68.みんなそれなりに疲れてるようで
部屋にあった柔らかい椅子に腰掛け、ハルは読書をしながらメンバーに聞いた。
「……一体全体何があったのよ」
すると、メンバーは口々に話し始めた。
「:*@◇◑△▽◇■□◯▽▽」
「何言ってるか分からないって! 一人ずつ言え!」
ハルに怒鳴られ、住民達は一人ずつ話すことにした。
「まずあたいからな。悪魔の国の旨そうな飯探してたらなんか戦いが始まってたんだ。そこで飛び入りで参加して、優勝したぜい!」
「そう、安定で助かったわ。レイラは?」
「なんかいいポーションないかなーって探してたらクレセが戦ってて、そこの負傷者の手当てに」
「よっく言いますよ。そこで包帯は出し過ぎるわ、ポーションはこぼすわ……誰が後始末したと」
「……サフィ、フォローありがとう」
ハルは多分、またやらかしたのだろうという目でレイラを見た。レイラは額に手を当て、ソファに体を預けた。
続いてハルはこの中でも元気そうなマーシャ達に声をかけた。
「リリィ達は?」
「王都を散策してたら派手な悪魔に絡まれまして」
「え!? ちょっと大丈夫?」
「はい。少しドンパチやったら仲良くなりましたよ」
「お揃いのお土産買いました!」
「……そりゃ何より」
ハルは一瞬本から目を離したが、すぐに脱力し、また読書に戻った。ハルは続いてまだピンピンしているセレネに聞いた。
「セレネは何を?」
「私ですか? お嬢様達に着いていこうとしたのですが……メイドとしての血が騒いだのがいくらか店を手伝ってきました」
「……何件?」
「ざっと10は」
「……よく疲れないね」
「あのわがまま放題の妖精纏めるより楽ですよ。悪魔はそれなりに知性あるので」
セレネはさも当然のようにいい、ハルはその姿に改めて感心した。
ハルは続いて完全に屍になっているショコラと彼女の世話を疲れているだろうにしているルビィに聞いた。
「……ショコラさん達は?」
「私が答えますね。悪魔の国にはどのようなご飯があって作り方を探ろうとしたら、爆発音がして」
「それ、クレセの?」
「と思ったんですが魔力が強かったんです。クレセ様に魔力はないので……」
「で、行ってみたら」
「ショコラ様が喧嘩してました」
「……何で?」
「……売られた喧嘩は買う……後、ハル、その服結構……いいな……」
「ありがとう」
魔力切れでゼーゼー言いながらショコラは言う。ハルはそれを聞いてバカ……と思いながら読書を続ける。最後に横目で見ただけでも分かるほど疲れているミスティとルチアに聞いた。
「……どうせ聞くまでもないけどルチアの浮気?」
「そうなんですよ! 可愛い子がいるとすーぐ走って! それにわたしがナンパされても無視したんですから!」
「そりゃ離れて欲しかったからな」
「ヒドいルチアさん! 私のこと嫌い?」
「そうだって前から言ってるだろ。ボク束縛の激しい人地雷なんだよね」
「ガーーーン……」
「メンヘラ発動させるな面倒くさい……」
ハルは呆れたように呟いて次の本をとった。その日は全員すぐに倒れるように寝たのだった。
さてその翌日、ハルはリリスからの伝達事項で今日の夕方から天使の王女ミカエルの歓迎会が行われると聞いていた。
ハルはそれまで読書しようと昨日行けなかった図書館へ向かう。が、その扉の前にルシファーがいたのだった。
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