&α
「よお。出てきたな」
「こんなに早く出れると、思いませんでした」
「お前は悪いやつから金を盗っただけだからな。罪と言えるほどの罪はない」
「逆に、企業の不正をまとめて提出してくれって頼まれました」
「まあ、そんなもんだろう」
「一週間もしないうちに出れるなんて」
彼女。近付いてきて。身体を寄せられる。
「一週間ぐらいだけど、ちゃんとできる状態まで持ってきただろうな?」
その囁きだけで。
「おお。いいね。さあ、行こうか」
「あの」
「あ?」
「好きです」
「抱きながら言えよ。今言ってなんになるんだ」
彼女。自分の先を歩く。
そのスカートに。ほんのすこしだけ。ちいさな、滲み。
「好きです。ずっと。これからも」
「やめろ」
自分の言葉に反応するように。滲みが、ほんのすこしだけ。拡がる。
「我慢してたんですか?」
「お前がしないんだから。わたしもできないんだよ」
彼女。朱い顔。
「お前しか抱いたことがないから。どうしようもないんだ。もう捕まるなよ。わたしが抱きたいときに。抱けるようにしとけ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます