【朝帰り】

4月9日・晴れ


ファミマのバイトを終えたアタシは、歩いて平和記念公園へ行った。


アタシは、元安橋の歩道の真ん中で川辺の風景をながめながらメンソールを一服くゆらせた。


明け方の空に、小さな星がポツンと浮かんでた。


都会(まち)の1日が始まる…


アタシは、同じ時間帯に夜のお勤めを終えて宮島口にあるアパートへ帰る…


朝7時前に、原爆ドーム前の電停から宮島口行きの電車に乗った。


ところ変わって、広電西広島駅にて…


電車は、行き違いの市内方面行きの電車との時間調整のために停車した。


市内方面行きの電車が到着するプラットホームに、背広姿のサラリーマンたちやいろんな学校の制服姿の学生さんたちがたくさんいた。


電車を待っている人たちは、何を思っているのか?


今日の仕事のこと…


学校の授業のこと…


家庭のこと…


やがて、行き違いの電車が反対側のプラットホームに到着した。


到着した電車に、次々と通勤通学客が乗り込む。


アタシは、行き違いの電車に乗り込む人々をみながらこうつぶやいた。


アタシは夜の女よ…


あなたたちに、夜の女のつらさなんか分かるわけないわよ…


それから20分後、電車は広電宮島口駅に到着した。


電車を降りたアタシは、歩いて宮島口の桟橋の近くにある岸壁に行った。


アタシは、岸壁の向かいに見える厳島神社の赤い鳥居を眺めながら、すぎもとまさとさんの作曲でちあきなおみさんが唄っていた『かもめの街』を小声で歌った。


アタシは…


いつになれば幸せな暮らしができるのか…


アタシは…


どこへ行けばいいのか…

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