【あんたこそなによ!!】

11月21日・晴れ


日付が変わった頃であった。


稲永新田(いなえいしんでん)の埠頭の倉庫が建ち並んでいる場所で愛知県警のパトカーのサイレンがけたたましく鳴り響いた。


たしか深夜0時半ごろだった…


あいつは、アタシに突き飛ばされて頭を強く打って気絶した後、亡くなった…


…と想う。


アタシは、サツにパクられるかもしれへんと思ってこわくなったので逃げ回った。


そんな時であった。


アタシは、数人のやくざの男に取り囲まれた。


そして、倉庫の中にあるアジトに無理やり連れて行かれた。


アジトにて…


アタシは、イスに無理やり座らされたあと、ロープでしばられた。


この時、リーダーの男がアタシに『しげゆきはどこへ逃げた!?』とおどした。


「オドレアマ!!しげゆきはどこへ逃げたのかと聞いとんや!!」

「そんなんしらんわ!!」


アタシは、ひねた声で男に言い返した。


そしたら、男はアタシにアルミの灰皿を思い切りけとばした。


「コラ!!しげゆきのクソガキは組のカネを持って逃げた上に、組長の妾(おんな)をドロボーしてトンズラこいたんや!!」

「はぐいたらしいわね虫ケラ!!アタシをボコボコにどついて大ケガを負わせたら、あんたらの組長(ボス)にチクるわよ!!」

「よいよい、強情な女やな!!」

「兄貴、どないしまっか?」

「せやな…この女がホンマのことを言うまでいて回すしかないだろう!!」


このあと、アタシは数時間にわたってやくざの男たちに拘束された。


時は、明け方頃であった


やっとの思いで解放されたアタシは、稲永新田からトボトボと歩いて、(ホストの)カレが暮らしているマンションへ向かった。


アタシが部屋に着いた時であった。


カレは『オレが大事にしていたロレックスをどこへやった!?』とアタシを怒鳴りつけた。


怒鳴られたアタシは、思い切りブチ切れた。


「そんなん知らんねん!!アタシがあんたのロレックスを持ち出した証拠がどこにあるかを言いなさいよ!!」

「何や!?もういっぺん言うてみろ!!」

「はぐいたらしいわね!!浮気者!!どついたろか!?」


このあと、ふたりは押し合いへし合いになった。


その時…


(ドサドサ…)


アタシのデニムのベストの内ポケットから、札束が4つ出た。


それをみたカレは、アタシのTシャツをグーでつかみながら怒鳴りつけた。


「やっぱりオドレか!!よくもオレの愛用のロレックスを質屋に入れてカネに換えたな!!返せ!!返せよ!!」

「離してよ!!」

「カネ返せ!!」

「イヤ!!」

「ふざけるなネコババ女!!」

「はぐいたらしいわね!!虫ケラ以下!!」

「なんだと!!」

「ぶっ殺してやる!!」


アタシとカレは、どつきあいの大ゲンカを起こした。


アタシは、カレからボコボコにどつき回された末に、両ほほに50針ぬう大ケガを負った。


カレは、アタシからより強烈な力でやり返されて顔に100針ぬう大ケガを負った。


大ゲンカのあと、アタシはカレと別れた。

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