67.あくまでデート?

 ルシファーの魔性の笑みに固まっていたハルだが、何とか立ち上がり、その後を追っかけデパートの中に入った。



 中は流石魔界一と言うこともあり、店内はたくさんの悪魔で賑わっていた。その様子をポカンと見ていたハルにルシファーは得意げに言った。



 「凄いでしょ? この賑わいよう!」

 「うん……でも見たことあるなぁ」

 「え!? 人間の世界にはこんなのないでしょ……?」

 「まぁね、でもなぜか少しだけ懐かしく感じるんだよ」

 その言葉に今度はルシファーが驚きで固まる番だった。そして、小さく「……やっぱりこの人他の人と違うわ……」と呟いた。しかし、すぐに立ち直り、笑顔でこう言った。



 「ところで、ハルー行きたいところある?」

 「そうね、本屋に……」

 「服屋行きたいの?! 案内するわ!」

 「いや、そんなことは一言も……」

 「いいの、いいの! とりあえずハルの服見繕ってあげるから!」  

 「ええ……」

 『ルシファー様、コウナルト止メラレマセンカラ……』

 またハルはルシファーに引っ張られるように服屋に連れてかれ、その後を案内悪魔がついていった。



 「ついたわ! ここね、アタシのお気に入りなの!」

 「……マジで?」

 「うん! さぁさぁ試着室に入って頂戴!」

 「ええ……」

 ルシファーのお気に入りだというその店はいかにも若い子が好むようなファッションで構成されていた。

 転生時に叶えて貰った願いの中に「太ることとか気にしないで少女体系」があるのでハルの体は少女だが心はアラサーである。

 そのためルシファーが着ている服はハル本人にとって精神的な面でキツいのだが、親切を無下にするわけにはいかないということで大人しく着せ替え人形に徹することにした。



 「フー、ようやく決まったわ」

 「ホントに、ようやくよ……」

 ハルが着せ替え人形にされてから何時間経っただろうか、しかしようやくコーデが完成し、ハルは試着室から出た。 

 流石に彼女と一緒というわけではないが、ピンクのカットソーに黒のショートパンツ、白の短めの丈のアウターに黒のショートブーツとかなりオシャレな格好になった。

 ハルは鏡の前の自分を見てボソッと嬉しそうに言った。



 「こういうのもいいかも……」

 「でしょ!? さあつぎ行くわよ!」

 「まだまだ終わんなさそ……」

 着せ替え人形にされてかなりクタクタなハルだったが、ルシファーは気にせずにハルを次の場所に連れて行った。



 先程のブティックよりも上の階にあるオシャレな雑貨屋に2人と案内の1匹は入っていた。

 ルシファーは入ると早足でとある商品を見つけ、すぐにかごに入れた。その早さにハルが呆然としているとルシファーが振り向いてハルにいった。



 「ハル、その店で何でも見ていいよ」

 「あ、そう……? 」

 ハルはゆっくり恐る恐ると雑貨屋の中に入っていた。ハルはその内の1つの栞コーナーを見つけると、そこを注意深く見た。



 「へぇー……やっぱり、羽とか角とかをモチーフにするんだ」

 『マァ、一種ノステータスデスカラ。アト人気ガ高イノハ月トカデスネ』

 「なるほどね……じゃあこれにしよっかな」

 と、ハルが栞の1つを手に取ったとき、ある程度買って満足したのだろう袋を持ってルシファーがやって来た。



 「ハールー、何悩んでるの?」

 「あ、ルシファー。欲しいもの買えた?」

 「うん! バッチリ! でももう一つ欲しくてさ」

 「何?」

 「ハルとお揃い物欲しくて……後それを誕生日プレゼントにしてほしいなぁ……」

 何かをねだるように体をもじもじさせるルシファー。ハルはキョトンとしたがすぐに承諾した。 



 「いいよ、何買う?」

 「そうだね、あっこれがいい!」

 「どれどれ……」

 ルシファーは星をモチーフにしたキーホルダーに目をつけた。それを見たハルは(これ可愛いし、素敵だわ)と思って栞と一緒に買った。

 ハルからそれを受け取ったルシファーは喜びハルもつられて嬉しくなった。

 


 その後もやれ、流行ってるスイーツだの、魔界で有名なアーケードゲームだのを散々楽しんだ2人が帰ってきたのは夕方から夜になる時間だった。


 

 一旦ルシファーと別れ、ハルはメンバーがなぜか集まる部屋に行くことにした。

 しかし、その光景を見てハルは絶句した。



 「……ちょっと、みんなどうしたの?」

 部屋に入ると事もあろうに約半数が倒れていたのだった!

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