第95話 ギルドエンブレムがやってきた! 早速飾ろう!
全員のステータスを最強流に振り終わると、ラナからこんな意見が出た。
「試し撃ちがしたいわ!」
ま、お察しだな。
新しい玩具を手に入れた子どもみたいに目をキラキラ輝かせるラナ。早速試し撃ちがしたくてしょうがないのだろう。何しろ初の攻撃魔法だし、自分が活躍出来るか否かが掛かってるんだからな。
ここで「いいぞ」と言えたら良かったのだが…、悪いな、もう少しだけ付き合ってほしい。
「その前にみんなに見せたい物がある」
「何よ? 私の行く手を阻むなんて、たいしたことなかったら承知しないんだからね」
ラナに承知されなくてもどうとでも出来ると思うので気にしない。
ま、絶対気に入ると思うけどな。
俺は〈
「じゃん! これだ!」
「「「「わぁ!」」」」
ケースの中から出てきた〈エデン〉のギルド〈エンブレム〉フラッグを見て全員から歓声が上がった。
「マリー先輩に頼んでいた〈エンブレム〉を昨日受け取ってな。まあ見てくれ」
そのままケースから出して机に広げる。
おお、改めてみるとまた良いな!
「ゼフィルス君、〈エンブレム〉すごく格好いいね!」
完全に同意だ。さすが格好いい物好きでもあるハンナだ。お目が高い。
「出来るのが早すぎると思ったけれど、これはすごいわね。色彩がとても美しいわ」
「はい。絵がイキイキとしているようです。躍動を感じますね」
「何よ、こんな良い物あるんならさっさと出しなさいよ!」
さすが〈ワッペンシールステッカー〉ギルドの総力を挙げて作り上げた傑作だ。
ギルド〈エンブレム〉は大好評だった。
しばらく〈エンブレム〉を見つめながら全員で鑑賞し、感想を言い合った。
「これは美術品としての価値もありそうね」
「そうですね。お父上が見られたら家に飾ると言い出しそうです」
「ああ、エステルのお父様は確か美術品を集めるのが趣味だったわね」
「はい。特に最近は絵に凝っているようでして。いくつかのギルドエンブレムも飾ってあるのです」
へぇ、エステルのお父さんは美術品集めが趣味なのか、そりゃ金が掛かりそうな趣味だなぁ。
とはいえ〈ダン活〉の収入はダンジョン資源が全てだ。戦闘系の専門家たる〈騎士爵〉家ともなれば大量に稼いでいる。
その辺ラノベ作品とは違う感覚だな、貴族で騎士爵となればあまりお金を持っていなさそうなイメージだが、この世界では〈騎士爵〉ともなれば大金持ちが一般的だ。ゴツい装備とか金ピカ装備とかしている。
しかし、このギルドエンブレムは美術品として売れるのか…。
俺がお金に困ったら、このギルド〈エンブレム〉の贋作を売るのも有りかもしれない。
いや、冗談だけどな。金に困ったら普通にダンジョンに潜るし。
「ハンナは格好良いのが好きなの? 可愛いのが好きなの?」
「どちらも好きです。どちらにも違った良さがあると思うのです」
「へぇ。分かってるわねハンナ! 確かにそうよね。私もその意見に賛同するわ! ちなみにハンナが一番格好良いって思う物って何?」
「へ? え、ええとですね。そ、そう、ですね。例えばその、ぜ、ゼフィルス君―――」
「え、ゼフィルス!?」
「の、装備とか、良いと思うんです」
「あ、あ~。そうよね。あの装備も格好良いわよね!」
なんか呼ばれた気がして振り向くと、目があったラナとハンナが顔を赤くして目を逸らしてしまった。なんだ?
「ゼフィルス。これ飾るの?」
「ん? ああ、もちろんだ。〈エデン〉の〈エンブレム〉だからな」
「…羨ましい」
「あ~。悪いが今からの変更はもう出来ないんだ」
「うん。大丈夫。羨ましかっただけ」
カルアがジッと〈エンブレム〉を見つめていた。
どうも俺たち5人と〈幸猫様〉の紋章が書かれたエンブレムが羨ましかったらしい。
しかしカルアが言ったとおり本当に思うところは無いようだ。自分が入っていなくて寂しい、とかも無いみたいだ。
まあ、もしあったとしてもこればっかりは仕方ない。マリー先輩、後先考えず採算度外視で作っちゃったみたいだから、今から変更してって言ったら泣くかもしれないし。
そんな感じで〈エンブレム〉を一通り鑑賞し終えると、俺はそれを神棚の上にあるスペースに飾った。これで一気にギルドっぽくなったな!
「良いわね! なんかこう、すごく身が引き締まるわ!」
「そうだろうそうだろう。それがギルド〈エンブレム〉の力だ。この〈エンブレム〉に誇れるよう、頑張ってSランク目指そうぜ!」
「「「「「おー!」」」」」
一致団結だ。
良いな、この感覚。なんか学園で青春しているって感じがする!
「そうだもう一つ。装備にもロゴを入れるから今週末〈ワッペンシールステッカー〉に預けてもらえるか? 夕方に預ければ翌朝には完了させてくれるらしいから」
「了解よ」
「楽しみね!」
全員で〈エンブレム〉を見上げながら、自分の装備を思い浮かべた。
週末が楽しみだな。
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