルフ〉は〈ダン活〉のガチ枠と言われたボスモンスターで、初級ダンジョンから最上位ダンジョンまで何度も相手にするモンスターだった。そしてその都度、強さだけではなく見た目もだんだんと変わっていく。
普通のゲームならモンスターの色だけ変えて立ち絵の使い回しをしそうなところだが、〈ダン活〉の開発陣はそこのところ凝り性だった。とにかく「幅広い」とか、「大量」、なんて言葉が大好きな開発陣。ちゃんと第一形態から最終形態まで姿を変えて進化させたモンスターを配置していた。しまくっていた。
第一形態と最終形態とか、もはや別物と言っても良い進化を遂げている。
そして今回の第一形態は〈ダン活〉で初めて戦う事になる〈バトルウルフ〉で体長は1mちょっととかなり小柄だ。可愛いものである。
しかし、ここから最終形態推定30mまで進化するのだから侮れない。最後はレイド戦になるし。
おっと、最終形態の話はまたにしよう。遠い目になる。
さて、今回の〈バトルウルフ〉は〈リーダーウルフ〉と〈ウルフ〉を2匹ずつお供にしているため、〈ナイトゴブリン〉の時のようにまずお供から倒す必要がある。
ただ、あの時と違うのは〈ナイトゴブリン〉がお供が1匹になるまで動かなかったのに対し、〈バトルウルフ〉はまるで統率するように一緒に動いているというところだ。
〈小狼の浅森ダンジョン〉が
まあ引き離せば良いのだが。こういう時タンクが2人いるのは便利だ。
〈バトルウルフ(第一形態)〉の推奨攻略法は2タンク安定。つまり戦場を二つに分ける、という方法。タンクが2人居れば楽に勝てるのだ。所詮は
「というわけで、準備はいいか?」
「いいわ」
「もちろんよ!」
「了解です。いつでもどうぞ」
「うん。バッチシだよ」
皆気合い十分。
それを確認していつも通り、ボス部屋の門を潜った。
中はレアボスということも無く普通に〈バトルウルフ〉がこちらを
うむ、久しぶりだ〈バトルウルフ〉。なんか旧友に挨拶したい気分だぞ。
懐かしいなぁ、ゲーム〈ダン活〉時代幾度もやり合ったなぁ。ほとんど俺の勝ちだったけど。
「グルルルッ」
そんな事を考えていると〈バトルウルフ〉から威嚇らしきうなり声が上がる。
なんだかご不満らしい。
まあいい、今回も勝たせてもらうさ。今日は素材集めが主なんだ。悪いが狩らせてもらうぜ。
「みんな、手筈通りに行こう。戦闘開始!」
「「「「おー」」」」
まず、シエラと俺が左右に分かれて前へ出る。
「オンオンッ!」
〈バトルウルフ〉の指示が飛んで、まず〈ウルフ〉が、次に〈リーダーウルフ〉が、最後に〈バトルウルフ〉の順で駆け出す。
「『アピール』!」
まず俺の『アピール』を飛ばす。先行していた〈ウルフ〉〈リーダーウルフ〉を見事捉えると、彼らの行く先が俺へと変更される。
〈バトルウルフ〉は範囲外だったため一番初めに門を潜ったシエラに向かっていくが、
「『挑発』!」
「バウ!」
〈バトルウルフ〉が俺の方へ向かうか迷うアクションを見せた。
これは〈ウルフ〉系モンスターの持つ『合流』スキルが発動し掛かったのだろう。仲間の多くがターゲットにしている敵にヘイト関係なくタゲを移す厄介なスキルだ。
しかし、『合流』のアクション中にヘイトを多く稼げば防げるのでシエラが即『挑発』を掛けて邪魔をする。
一度俺の方を向いた〈バトルウルフ〉がシエラの方を向いた。『合流』失敗だな。
上手く分断出来た。あとはいつも通りやれば勝てるだろう。
「は! 『レギオンスラスト』! 『ロングスラスト』!」
「ガウ! ガウ!」
エステルは俺の所でお
1匹の〈リーダーウルフ〉を引きつけてダメージを稼いでいく。
俺は残りの3匹を受け持ち、
「あ痛! こら噛むな、噛むなってこんの! 『シャインライトニング』!」
「キャイン!?」
範囲魔法で蹴散らしていく。
3体受け持つのは俺にはまだ早かったか?
「『獅子の加護』! 『守護の加護』! 『回復の祈り』! 『光の刃』! 『光の柱』! どんどん行くわよ!」
ラナがどんどん魔法を回転させていく。
バフ、回復、攻撃を使い分けていてとても素晴らしい。
だいぶ【聖女】の使い方が
あとテンションも高い。ラナはボス戦だと燃えるタイプだな。シエラをどんどんフォローしていく。
「『ファイヤーボール』! 『フレアランス』! 『アイスランス』! 『ファイヤーボール』!」
ハンナも負けじと攻撃魔法を連発する。的は俺が相手をしているもう1匹の〈リーダーウルフ〉のようだが、すばしっこくて遠くから狙うにはなかなか難易度が高い模様だ。今のところ全部当たっていない。ま、これも要練習だな。
敵が連携してくるから最初は慣らしだ、周回するので自分なりの立ち回り方をじっくり見極めてほしい。俺も見極めよう。あ痛!?
「終わりました、次を叩きます! 『プレシャススラスト』!」
「ガウッ!?」
〈リーダーウルフ〉の1匹をもう片付けたエステルが戻ってきて暴れ出した。
次々と
そうこうしているうちにお供はどんどん減り、最後の〈リーダーウルフ〉もエステルに狩られたため今度は俺もアタッカーにポジションチェンジしてボスへ向かう。
「最初に一発行くぞ! 『
AGIの関係でエステルを追い抜かした俺がまず〈バトルウルフ〉にユニークスキルを放った。
「グアンッ!?」
シエラに集中していたところ横っ腹をやられて大きくダメージが入ったな。ついでに防御力低下のアイコンが付いた。クリティカルはしなかったのでダウンは取れなかったのが残念。
「シエラ、ヘイトを稼いでくれ」
「『シールドスマイト』!」
今の一撃で大きくヘイトを稼いでしまったのでシエラに再度ヘイトを稼いでもらう。
おお! 今回は『シールドスマイト』で行ったか! 近距離攻撃なので当たりづらいがダメージも稼げるのでボス戦では多用したいスキルだ。シエラも腕を上げてきている。
「『ロングスラスト』!」
エステルも追いついてきた。
そこからはいつも通りだった。
〈バトルウルフ〉の第一形態は個体だとさほど脅威ではないためシエラは難なく捌ききったのだ。
後は全員がアタッカーとなり〈スキル〉〈魔法〉を撃ち込むと、〈バトルウルフ〉はあっと言う間にHPが0になり、膨大なエフェクトを発生させて消えていった。
ボスの難易度的に
今回の宝箱は、…〈木箱〉だ。残念。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます